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第五十六話 和菓子三昧

今日は、56話と57話更新です。

 おおっ、いけねっ、また忘れるところだったぜ。

 寝る前に思い出した。

 あれだ、女神様(残念女神)へのお供え(貢物)

 忘れたらまた文句言われるとこだったぜ。

 さっさとやることやって寝よ。

 えーと、ネットスーパーを開いてと。

 何がいいかな……この間は洋菓子三昧だったから今度は和菓子三昧にしてみるか。

 まずは、豆大福にいちご大福とあと饅頭かな。

 お、栗がまるごと入った饅頭もあるからこれもだな。

 それから、串団子のたれとあんことごまだな。

 えーとあとは、カステラと、あっ和菓子ならどら焼き再びだな。

 どら焼きは前にもお供えしてるけど、あの女神なら文句言うまい。

 あ、あとダメ押しで羊羹丸々1本贈呈するぜ。

 よしと、これなら大丈夫だろう。

 女神様(残念女神)へのお供え(貢物)の品々を精算する。

 段ボールの祭壇に和菓子を並べていく。

「風の女神ニンリル様、お供え物ですお納めください。神の加護をお与えくださり感謝します。これからもよろしくお願いいたします」

 そう言うやいなや、頭の中に女神様の声が響いた。 

『おぉっ、待っておったぞ!これ以上遅くなるようだったら神託を下そうと思っておったとこじゃ』

 て、この前けっこう渡したよな?

 それもう食ったのかよ。

 甘味ばっかり食ってると太りますぜ。

 神様が太るとかあるのかわからんけど。

『わ、わわわ妾のような神が太るわけなかろう。い、いつでも妾は美しいのじゃ』

 え、何ドモってるんですかね?

『う、ううううるさいのじゃ。あのけーきとかぷりんとか言う甘味が美味しすぎて3日で食べつくしたとかはないのじゃっ』

 女神様、本当に残念な人(神?)ですね。

 自分でバラしちゃってるじゃん。

 ダメダメじゃん。

 太るわけないとか、美しいのじゃとか言ってるけど、絶対怪しい。

 ドモってるし神でも食いすぎたら太りそうだ。

 ってか3日であの量食ったら確実に太るな。

『ぐぬぬぬぬ、その話は終わりなのじゃ。そんなことよりもっ、今回はどのような甘味なのじゃ?』

 うん、声だけで良かった。

 たかが甘味のことなのに、どれだけ興奮してらっしゃるんですかね。

 女神様が目の前にいたら絶対にズイッっと前のめりになって聞いてきてるよね。

『何じゃと? たかが甘味じゃと? このたわけ者がッ! 甘味こそ至高なのじゃ』

 おおう、そんな怒んなよ。

 ってか、前から思ってたけど、完全に俺の思考読んでるよね?

 止めてくれよ。

 これ、完全にプライバシーの侵害だから。

『フンッ、何がぷらいばしーの侵害じゃ。妾は神じゃ。神に対してぷらいばしーなどある訳なかろう。見ようと思えばお主の生活の一部始終を見ることもできるし、お主の考えていることも手に取るように分かるのじゃ。何せ妾は神じゃからな。すごいじゃろう。だから妾を敬うのじゃっ』

 ……さいですか。

 すごいじゃろうって自分で言っちゃうんだね。

 本当に残念な女神様だ。

 できるだけ、思考を読むのは止めてほしいですね。

 あと、俺の生活の一部始終を見るのもさ。

 俺の生活とか見ても面白くないんだから。

 それに敬えって?

 無理言わないでくださいよ。

 ご自分の言動からその辺は察してください。

 甘味大好き残念女神様。

『ぬぅぅぅぅっ、妾は残念なんかではないのじゃっ』

 あーはいはい、そうですね。

 めんどくさそうなので話を変えよう。

「えーと、今回は和菓子にしてみました。私がいた国のお菓子です。ニンリル様がご所望された、あんぱんやどら焼きの中に入っていた黒くて甘い”あんこ”がたくさん使われているお菓子ですよ」

『なぬっ?! あの”あんこ”の菓子かっ。あれはクドくないやさしい甘さがたまらんのじゃ』

 さすが残念女神。

 チョロいな。

「見ていただいたとおり、どら焼きもまた用意させていただきました」

『おおっ、どら焼きかっ。でかしたぞっ』

 どら焼き大分お気に召したようで。

「それではお納めください」

『分かっておる。早速神界に転送なのじゃー』

 段ボール祭壇にあった和菓子が淡い光に包まれて消えていく。

 今まであんまよく見てなかったけど、そういう感じて転送するんだなぁ。

『むほーっ、今回もたくさんあるのじゃ。お主、よくやったのじゃ』

 だから、むほーって何だよ、むほーって。

 本当の本当に残念な女神だな。

『さっそくどら焼きをいただくのじゃ。もぐもぐ……むっはー相変わらずどら焼き美味しいのじゃーっ!』

 何、今度はむっはーって。

 はぁ、突っ込むのはやめよう。

 何せ残念女神だし。

 さて残念女神は放っておいて、俺はもう寝るよ。

 残念女神はかまってられないから、そそくさとスイのいる布団に潜り込んで寝た。

 はぁ~やっぱり俺の癒しはスイたんだけだよ。






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