裏切り 二番煎じ
さ~て、どうやって介入しようかな……。ブルータス? を使って介入はもう無理くさいし……。妖刀は細かな憑依の加減ができない(現状では動きのアシストか完全支配のみ)からなぁ……。
たぶんあいつら妖刀のことも知ってるだろうから不審な素振りをすると気づかれる。…………めんどくさいからとりあえず特攻させようか。
「河童たちは回り込んで奴らを囲む形で待機。行け、妖刀」
命令を出すと走り出すブルータス……と俺の身体。……なぜ俺も走っている? …………あ、そういや俺も腰に差してたね、妖刀くん。
「あ、主さま?」
止まろうと指示を出そうとしたその時、刀組から距離をとり俯瞰するように見ていた久遠と六花
がこちらに気付いた。
「む、その者は迷宮主で御座るか、ブルータス殿?」
そして六花の声を聞き、その視線を追って俺に気付く火縄銃を持っていた方の刀使い。
うん、六花ちゃん、君が声をあげなかったら背後とれてたね。たぶん久遠はそれに気付いたから反応しなかったんだと思うんだ……。
ちなみに俺は刀を構えるブルータスに追いかけられる形で走っている。妖刀が操っているから安全だとはわかっているが、刀持ってるおっさんに追いかけられるのってかなり恐い。
俺に気付いた銃士と相対しているのは久遠と刹那、六花はもう一人を相手にしているはずなのに余裕だな……。あ、もう一人は水奈に触手攻めにされて身動きがとれないのか。
「ンニャッ!?」
「む、隙ありっ!」
ここでようやく銃士と鍔迫り合いをしていた刹那も気付くが、その際に隙が生じ吹っ飛ばされ倒れ伏し、さらに追撃で斬りかかられる。
「させるかっ、妖刀!」キンッ
だが、刹那に届かせまいと俺は自分の妖刀に指示を出し、身体のリミッターを外させ限界以上の速さで刹那と銃士の間に割り込んで阻止し、鍔迫り合いに持ち込む。
「むっ!?
石の仮面とは面妖な……。だがよいので御座るか、敵は拙者だけで……グフッ……何が……」
ドヤ顔で語る銃士の余裕な言葉は途中で途切れる、さっきの男と同じように胸から生えた刃が原因で。
まぁ、『いいのか』は俺のセリフだわな。
刹那はまだ俺の後ろに倒れていて、久遠は更に後方で視界に入っているし他の妖怪とは距離がある。そしてブルータスを味方と思い込んでいるからこその余裕だったんだろう。だがブルータスは妖刀に支配されてこっちの勢力だから俺と鍔迫り合いしてたら刺されるのは当然この銃士。
よかった、こいつがブルータスのことをよく見てなくて。
「……お主……裏……切っ……ので……ざ……る……か……」
──侵入者を撃破しました。1286ポイント入ります
よし、こいつも撃破、最後は水奈達だな。
さっき見た感じでは水奈が侵入者を捕まえてたけど……変わらず捕まえたままだな。あれだと妖刀じゃなくてもちまちま削れば倒せそうだ。……それなら、
「水奈はそいつを押さえていろ。侵入者を支配している妖刀は待機、お前は独立して最後の侵入者を攻撃。水奈はそのままそいつを抑えてろ。久遠と刹那は六花、妖刀とともに最後の一人に対して攻撃だ。全員思うように攻撃してみろ」
侵入者を支配している妖刀は不測の事態に備えさせ、俺の持っている妖刀と六花達に一斉攻撃の指示を出す。
「はいっ!」
「クォン!」
「ニャァ!」
プルッ
まず六花は氷柱を作り出して矢のように侵入者に放ち、久遠は六花の氷柱を邪魔しないように刹那の槍に狐火を宿し、刹那がその槍で侵入者に斬りかかる。
冷たいのと熱いのの同時攻撃か……。
次は……ん? いつの間にか河童たちとナデシコがこっちに来て六花達の戦いを観戦……なんと言うか授業参観みたいな感じになってんなぁ……。