第十三話 冒険者ギルドに登録
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読んでくださっている皆様のおかげです。
ありがとうございます。
冒険者ギルドに来ている。
商人ギルドと同じでこちらの建物も街の中ではけっこうデカい。
さすが冒険者ギルド、武器を持った厳ついのが多いな。
武器持ち戦闘職が4で魔法使いが1くらいの割合か?
どっちにしても冒険者なんて因果な職業よくやるよな。
って俺も今からそれに登録しなくちゃなんないんだけどさ。
まぁ冒険者がやるような戦闘行為は更々するつもりはないけど。
とまあいろいろ考えて気を紛らわせてるけど、窓口に並んだ時から冒険者たちの視線がすごいのなんのって。
これも「お前みたいなのが冒険者だと? 笑わせんなゴラァ」な感じのテンプレなんだろうけど、俺の傍にフェルがいるもんだから手を出せないんだろう。
フェルがフェンリルだって分かっているのかはわからないけど、フェルに手を出したらヤバいってのだけは本能的に分かってはいるんだろう。
フェルがいて良かったぜ。
これフェルがいなかったらめっちゃ絡まれてる場面だよ。
こんな場所早く退散したいところだぜ。
はー早く列進まねぇかな。
少ししてようやく俺の番になった。
「登録をお願いします」
「では、こちらの登録用紙に記入お願いします。書けないところは空欄で結構です」
冒険者ギルドの受付嬢は美人ではあったが、そっけない感じがする。
やっぱ商業ギルドの方が丁寧だな。
召喚勇者仕様なのか文字も問題なく書けるようなので、書けるところを書いていく。
名前と武器(あんまり使う予定ないけどこれくらいは持ってた方がいいかなと思ってたショートソードにした)と従魔がいる旨だけを書いて渡した。
「登録料は銀貨5枚になります。それではこのカードに血を一滴垂らしてください」
登録料の銀貨5枚を渡すと、銅褐色のカードと針を渡された。
言われるままに指先をチクリと刺してカードに血を垂らす。
「これで登録は完了です。一番下のGランクからとなりますので、受けられる依頼はG・Fランクのものとなりますのでご了承ください」
え、冒険者ギルドについての説明とかないわけ?
「まだ何か?」
「説明とかはないんですか?」
受付嬢が「え、聞くの?」って感じで明らかに面倒くさいって顔をした。
聞くよ。めっちゃ聞くよ。
やっぱこういうのはきちんと聞いておかないと、「規則知りませんでした」とかなって後で痛い目に遭うんだよ。
受付嬢は仕方ないって感じで説明し始めた。
冒険者ギルドの受付は態度良くないなぁ。
商人ギルドの受付とは天と地の差だな。
ミカエラさんは終始笑顔で懇切丁寧な説明してくれたぞ。
冒険者ギルドの嫌々感満載の説明によると、
・冒険者ギルドは国を越えた組織である。
・冒険者のランクは次のとおりG~Sまである。
(低)G→F→E→D→C→B→A→S(高)
・冒険者の受けられる依頼は、自分のランク及び一つ上のランクの依頼のみである。
・依頼を失敗した場合は違約金が発生する。
・冒険者ランクにより定められた一定期間内に依頼を受けなければ冒険者ギルドから登録を抹消される。再び冒険者になる場合は改めて新規の登録となりGランクからのスタートとなる。
G → 1か月以内
F、E → 3か月以内
D、C、B → 6か月以内
A、S → 1年以内
・殺人、略奪等をした場合は冒険者ギルドから除名処分となる。
・冒険者同士の私闘は禁止。
・冒険者が行った行為については冒険者ギルドは一切責任を負わない。
・冒険者のケガ・死亡については冒険者ギルドは一切責任を負わない。
とのことだった。
冒険者はすべてが自己責任ってことのようだ。
俺はランク上げするつもりは更々ないからいいけどさ。
俺は登録したばっかりのペーペーだからGランク。
Gランクだと1か月以内に依頼を受けないと登録抹消になるんだよな。
そうするとせっかくの登録料もパーになる。
それ考えるとここで何か1個依頼こなしといた方がいいよな。
フェルにも獲物をとりに行ってもらわないとならないし。
態度の良くない受付をいったん離れて掲示板を覗いてみた。
1個上のランクの依頼を受けられるとは言っても俺は登録したばっかりだし、やっぱ自分のランクのGランクの依頼を受けるべきだよな。
Gランク、Gランクっと…………お、これとこれなんかいいかも。
テンプレだが、薬草採取の依頼だ。
キアユ草 × 5
銀貨1枚
マージュ草 × 5
銀貨1枚と銅貨3枚
とりあえずこの2つが候補ではあるけど、マージュ草の方が報酬は高いってことだから見つかりにくいってことなんだろうと思う。
テンプレどおり依頼を受けるときは掲示板に貼ってある依頼の紙を受付に持っていくみたいなんだけど、一度剥がした場合はその依頼を受けないといけないっぽいし。
そうなると、キアユ草の方だな。
俺はキアユ草の依頼書を持って窓口に向かった。
ちなみに冒険者ギルドの説明を受けた受付嬢とは別の窓口にしてみた。
幾分か態度はマシだったけど、やっぱり商人ギルドとは雲泥の差だったよ。
キアユ草が生えてる場所だけ聞いてすぐさま冒険者ギルドを出た。
フェルがいたから何とか絡まれずに済んでホッとしたよ。
キアユ草が生えてる場所は東門から出てすぐの草原とのことだった。
門から出てすぐのところだから危険はそんなにないとは思うが、ショートソードくらいは装備した方がいいな。
冒険者ギルドの登録のときも武器にショートソードと書いたんだし、キアユ草を採りに行く前に買っていこう。
「フェル、ちょっと武器屋によってくから」
『む、武器など用意せずとも我がいるから大丈夫だぞ』
「フェルが獲物を獲りに行ってるときはどうすんだよ?俺一人なんだから、何か武器なきゃ無防備過ぎるだろうが」
『結界を張れば問題なかろう』
…………は?
「け、結界って、おまっ、そんな魔法使えるのか?」
『もちろん使える』
もちろん使えるって、そんなん初耳なんですけど。
ってか、今気づいたけど、俺フェルの鑑定してなかったぜ。
今更だけどフェルを鑑定してみる。
【 名 前 】 フェル
【 年 齢 】 1014
【 種 族 】 フェンリル
【 レベル 】 906
【 体 力 】 9843
【 魔 力 】 9481
【 攻撃力 】 9036
【 防御力 】 9765
【 俊敏性 】 9684
【 スキル 】 風魔法 火魔法 水魔法 土魔法 氷魔法 雷魔法
神聖魔法 結界魔法 爪斬撃 身体強化 物理攻撃耐性
魔法攻撃耐性 魔力消費軽減 鑑定
【 加 護 】 風の女神ニンリルの加護
………………。
すご過ぎて一瞬言葉を失ったぜ。
レベルとか体力とか魔力とかさ、これってカンストに近いんじゃねぇの?
年齢が1014歳になってるんだけど、フェルが1000年ほど生きてるとか言ってたけど、あれマジだったんだな。
1000年かけてカンスト近くまで持ってきたってことか?
普段は食いしん坊キャラだけど、フェルって何気にすごいんだな。
「フェル、今お前のステータスを鑑定してみたんだけど、お前ってすごい奴だったんだな」
『何を当然なことを言っておるのだ』
あーはいはい、そうですか。
んじゃ、門出たら結界張ってくだせえよ。
でも、ショートソードは保険に買うけどな。
フェルのチートっぷりが明らかに。