前へ次へ
93/163

交渉

Side 侵入者


「あ~、そういえば、妙に強くて、神々しい剣を持つスケルトンが居るって報告があったかしら。確かに死者もでたとか……」


「はぁっ!? おい、俺らが逃亡した聖騎士……って言うか、そいつが持っている宝剣を捜しに来たってのは言っただろぅが! 何で黙ってやがった!?」


「ちょっと、そんなに怒鳴らなくてもいいじゃない。

 そのスケルトンの目撃報告は一回だけしかなかったし、その報告をした奴らも脛に傷があるようなのばっかだったから、死者も結局は仲間内のゴタゴタだってことになってたし、信憑性があまりなかったのよ」


「それにしたってよぉ……」


「今はそんなこといいから、あいつから宝剣を……」

「どうやってだ?」


「え?」


「どうやってあの宝剣を奪い取るのだ? 我らは相性が悪い上に消耗しておる。そなたに至っては満足に動くことすらできぬではないか」


「う……彼女なら……」

「無理よ」

「無理であろう」


「残念だけど、報告の通りなら分が悪いわね」


「あのスケルトンが聖騎士の成れの果てか、はたまた聖騎士から奪ったのかは知らぬが、見たところ宝剣に認められておる。故に不可能だ」


「……くっ、ならダンジョンマスターと交渉だ」


Side 蒼魔


 さて、どうするかな?

 一応は俺の支配下に入っているらしいが、命令違反をする可能性が高い狂骨はあまり使いたくないんだよなぁ……。今のところこいつが暴れた時に対応できるのは俺くらいだし。かなり強いからいざというときの保険として生かしているんだけど……。

 一応とはいえ支配下に入っている所為か、近付かなかったら動き出す気配がないけど……。


「ダンジョンマスター、聞こえるか?」


 どうするか、迷っていりと侵入者の一人が話しかけて来た。


「少し交渉したい」


 交渉ねぇ……まぁここで敵か味方か微妙な狂骨と侵入者を同時に相手取るのはかなり面倒だから、内容次第だけど悪くはないか。


「交渉? 侵入者の分際で何を……」


 とはいえ、いきなり乗るのもアレなので、焦らしながら主導権を握る。


「くっ、我々の目的はこのダンジョンではなく、そこに居る一角天馬(アルミューン・ペガサス)と、その契約者が持って剣なんだ」


 ふむ、天馬と剣が目的で聖騎士自体は目的じゃないのか?


「どういう訳か、その剣はスケルトンが所持しているが……天馬と剣が手に入るのなら我々は退こう。だから渡してくれないか?」


 …………もしかして俺はナメられているのか?

 正直、交渉にすらなってないんだが。

 今のところ俺たちの方が有利な上に、天馬はともかく剣はうちの財産だ。それをたかが帰る程度で渡せと?

 と言うか、ギルドの奴が居るなら狂骨がうちのダンジョンのメンツじゃないと思っているはずなんだが…………もしかして狂骨の相手すら俺らにしろって言ってんのか?


「あ~、待ちなさい、あのスケルトンはダンジョンのモンスターじゃないはずよ。確かダンジョン側にも被害をもたらしていたらしいから」


「え!?」


 ……伝えてなかっただけか。いや、それでも随分ナメた要求だけどさ。

 さ~て、本当にどうしようかね……。

侵入者たちの元ネタの共通点は「NTR」です


全員にNTR話が存在します


ブリュンヒルデはジークフリードをグートルーネに


アーサー王はグィネヴィアをランスロットに


ウリヤはバト・シェバをダヴィデに


ナポレオンはマリー・ルイーズをアダム・アルベルト・フォン・ナイペルク

をNTRされております

前へ次へ目次