合流
「え~と、これはどういうことだ?」
ターボババァを追い掛け、ようやく追い付いた時には既に戦闘が始まっていたわけだが──
「ふぉっふぉっふぉっ、いかな攻撃とて当たらねば意味がないぞい」
「んだと、クソババァ!?」ブンッ
「グルン」
「グルル」
「みゃあ」
「「キィー」」
「クッ、面妖なモンスター共めっ、道を開けぬか!」バァンッ
槍を振るう戦士らしき男を挑発しながら四鬼くらいに増えているターボババァと、俺より先にターボババァと合流して銃を構える男を取り囲む車妖怪と数組の小鬼と朧車。
うん、こっちは問題ない。ターボババァは分身が使えるし、あまり連射が出来ない上に弾数に制限のある銃使いを複数で取り囲むのは利にかなっている。
だが──
「ヒヒィーン!」ブンッブンッ
「ちょっ、なんでダンジョンモンスターが天馬と協力してんのよ!?」
「さあ、どうしてだろ、う……ねっ。
とり、あえず、ぼくが時、間をかせぐ……から、規模の、大きな魔法をなんと、か……お願い!」
「ええ、わかったわ」
あの身体から生やした数本の触手で騎士とおぼしき男女相手に無双している翼と角のある白馬は何よ? 時たま女の方が魔法をぶっ放してるのを余裕で避けてるし。
あの触手は水奈なんだろうけど、何で侵入者と共闘してんの? つーか、一角天馬と他の侵入者は別口だったん?
「ご苦労、お前たちはターボババァの方に合流してくれ」
「「キィー!」」
「「ヴォン」」
共闘している水奈たちはまだ余裕がありそうなのでひとまずおいといて、とりあえず朧車から降り、俺を乗せてきた奴らと護衛するように並走していた奴らにターボババァの援護をするよう指示を出す。ターボババァはスピードこそあるものの、体力はあまりないので、そのうち殺られかねない。
さて、どうするかな?
とりあえず心配していた水奈は大丈夫そう──なぜ一角天馬と共闘しているのかは気になるが──だが、他をどう攻めるか。
国仕兵ってことだから、当然どっかの国に仕える兵士……やっぱり殺っちまうとまずいよな? 最悪、国そのものを敵に回しかねないし。かと言って手加減できるような相手でもないんだが……。
仕方ない、やれるだけやって、殺っちまったら仕方ない、という感じでいくか。
「小鬼たちは全員ターボババァに合流、朧車から降りて《家鳴り》、朧車とターボババァは時間稼ぎだ」
ウィンドウを開いてある操作をしながら小鬼たちに指示を出す。
「な、何者だ!?」
「その石の仮面……あんたがダンジョンマスっ……きゃぁっ」
「馬鹿っ、よそ見をするんじゃないっ!」
当然侵入者にも気付かれるが、
「水奈はとりあえず今のままそっちを抑えていろ、車妖怪たちはアレの準備だ」
気にすることなく指示を続ける。
「……パァパ…………うん、わかった」
「グルン」
「グルル」
「みゃあ!」
触手無双です
水奈は基本型は幼女なのですが、自由に姿を変えられるので、今回は触手になっております
侵入者の元ネタ
感想の方で全員の正解が出たので正解発表をします
ヒルデ→ワーグナーの戯曲『ニーベルングの指環』のヒロイン、ブリュンヒルデ
アーサー→ブリテンの英雄譚『アーサー王伝説』の主人公、アーサー
ウリヤ→ユダヤ・キリスト教の正典『旧約聖書』の脇役、ウリヤ
レオパルド→フランスの英雄で皇帝、ナポレオン・ボナパルト
となっております
上二人はわりとすぐにわかったと思いますが(ヒルデが該当人物が多すぎて逆にわからなかった可能性もありますが)、下二人はわかりにくかったですかね?
ウリヤは「あんた誰?」って知名度のキャラですし、レオパルドはナポレオン・ボナパルトで最後に『゛』をつけたんですが、やっぱり捻り過ぎた感がありますから
さて、彼らにはある共通点があるのですが、それ……わかりますかね?