第三十二話 ベビースライムのスイ
今日は31話、32話更新です。
32話はちょっと短めです。
いつの間にか従魔契約を結んでいたスライム。
名前はスイと呼ぶことにした。
センスないとかのツッコミは一切受け付けないぜ。
スイの今のステータスはこうだ。
【 名 前 】 スイ
【 年 齢 】 6日
【 種 族 】 ベビースライム
【 レベル 】 8
【 体 力 】 24
【 魔 力 】 21
【 攻撃力 】 18
【 防御力 】 20
【 俊敏性 】 21
【 スキル 】 -----
なんかレベルがめっちゃ上がってるんだよ。
多分異世界のゴミを食った影響だと思うんだけど……。
ネットスーパーで買った物を使ってどうこうっていうのはないから(例えば布団を使って寝たら体力が上がったとか魔力が上がったとかね)、異世界のものを体内に取り込むことで何らかの影響があるんだと思う。
ちなみにあの時間制で体力とか魔力とかがプラスになるやつはスイには発揮されてない。
俺が考えるに、スイは元々が弱っちかったから全体的なレベルが上がったんじゃないかと思ってる。
で、ある程度レベルがあるやつは時間制で体力とか魔力とかプラスになるとかさ。
それじゃなきゃ、食材かそうじゃないかの違いでレベルが上がるのかだよな。
だけど、それ検証すんのけっこう難しい。
だってさ、ゴミを食うのなんてスライムくらいだろ。
スライムを見かけたら試してみたいんだけど、スライムを全然見かけないんだよ。
フェルに聞いてみたら、上位種じゃない限りはスライムは弱いから基本隠れるか逃げるかだからあまり見かけないんだとさ。
まぁスイがレベルアップするのは悪いことじゃないからいいんだけど。
スイはマジでありがたい存在だし。
ゴミは食ってくれるし、食器類もきれいにしてくれるんだぜ。
最初は皿まで消化しちゃったけど、皿は食わないで汚れだけって言ったら、ちゃんと汚れだけ落としてくれる。
スイのおかげでフライパンにこびりついた汚れもへっちゃらだぜ。
今までは食器類を洗うのにネットスーパーの洗剤を使ってたんだけど、あれだと泡を洗い流すのにけっこう水を使うからな。
近くに川とかの水場があればいいんだけど、そうじゃないときはけっこう大変だったんだ。
それがスイのおかげで水も少量で済んでいる。
異世界のゴミも喜んで食ってくれるし、スイはマジでいい子や。
そのスイの定位置は、すっかり忘れられた存在になっていたレイセヘル王国の王都の服屋でもらった(スーツを売った店だ)布製の肩掛け鞄の中だ。
この場所が気に入ったのか大人しくしている。
そして俺はフェルの背の上。
ただいま森の中を絶賛爆走中だ。
それでも、前に比べたらスピードを落としてくれてるからいいんだけど。
「フェルー、日も落ちてきたし、今日はこの辺で野営にしないか?」
フェルに声をかけると、フェルがスピードを落とし止まった。
『肉がいい』
はいはい。
フェルにたっぷり肉を出してやり、俺は野菜もとりつつ、スイは異世界のゴミで夕食を済ませた。
夕食後ではあるが、何故か無性に甘い物が食いたくなった。
時々無性に甘いものが食いたくなるときがあるんだよな。
ネットスーパーで物色すると、美味そうなものがあった。
「どら焼き美味そう」
そう呟くと、フェルがのそりと立ち上がってこっちに来た。
『美味そうとは何だ? 一人で食うなど許さんぞ』
へいへい、ってフェル甘い物大丈夫……愚問でしたな。
菓子パンあんだけ食ってるんだから甘い物ダメなわきゃないな。
スイもプルプル震えて食いたそうだ。
俺とスイは1個ずつでいいだろ、フェルは5個くらいはペロッといくな。
どら焼き7個と和菓子を食うならお茶も欲しいなとティーバッグ式の緑茶も購入。
どら焼きを袋から出して皿に並べてフェルに出してやる。
スイにはどら焼きを袋から出してどら焼きと袋を目の前に並べてやる。
俺はお湯を沸かしてまずはお茶の用意だな。
「どら焼きうめぇな。ズーッ、お茶もうめぇ。やっぱ和菓子には緑茶だな」
『おおっ、この回りの皮と中の黒いのが合っている。美味いぞこれは』
思ったとおり、フェルはどら焼きをペロッとたいらげた。
スイも興奮したようにプルプルプルプル震えていたから美味かったんだろう。
ちゃんと袋も(俺とフェルの分のどら焼きの袋もな)食ってた。
うーむ、寝る前の甘い物は罪悪感があるがこの上なく美味いな。