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百鬼を統べる者

 なんだ、今のシステムメッセージは?

 

 ドクンッ

 

「ぐっ」

 

「主さまっ!?」

「お兄様っ!?」

「にゃっ〈兄様〉!?」

「パァパ?」

 

 疑問に思ったその瞬間、心臓が一際大きく鼓動し胸が苦しくなり、その苦しみに耐えられず体勢を崩してしまう。

 

 特別強かったのはその一回のみだがその後も普段より強く鼓動し、全身に血が巡り身体が熱くなる。

 

「主さ……きゃっ!?」

 

 六花は膝をつく俺に駆け寄り介抱しようとするも、俺の身体に触れた瞬間手を離してしまう。

 

「どうしたのお姉様?」

 

「主さまの身体が熱くなって……」

「え……お兄様!?」

 

 身体が熱くなった次は着ている服がほどけ、黒い着流しと藍色の羽織に変化し、持っている妖刀も拵えから白鞘に変化する。

 

 その変化が終わると先ほどの苦しみや熱が嘘のように引き…………逆に全身に力が今まで体感したことがないくらい漲る…………今のが《魔人化:ぬらりひょん》か?

 

「主……さま……?」

 

「もう大丈夫だ」

 

 寄り添う六花の頭をひと撫でし、俺の不具合が治ったことを伝える。

 

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 《百鬼を統べる者》専用スキル《魔人化:ぬらりひょん》

 一時的に百鬼夜行の主になりステータスが変化する。

 またスキル《百鬼夜翔》《百鬼繚乱》《百鬼徒花》《明鏡止水》《光風霽月》《???》が使用可能になる。

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「下がれコクホウ」

 

 自らの能力を確認し、狂骨をなんとか食い止めているコクホウと無理矢理割り込む形で交代する。

 

「クケッ……。

〈ですが旦那……〉」

 

「お前も限界だろ……ここは俺がやる。アスラもそろそろ糸が限界だろうから下がっていろ」

 

 アスラの糸はMPを消費し作られるが、MPがなくなるとHPを消費する。そしてアスラはコクホウのフォローをしていたのでHPもかなり減っているため下がらせる。

 

「シュー。

〈いや、だが……〉」

 

 しかし、コクホウもアスラも下がろうとしない。

 

 

「仕方ない《百鬼徒花》。河童たち、二鬼を下がらせろ」

 

「シュー!?

〈何だ……力が抜ける!?〉」

「ク、クケッ!?

〈だ、旦那、これは!?〉」

 

 《百鬼徒花》

 同階層に居る妖怪系モンスターに対して使用可能

 対象がしばらく行動不能になるのと引き換えに、行動不能となった妖怪系モンスターのステータスとスキルを自らに上乗せする

 行動不能期間はこのスキルの発動時間に比例する

 

 

 このスキルを使いコクホウとアスラを下がらせる。ちなみに既に俺を止めようとした六花たちにも使っている。

 

「さて、狂骨。いろいろ好き勝手やってくれたが、そろそろ死んでもらおうか」

 

 巻き込まれるような位置に誰もいなくなったのを確認し、狂骨に攻撃をしかける。

 

  

「《百鬼繚乱》」

 

 

 《百鬼繚乱》

 同階層に居る妖怪系モンスターの数×30自らのステータスが上昇する。

 

 

 現在この階層にいる妖怪は30鬼ほど、それに六花たちから《百鬼徒花》で吸いとったステータスを加えて俺のステータスは全て2000を越える状態だ。さらに、

 

「《仙術》《明鏡止水》」

 

 刹那の《仙術》を使い強化する。デメリットの《狂化》は、

 

 

 《明鏡止水》

 極限の集中力を得る

 1.MINとDEXが倍化する

 2.精神系攻撃、精神系ステータス異常の無効化

 3.?

 

 

 で無効化する。

 

 《明鏡止水》を発動した瞬間金のオーラが身体から溢れてるな……。

 

「悪いが時間がないからとっとと勝負を決めさせてもらうぞ、《狐火》」

 

「…………」

 

 久遠の《狐火》を使い先制攻撃。炎で視界を封じたのち、同じ久遠の《幻術》で身を隠す。

 

 

 

 

ぬらりひょんといえば明鏡止水ですが、作者的に明鏡止水といえはGなのでそっちの仕様になりました

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