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閑話 宿場町

三人称視点と第三者視点です

Side 宿場町

 

「キャァァァアア。へ、変態よぉぉぉ───!!」

 

 朝早く、一月ほど前から開拓が始まった宿場町(予定地)に悲鳴が響き渡る。

 女性の悲鳴に叩き起こされるように目覚める開拓作業者たち。開拓の途中だけあって皆顔見知りなためちょっとしたトラブルに由来する犯罪以外は起こり得ない。

 そんな状況で起こった性犯罪の発生……とおぼしき悲鳴を聞き、早朝だというのにその近辺の住人の大半が集まる。

 中には工具や耕具で武装をし殺気立った者もいる……が、

 

「……変態だ」

「うん、確かに変態だな」

 

 集まった者たちは現場に着くなり、一気に白ける。変態は変態だが危機的状況ではないためだ。

 

「……ってあれ、この近くにあるダンジョンに向かった冒険者じゃないか?」

「あ、そうだな

 あと町の護衛の傭兵もいるな」

「あの二人ってあんな関係だったんだ……」

 

「何があったんだ!」

 

 町の開拓者たちが変態を遠巻きに囲みながら、話し合っていると数人のきちんとした武装をした者たちが現れる。

 

「あ~隊長さんか。いや、まぁ……あれを見ればわかる」

 

 男はこの町の護衛を務める傭兵団の部隊長だ。

 

「あれ……なっ……」

 

 隊長と呼ばれた男は指差された方へ視線を向け、言葉を失う。

 なぜなら、2週間ほど前に行方不明になった者たちの捜索に向かわせた部下と冒険者の変わり果てた姿がそこにあったからだ。

 

 Side 隊長

 

 朝早く女性の悲鳴が町に響き渡り、その声を聞き現場に駆けつけたところ予想外の光景を目撃してしまう。

 それは先日ダンジョンへ向かわせた部下と冒険者の変わり果てた姿だ。

 頭は髪の毛が剃られている。ただ全部が剃られている訳ではなく、頭頂部のみ剃られていて完全な禿頭より逆に恥ずかしい状態。

 服もほとんど脱がされているが、首に上流階級の者が身に付ける『ネクタイ』のような布をくくりつけ、他には膝から下の防具のみ残されていて、こちらも全裸よりも恥ずかしい。

 顔は何かの塗料で眉毛を黒く太く、頬には赤い渦巻き、鼻の天辺は赤く、鼻の穴と唇はそれぞれ黒と紫で拡張され、額には我が部下は『米』、冒険者は『中』という模様が描かれていて、極めつけは顔全体が真っ白に塗られてそれらの背景になっている。

 

 そして我が部下である『ホエール』には利き腕がなく、冒険者の……たしか『カヒュメ』の……臀部には一本の腕が刺さっている。

 それだけであれば情けなくも悲惨な光景ではあるが変態ではない……変態と言われたのはお互いの股の間から顔を出している体勢で寝転んで……いや、打ち棄てられているからだ。

 さて、どうしたものか。ダンジョンに潜り返り討ちにされたのだとは思うが……。

 なんと言うか……惨い仕打ちだ。胸が上下しているので命までは奪られてはいない。

 本来なら幸いというべきなのだろうが、こいつらの今後の人生は生き地獄だろうな……。

 

「ん、なんだこの紙は?」

 

 あまり見たくはないが、仕事上この件を鎮めなくてはいけないので二人をよく見ると一枚の紙が張り付けてある。

 これは……ダンジョンマスターからの警告か。

 

 内容を要約すると、

 

・ダンジョンに侵入するならこんな姿になることを覚悟すること

・極力殺す気はないが、ダンジョン内で倒れた場合は身ぐるみを剥がす

・うっかり殺してしまう可能性もある

・これらは表層で活動する場合のことで、秘宝を狙うなら容赦しない

・あまりマナーが悪いなら色々な手を打つ

 

 それと、

 

「ダンジョン内には絶対に手を出してはいけない存在がいるので、気をつけること……か」

 

 ……わざわざ注意するならその存在の特徴を教えて欲しいと思うのは贅沢なのだろうか?

 

 ……まぁ、いい、とりあえず町の責任者たちや冒険者ギルドと協議しなくてはいけないな。

※哀れな侵入者を追い出してる途中の会話


蒼魔「ところでなんであいつらの頭をあんな感じにしたんだ?」


小河童「クケェ、クケケェクケ」


文車妖妃「ついやり過ぎたから、せめてものお詫びで格好よくした、だそうです」


蒼魔「……え…?」


…河童たちはあの頭がデフォですから

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