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裏切りの刃

 火縄銃を持っていた奴が火縄銃をその場に置き、刀を抜きながらコクホウに近付く。

 直接攻撃をしてくる奴が増えたが問題ない、雨が降りだしたら癒しの雨にするようナデシコに指示をだしているし、そもそも河童は雨天時にステータスが上昇する。

 

「くっ、雨が降りだしたと思ったら急に強くなりやがったぜ!」

 

「河童は水のモノノケに御座る。それゆえ、雨のときは活性化するので御座る」

 

「それより河童の弱点は頭の皿である、そこを狙うのだ」

 

「そ、れは……早く、言えよ」

 

「と言うか、それ嘘だろ、こいつら頭突きとか……して、くんぞ!」

 

 なんか皿を割られたら即死なんだけど、皿が身体の中で一番かたいらしく、通常技で頭突きが一番攻撃力が高いらしい……無茶すんなよ……。

 

 

 だいぶ、奴らも疲れてきたみたいだ……それなら次は──

 

「ニャァ!」

 プルプル

 

 刹那と水奈の出番だ。

 

「ちっ、増援だと!

 スライムとケット・シーか!?」

 

「おそらく水妖と化け猫に御座る」

 

「おい、河童とやらは俺たちで対応するからそいつらはお前たちが頼む」

 

「わかったのである」

 

 刹那と水奈を刀組が相手する。……うまい具合にことが運ぶな……。

 

 

 刀組はひとまずおいといて、大剣と妖刀のコンビだ。作戦では二組に分断したら久遠は非妖刀組に向かわせてできるだけ距離をとり、非妖刀組は六花と合流するように指示してある。

 つまりこっち(妖刀組)には河童たちと支援のナデシコ、そして俺しかいないことになる。

 ただまぁ……ぶっちゃけ分断した段階で勝負は決まったようなもんだけどな。

 

 

「ちっ、引き離されたか!」

 

「まぁ、そんなところだな」

 

「!?

 だ、誰だっ!?」

 

「誰だ、はどちらかと言えばこちらのセリフなんだがな……。ようこそ我が家へ、侵入者さん」

 

「我が家? ……ってことはてめえがダンジョンマスターか!」

 

「いかにも」

 

「へっ、こんなにも早くダンジョンマスター自ら登場とはやっぱここは出来立てのダンジョンみてぇだな!」

 

「まぁ開放から2週間ってところだな」

 

「こっちに居るてめえの部下のモンスターはあらかた倒してそこの黒いのだけだ! つまり2対2、お前はヒョロいし、黒いのはぼろぼろ……楽勝だぜ!」

 

 そう言うなり大剣を持った男は襲いかかって来た。だが、

 

「2対2? ……」

 

 ザクッ

「3対1の間違いだろ?」

 

 その刃が俺に届く前に、男の胸から刀が生えて来た。

 

 妖刀の刃が大剣の男の背中から胸に貫通している。妖刀が完全に男の身体を操り、相方である大剣男に不意討ちを食らわせたのだ。

 こっちの面子は全員レベル一桁なので、20越えの連中になかなかダメージを与えられないが、この方法なら攻撃力は肉体依存なので十分ダメージを与えられる。しかも妖刀は肉体へのダメージを考慮せずにリミッターを外せるので本人よりも攻撃力が高い。

 それに加えて、味方の裏切りという精神的ダメージもある。どうだ、味方に裏切られた気分は?

 

「……ブルー……タス……また……お前か……? ……」

 

 ……え、またお前か、って……コイツそんなにしょっちゅう裏切るの?

 

「…………」

 

 完全に身体を妖刀に乗っ取っられているので、ブルータス?は答えられず、

 

 ザクッ

 

 妖刀に操られるがままに、大剣男の首を斬り落とす。

 

 ──傭兵を撃破しました、1054ポイント入ります。

 

 

 よし、一人倒せた、次はあっちの刀組だな。

 

 早いとこ合流しよう。刹那の目を通してわかる戦況はまずまずと言ったところだが、いつそのバランスが崩れるかはわからない。それに早くしないと妖刀が乗っ取っている侵入者の身体がリミッター解除の所為でガタが来そうだし。

 


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