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火炎陣・地獄車

すみません、ここ数日睡眠時間が短かった所為でどっぷり寝てました

「グルン!」

「グルル!」

「みゃあ!」


 俺の指示を聞いた車妖怪たちは元気よく返事をし、侵入者たちが居る土のドームの周囲を充満する熔岩をモノともせず走り回る。


「ヒン?」

「……もうちょっと、見ていればわかるよ」


 縦横無尽に走り回っているだけ(・・)に見えるその姿に一角天馬(アルミューン・ペガサス)には疑問の声を挙げるが、水奈は説明せず、待てと言う。


「グルル」ドン

「グルン」ドン

「みゃあ」トン


 やがて、三鬼の車妖怪は正三角形を描くように散らばり、タイミングを合わせてジャンプ、そして着地をした瞬間──


「……あ、そんなに、じっと見てたら……」

「ヒヒィーン!?」


 車妖怪たちが走り回ったことで出来た(わだち)が輝きだす。

 …………それをじっと見ていた一角天馬が目をやられて墜落しかけていたが、なんとか持ち直したようだ。


 何も知らない一角天馬には車妖怪たちは縦横無尽に走り回っていたように見えていたが、実際には規則性を持って──あるものを描くよう走っていた。

 そのあるものとは、簡単に言うと魔法陣。指示に出したように火炎陣という火の陣だ。

 比較的簡単な陣なので、普通に描き魔力を流すだけでも発火するが、火属性の妖怪が火属性にブースト効果のある火山で火の魔力が豊富な熔岩の上に描くことで炎は劫火となる。

 その劫火は中央にある土のドームを囲み、中を蒸し焼きにする──


「む……どうやら温度が下がってきたようである」


「そうみたいだね」


「ってこたぁ、熔岩も収まったのか? ならとっとと土のドーム(これ)解いてくれよ、蒸し暑くてたまんねぇぜ」


「ちょっと待ちなさいよ。敵の罠って可能性も……」


「っせぇなぁ、アイツらも逃げてんだろぅが。 解かねぇなら割って出るだけ、だっ!」ドガッ


「あ、この馬鹿!」


 なんてことはなく、土のドームが割れて侵入者たちの姿が再び表れる。

 さて、ここで二つほど疑問が浮かぶだろう。

 一つは劫火はどうなったのか。もう一つは熔岩がそんなにすぐに冷めるのか。

 後者の問いの答えは簡単、熱も含めて火属性の魔力なので全て劫火に変換されただけだ。

 そして前者の答え、熔岩熱を全て吸い取った劫火はというと──


「グルングルングルングルン!!」

「グルルルルルルルゥゥゥゥ!!」

「みゃああああああぁぁぁぁ!!」


 三分割されて、車妖怪たちの一部となる。


「なっ!?」


「ばかっ、だから言ったでしょうが!」


 そして車妖怪たちは身に纏った劫火を爆発させて推進力にし、陣の中央──侵入者へと向かって轢き逃げを敢行する。

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