く~けっ、く~けっ、く~けっ
「……パァパ、もう身体はだいじょうぶ?」
「ああ、戦闘はしばらくできんが普通に歩く程度には大丈夫だ」
「……そう、それは良かった」
問いかけに答えると、水奈は少し複雑そうな表情を浮かべる。
……そういや、水奈は自分の変若水が効かなかったことに随分凹んでたな。うちで一番治癒能力が高いから責任を感じてんのかな?
「……でも、本当にだいじょうぶ? ……無理しちゃ、や、だよ」
「無理なんてしてないぞ、だから安心しろ」
なおも心配する水奈の頭を少し乱暴に撫で回し元気をアピール……まぁ、ぶっちゃけ少し無理してるんだがな。
だって無理しないとオムツ生活だもん。
「……パァパ……」
「ん、どうした?」
水奈はその少し乱暴な手つきを嫌がることなく、しばらく撫で回されるがままだったが、妙に熱っぽい瞳で再び話しかけてきた……が、
「け~」
「くけ~?」
そのタイミングで子河童たちが戻って来た。
「くけ?」
「くけけ」
「く~くけ?」
「「「くけっ!」」」
そして俺達をしばらく眺めた後、何事か話し合い、
「「「「「く~けっ、く~けっ、く~けっ」」」」」
結論が出たのか俺達を囲んで周りを回りだした……何がしたいんだコイツらは?
まだ《百鬼を統べる者》の称号を手に入れたての所為か、妖怪たちの言葉はちょっと解りづらい。とくに知能の低そうなのや、この子河童たちみたいに言葉が拙いやつなんかは。
「……ちがっ、わたしとパァパは、そんなのじゃ……」
俺には解らないが、水奈は子河童たちの言葉が理解できているので反応するが…………あわてている?
頬を仄かに赤く染めているのをみる限り、子河童は俺と水奈をからかっているようだ。
……水奈には血が通ってないのに、どういう原理で頬を赤くしてるんだろうな?
「水奈、コイツらは何ていってるんだ?」
「……パァパは、わからない?」
「ああ、コイツらみたいに言葉が拙いやつの声はまだ聞き取りにくいからな」
「……じゃあ、気にしないで」
「いや、気にするなって……頬が赤くなってるぞ」
「!? そ、そんなことない。パァパの気のせい」
いや、気のせいって……現在進行形で赤くしといて何言ってんの?
「いや……」
「知らない、赤くなんてない」
なおも言い募ろうとするも、水奈は子河童の包囲を水に溶け込む形で抜け出しどこかへ去って行った……。
「「「け~」」」
水奈が去ったあと、子河童たちはつまらなそうに解散し、俺の近くからいなくなった。
「いったいなんだったんだ?」
「クケェークケ」
子供のやったことなんだから気にすんな、って……まぁ子供同士のじゃれ合いだろうから大人が口出しすべきじゃないか。
あんまりひどいようなら武力介入を視野に入れるけどな。