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鹿狩り

 ダンジョン作ってから一ヶ月。

 河童たちと格闘戦の訓練をやったり、久遠達の為に魚を手づかみで捕まえたり、六花達と風呂に入ったり……他にも色々やってなかなか楽しめたな。

 河童たちとの格闘戦は相撲と思いきや、プロレス技なんかも駆使してきてなかなか油断ができんかった。まさか河童にクロスボンバーをされるとは思わんかったな……。

 魚の手づかみは最初なかなか成功しなかったが、久遠にコツを教えてもらって成功……久遠自力で捕まえれたのね。

 

 六花達とお風呂……オレもうロリコンでいいやってなるのがちょっと困る。風呂は1日交代で水風呂とぬるま湯、ぬるま湯だと俺と六花の肌が真っ赤になるが我慢できないことはないので久遠達の為に入っている。

 ただ、刹那は猫だからか風呂に入れようとするといつもはおとなしいのに逃げようとしたり、暴れたりする……久遠が捕まえて説教してくれるから助かるけど。

 二足歩行の猫って温泉に入る生き物じゃないのか?

 

 ダンジョンが開放された訳だが……まぁ、開放されてすぐに侵入者がくるわけないわな。

 ってわけで、まったり朝飯の準備、今日の朝食は俺と六花はかき氷、久遠と刹那、それと……休憩時間でここに遊びに来てる水奈(スイナ)には鮎の塩焼きを用意。

 普段はデロって感じだけど、ここに来るときはプルって感じになるからなかなかかわいい。

 

 ちなみにかき氷は俺と六花の毎朝の朝食で、畑で育てた苺で作ったのシロップが六花のお気に入り。かき氷の氷は六花が、鮎の塩焼きは鮎の捕獲を水奈が、内臓取りを水奈が、焼きは久遠が担当。六花と久遠はスキルの練習も兼ねている。

 そして俺はシロップ作り……鍋の火がなかなかつらい……。

 

 

 朝食も終わり、今後のダンジョン経営の計画を立てるためにウィンドウを読む……レベルアップしたり条件満たしたりすると項目が増えるから参考程度だけどな。

 膝の上に水奈を装備しウィンドウを開く。


水奈は六花程ではないけどひんやりしていていい感じ、夜は六花共々抱き枕にすることもある。

 ちなみに六花達は河童たちの所に遊びに行ってここにはいない。

 

 うわ、超合金スライムって何だ?スライムといえば水奈みたいな奴らだったはずだが、超合金って……。アクティブ・マンドラゴラって引っこ抜かれなくても自分で地面から出てきて奇声を上げるのかよ……。

 

 計画立案の参考になるかもしれないので妖怪以外のモンスターページに目を通していると……、

 

 ──ブーブー

 侵入者が現れました。

 

 システムメッセージが聞こえて来てダンジョン用のウィンドウが勝手に開いた。

 初日から早速侵入者が現れたようだ。

 

 ──獣3体の侵入を確認しました。

 

 人間じゃなくて動物か……。迷い込んだか、水を求めて来たのか?……まぁ、河童たちがどれくらい戦えるか見るのに丁度いいな。

 

「水奈、お前も配置につけ」

 

 ウネウネ

 

 

 水奈は返事をするようにうねるが、一向に動こうとしない。

 

「どうした、行かないのか?

 え、一緒に来てほしい?……しょうがないな」

 

 1ヶ月一緒に暮らしているとなんとなく言いたいことがわかる。……結構甘えん坊なんだよな、水奈って。

 水奈が身体の一部を触手みたいにして伸ばしてきたので手を繋いで大部屋に向かう。

 

 大部屋に来ると、何故か既に侵入者らしき動物──3体の馬鹿デカイ鹿がいた。

 …………アラートが鳴ってからあんまり時間が経ってないよな?

 まぁそれは大した問題じゃない……こともないけど、何故か。

 

「「「クケェァァァ!!!」」」

 

 河童たちがその鹿をフルボッコにしている、それもバーサク状態で。

 しばらく呆然としていると、1体が倒れ、残り2体となる。

 

 ──獣を1体撃破しました、10ポイント入ります。

 

 撃破メッセージが聞こえたことで我に返り、唯一ちゃんと言葉が通じる六花の所へ向かう……と、

 

「六花これは何が……その頬はどうした?」


 

 左の頬が赤くなり、目も赤くなった六花がいた。

 

「あ、主さま……実は」

 

 

 六花の話をまとめると、河童たちと遊んでいたら突然入り込んで来た鹿に六花が轢かれ、河童たちがぶちギレた──ちなみに河童は8鬼全員いるので今見回りがあたっているはずの河童班はサボっていたらしい。

 

「……六花、とりあえず氷を出して頬を冷やせ。刹那、悪いんだが供吸精を頼む。久遠はないとは思うが、万が一鹿がこっちに来たときは二人を頼む」

 

「クォン」

「ニャァ!」

 

「あ、あの主さまはどうするのですか?」

 

 どうするか?

 そんなの当然

 

「鹿狩りじゃぁぁああ!!

 いくぞ、水奈」 

 六花を傷付けた鹿なんてこの世に存在する資格はない。

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