論功行賞
「さて、戦闘が終わった訳だが……河童班、ここに来い!」
「「「クケェ……」」」
とりあえず論功行償だ。
嫌なことは先に済ませる主義なので賞罰のうち罰を先に済ませる。
「あ、主さま、どうか寛大な処置をお願いします……元はといえばわたしたちが……」
「ニャァ」
「クォン」
「心配するな……初犯だから重い罰にはしない」
六花達が河童班の助命嘆願をして来たので安心させる……取り返しのつかない事態にはなってないから言えることだけどな。
河童班がやって来たので説教を始める。
「お前たち、今は見回りの時間だ。
何故ここにいた……かはわかっているが……その結果なにが起こったかは理解しているな」
「「「クケェ……」」」
「ならば罰を与える、お前たち今から成功するまで《雨乞い》をしろ」
スキル《雨乞い》小河童と水蛇がもつMPを消費することで雨を降らせる能力、成功率はステータスに依存しナデシコは15%、小河童達は10%前後。
現在の小河童のMPでは3回が限度だ。
「クケ」
「「クケケ」」
「クケェク」
「「クケクケェ」」
河童達が何か話し合ったあと、河童班唯一のオス、通称ニトロが前に出て踊り出した。この踊りが《雨乞い》の発動方法だ。
二回踊ったが失敗し、三回目にしてようやく成功して雨が降りだした。
「それじゃあナデシコ《癒しの雨》を頼む」
「シャー」
《癒しの雨》は降っている雨に治癒能力を付加し仲間を回復させるスキル、味方程ではないものの敵も回復してしまう欠点があるけどな。
降り注ぐナデシコの《癒しの雨》が傷付いた河童達を癒す。
……結局罰を受けたのはニトロだけだったな……。
「なぁ六花、あいつらは何を話してたんだ?」
「はい、河童班の女性はその……妊娠しているらしく男の方が罰を一身に受けると言い出したのです」
……ニトロなにヤってんの?この時期に孕ませるとか……。そういや、あの雌河童は死んでないし、攻撃よりも拘束をやってたな……
「いつごろ生まれるかはわかるか?」
「明日には産卵するみたいなのです。孵化するのは一月ほと先になるみたいなのですよ」
……河童って卵生なんだ……。そういやあいつらヘソなかったな……。
明日産卵ってことは大変なのは明日からの数日間だけか。……このダンジョンっていまは、
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こんな配置で小部屋が一つ余っているからそこを産卵部屋にするか。
コクホウに指示を出し、シフトの調整をし河童班の雌を休ませる……その前に、
「河童班、今回の職務怠慢と不用意な妊娠及び報告不備……今回は大目に見るが……次はないぞ」
「「「クケェ……」」」
きっちり釘を刺しておく。……まぁ脅しじゃなくて、最悪還元も視野にいれておくけど。さすがに何回もダンジョンのピンチに直結するようなことをやられると困るしな。
断罪は終わったところで次は褒美。
「大きな鹿に止めを刺したのはコクホウ、小さいののうちの1体は俺だが、もう1体はだれだ?」
「クォン!」
……え?
「久遠、お前が?」
「クォン」
……あのときお前六花の傍に……いや、俺は六花しか見ていなかったから久遠がどこにいたのかは確認してない。存在を確認したのは六花たちを守るように指示したときの返事。……つまり1体目のあとすぐに傍に来たのか……。