大攻勢
ちょっと短めです
どうすっかな……ダンジョンを強化しようにも生産区を設営したせいでポイントがあんまり残ってないしなぁ……。
「大攻勢はだいたい1ヶ月後、期間も1ヶ月の予定みたいね」
……まだ時間はあるみたいだし、今からでもポイントのやりくりに気をつけるか。
幸い生産区はある程度形になっていて、手を加えなくても生産収穫はできるから生活面でポイントを使うことは少なくなったし。
「ただ、大攻勢に参加しない者たちが火事場泥棒みたいな感じでダンジョンを荒らす可能性もあるわね」
「あ~、そっちの方が問題だな」
俺たちにとっては侵入者でしかない冒険者たちにも一定の秩序があるようで、それはギルドが執り仕切っているらしい。
具体的にはダンジョン情報の共有や冒険者同士の諍いの仲裁など。
そのなかにはダンジョンの規模に合わせた入場制限もあり、小規模ダンジョンにカウントされているうちの場合1日だいたい3パーティー、多くても5パーティーの入場しかできないようになっているみたいだ。他にもいくつかあるが、それは割愛。
ギルドはその制限を破らせないよう監視をしているらしい。
だが、ギルドが大攻勢にでる以上、その他のダンジョンに向ける余裕なんてあるわけないので、ギルド未所属の奴や大攻勢のメンツから弾かれたギルド所属者、盗賊なんかがギルド管理のダンジョンに来る可能性が多分に存在するわけだ。
……そういうのは容赦なく殺っちまってもいいかな?
別に積極的に殺る気はないけど、大勢来られたら対処が面倒……もとい、こっちに被害が出るのは馬鹿らしいから。
とりあえず、条件付きで殺害の許可は出しとくか。
「久遠、ダンジョンの全域に通達。
今後対処しきれない数の侵入者が来た場合は侵入者の殺害を許可する
許可はするが、可能なら殺害はしないように、と」
「数の条件以外は私たち名付きと同じ条件ね、わかったわ」
名付きの妖怪たちは死んだら復活が難しいので普段から殺害を許可している。
「ああ、大攻勢後は俺も完全に快復するが、大攻勢中は戦闘は無理だからお前たちが頼りだ」
「ええ、わかっているわ。
それに、治ってもお兄様の手を煩わせたりなんてしないわ。………またお兄様が倒れるだなんて絶対御免だもの」
久遠はそう言うと命令を遂行すべく部屋を出ていき、俺は一人になる。
……久遠って冷めた感じのわりには、本当に冷たいわけじゃないんだよな……。
さて、大攻勢中の不法な侵入者も問題だが、大攻勢後の情勢も厄介だよな。
何で大攻勢をやるのかも気になるし……
とりあえず大攻勢についてダマれ! で聞いてみるかな。
入場制限はダンジョン攻略を目指す冒険者だけで、採取や狩猟目的の冒険者や一般人にはありません
実はダンジョン攻略は免許制・許可制だったりします
こうなっている理由はいくつかありますが、ある程度育った危険度の低い(この場合の危険度とは周囲に害があるかどうか)ダンジョンは、周囲に暮らす人や実力の高くない冒険者の生活の糧になるのでうかつに攻略されると困るからです
免許・許可がない者がダンジョンを攻略すると罰せられます
蒼魔のダンジョンに攻略許可が出ているのは「今は大人しくてもいつ牙を剥くかわからない」という理由から牽制として送られています
これは蒼魔のダンジョンだけでなく他の危険度の低いダンジョンも同様のことをされています
ちなみに育っていないダンジョンや危険度の高いダンジョンは許可はフリーで免許がある者なら誰でも攻略OKです