初めての作成
《鬼火》
いわゆる人魂のことだ。スキルは《取り殺し》《鬼火への誘い》《悪寒》の3つ。
《取り殺し》は取り憑いた相手に10秒毎に自分のHPぶんだけダメージを与え、極低確率で“恐怖”の状態異常にし、
《鬼火への誘い》はダンジョン内で死した者の魂をそこそこの確率で同族にする。
これらは後々使えそうだけど今は関係なくて本命はこいつ。
《悪寒》
存在するだけで周囲の敵にプレッシャーを与え、触れ続けた者の部位を“凍傷”にし極低確率で“凍結”にする。
……つまりこいつは炎なのに熱を発するどころか逆に冷気を発しているってことだ。
熱に弱くなった代わりに冷気で恩恵を受けるようになった(っぽい)俺には好都合だ。鬼火の召喚コストは5ポイントなのでそれほど懐が痛くないのも嬉しい。
「鬼火を……五体でいいかな」
そう呟きウィンドウを操作しようとすると、
──25ポイント使用して“鬼火”を五体作成しますか?──
システムメッセージみたいなのが聞こえてきた。あ、今のが音声入力か。
ウィンドウを見てみると同様の言葉が書かれていて、承認キーが表示されている。これをタッチすれば作成でるんだな……あ、もしかして。
「承認」
音声入力でも承認できるか確かめてみると、案の定できるようで、青白い炎が五つ現れその光で部屋で明るくなる。
念のため五体作ったけどこんなに必要なかったか?まぁ、モンスターを含むダンジョン内のあらゆる物はポイントに還元できる(ただし所属がダンジョン外の場合は不可)って書かれてたから、ポイントに困ったら還元すればいいか……。
部屋は明るくなったので用済みな蝋燭の火を消しウィンドウの操作を再開する。
さて、何を召喚しようかな……。
改めてウィンドウを見てみると……やっぱりショボいのしかいない。
今見ているのは妖怪のページだが、あるのは餓鬼や狂骨に小河童、鴉天狗にゆきぼっこなどの明らかに雑魚な妖怪やそこそこ強いと思われる妖怪の下位互換な妖怪ばかりだ。
RPGで言うところのスライムやゴブリンってところだな。その証拠に消費ポイントも少ないし。
他にいいのがないか見ていくとNEWの表記が目に入る。
NEWってことは新規追加モンスターだよな?
いつの間にかレベルでも上がって……ないな、変わらず1のままだ。ってことはレベル上げ以外にもモンスターが追加されることもあるのか……。
追加されたモンスターは……ゆきんこ?
デフォルトにゆきぼっこってモンスターがあったけど何か違うのか?
備考を確認してみると違いは消費ポイント──ゆきんこの方が倍以上かかる──と、カスタマイズでのゆきんこは性別変更不可で女固定になっている。
せっかくだからゆきんこを召喚してみるかな。側近に人型モンスターが欲しかったからちょうどいい、氷属性妖怪だから俺との相性もいいし。
「ゆきんこを一体作成、仕様変更」
仕様変更はポイントを追加消費することで容姿や性格、能力なんかをカスタマイズできる機能だ。容姿や性格は低ポイントでできるが能力の追加にはかなりポイントがかかるので今はやらないけど。
「髪型はロングストレート、眼は蒼、あとは…………よし、これで作成」
ウィンドウに表示された項目をいじり、ゆきんこをデザインしていく。
その結果、
──変更内容
5ポイント使用して容姿:小柄な8歳児、腰まで届くロング、ストレート、蒼き瞳、容姿端麗。
8ポイント使用して性格:内助の功、頭脳明晰、主への仁愛、主への真心、甘えん坊、照れ屋、品行方正、可憐、主の忠誠
2ポイント使用して服飾:雪の結晶をあしらった髪留め、朱染めのリボン
5ポイント使用してその他:術師、巫女、癒し系、側近、機敏
90ポイント消費してゆきんこを作成しますか?
──
となった。
合計110ポイントだな、よし
「承認」