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ちょうきょう?

「うにゃ~、だからダメといいましたのに」

 

 煙が晴れるとやはり、腕の中には白銀二尾の猫がいた。

 

「その姿でも話せるようになったのか」

 

「はい、ヒューマン型のときよりくろうしますが、なんとか」

 

 確かに若干舌足らずな感じだ。進化したての時はしゃべらなかったけど……身体に慣れてなかったからか? ……まぁどうでもいいか。

 

「とりあえず他の猫妖怪のことについてはあまり気にしなくてもいいぞ。別に刹那が用済みって訳じゃないんだから」

 

 たまたま今回の改装で適性のあった妖怪が猫妖怪だっただけだ。それにぶっちゃけ、俺にとって刹那……それに六花と久遠、それに水奈は特別扱いだし。

 

 

「はい、わかりました」

 

「ところで刹那、何でいきなりヒューマン型から元の型に戻ったんだ?」

 

「え~とですね。その話のまえに降ろしていただいてもよろしいでしょうか?」

 

 ん? ああ、さっきから抱きっぱなしだったな。

 

「だが、断る。

 と言うわけで続きを」

 

 ふわふわな抱き心地がいい感じなので放さない。

 ……進化してから毛並みも良くなってんなぁ……。

 

「どういうわけですか!?」

 

「いいから続きを」

 

「うにゃ……しかたありません。わたくしの変化はみじゅくですから長いあいだの変化はできませんし、かなり不安定なので心がみだれたりすると解けたりします。

 それに、今にーさまに通じることばを話しているのもちょっと無理をしています」

 

「なるほどなぁ……」

 

 本来の姿は猫の方だからいろいろ制限があるのか。

 

「あ、言葉の方は普段は無理しなくてもいいぞ」

 

「はい」

 

 今は話さないといけないけど、普段は六花達に訳してもらえばいい。

 

 

「時間はどれくらい持つんだ?」

 

「そーですね……変化に10、5分間変化して20のMPをしょうひします。それと仙術を使っているあいだはそのしょうひはありません。

 それと仙術は人化しているあいだしか使えません」

 

 なるほどなぁ。だからわざわざ変化してたのか。

 刹那を撫で回しながら考える。

 

 

「にゃっ、あのにーさま……あごの下をなでるのは……ゃん、耳のうしろも……らめれしゅ」

 

 お、なかなかナイスな反応。そんな反応されるとやめられるわけないよね。

 

「おりゃ、おりゃ。ここか、ここがえーのんか?」

 

「ゃ、ゃ~ん……にゃ~~~~」

 

 オヤジ化してるような気もするけど気にしない。

 

 

 

 

 

 

 ふぅ、余は満足じゃ。しばらく刹那を攻め続け、ぐったりさせることに成功。尻尾はかなり敏感だったので時間を措きながら断続的に攻め続けたのが効果的だった。

 

「なぁ刹那、仙術で暴走したことはあまり気にしなくてもいいぞ」

 

「……にゃ?」

 

 刹那がぐったりしていて、頭が働かないうちに慰める。普通の状態で慰めても聞こうとしないだろうからな。

 ……別に俺の欲望のままに攻め続けたわけじゃないぞ…………たぶん。

 

「仙術は暴走と隣り合わせのスキルだから、暴走すること自体は問題ない。それは今後改善していけばいいんだ。

 ただな、暴走を恐れていざという時に使えないのはまずい」

 

「にゃ~?」

 

 刹那が正気に戻ったときどのくらい覚えているかはわからないが、刷り込みにはなるだろう。

 

 

 

 ……効果が薄くても今後も定期的に繰り返す予定だから問題ないし。

 

 

 しばらく慰めという名の洗脳をし、刹那を解放……。

 

「にゃ~……ゴロゴロ」スリスリ

 

 ……したのだが、刹那は俺の足元にすり寄り、頬を擦り付ける……人化した状態で。

 

 うん、猫が縄張りにやったり、心を許せる相手にやったりするのはわかるし、そういう相手と認識してくれるのは嬉しいけどさ……なんでわざわざ人化するの。さっきまで猫の姿だったじゃん、変化には集中力が必要とも言ってたし。

 

 正直他の娘たちには見せられない光景だぞ。まるで俺が刹那を調教したかのように見えるから。

 調教に似たような事をやった気がするが、気のせい……だと思いたい。

 

「あの~、主さま~、もうお話は終わ……り……」

 

 Oh……六花ちゃん、なんでこのタイミングで入ってくるよ。あれか、さっき『他の娘たちには見せられない』って思ったのがフラグだったのか?

 

「あ、あの主さま、いったい何を……」

 

「……どーしたの六花ねぇ? ……ん? 刹那ねぇ……」

 

「あ、水奈ちゃんは見ちゃダメです」

 

「うー?」

 

 六花は俺たちの姿を見て動揺したが、後ろから水奈が部屋の中を覗き込もうとしているのに気付き慌てて目元を覆い視界を塞ぐ。

 

 ナイスな判断、水奈の情操教育に悪影響だもんな。10歳くらいの女の子を傅かせているなんて、青い服の方々にお世話になってア────ッなことにりそうな光景なんて。

 ……青い服の方々って何だ?それに何かがおかしいような気もするし……こう何かが混ざっているような違和感があるな。

 

 って、それはどうでもいい。

 

「あら、兄様、アタシ達を追い出して刹那を調教していたのかしら?」

 

 二人の後から久遠も入って来て中の光景をそう評する。

 ……やっぱりそう見えるか……。まぁ久遠は何のために刹那と二人きりになったかを知っているから冗談なんだろうけど……。

 

「なっ、調教だなんて!?」

 

「ちょうきょう?」

 

 この娘たちにはどう説明すっかな……。

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