消える。
みんな、いなくなったのだ。
僕は、本当に一人になった。
あくまでも、言葉が通じるここ、日本では。
今は寂しさしか残っていない。
そんな事を思っていたって後の祭りである。
全部、自分が招いた状況なのである。
今更後悔なんて、遅い。
自然と涙が出てきた。
泣き声が空に消えていく。
その時だった。
「あれ……」
向こうから、足音が聞こえる。
それは、僕が唯一殺せなかった相手。
橋本君だった。
「はぁ…はぁ……」
「大丈夫?」
「う、うん。ねえ、どうなってるの?この状況…」
「………」
言えない。自分がやったなんて。
「何か知ってるんでしょ!?ねえ、答えてよ!」
橋本君は、泣きながら言っていた。
端正な顔は、崩れてしまっていた。
「なんでそんなに平気なの!?怖くないの!?」
「……んん…」
そっか。橋本君の親も殺してしまったんだ。
「自分も死ぬかもしれないんだよ!?うう…」
ここまで言われると、答えざるを得ない。
僕は勇気を持って言う事にした。
「ごめんね、橋本君。悪いのは全部僕なんだ。」
「……どういう事なの?」
ようやく泣き止んだ橋本君が、上目遣いで聞いてきた。
その目からは、威圧感を感じた。
「僕は、“死ね”って思った人を殺してしまうみたいなんだ。森田達も、僕のせいで…」
「理解が出来ないよ…」
「その能力を悪用して、本当の一人になろうと、日本中の人を殺してしまったんだ」
「…今残っているのは、僕たちだけなんだ…」
「どうして僕は殺さなかったの?」
「殺さなかったんじゃないよ。“殺せなかった”んだ。大切な、“友だち”だから」
「大切な…友だち……」
「だから、僕も消えていなくなるよ。本当にごめんなさい…」
「僕を残していっちゃうの…?いやだよ。ねえ。ねぇ……」
それが聞こえてきた頃には、僕の意識は朦朧としていた。
僕はこの世を去ったのだった。
大好きな友だちを置いて。
えーと、次で最後ですね。
10000文字はいっときたいです。うん。
大体結末はわかってた方も多いのでは…?
高橋君が「僕」を殺す結末か迷ったのですが、、、
あ、その話はまた。
残り1話(多分)、宜しく御願い致します。
一人ずつのスピンオフも作ってみようかな、、、なんて。