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一般道から高速、又一般道を経由して再度高速、サービスエリアでトイレ休憩、又々一般道、再々度高速、後は一般道でトラックは走る。

椎橋いわく『この経路が、燃料費と高速代と所要時間を計算すると、一番効率が良い』のだそうだ。

コーヒーとサンドイッチと他愛ない会話をのせて、渋滞に巻き込まれる事もなく、一時間足らずで中型トラックは目的の引っ越し先に着いた。

そこには、シオリを始め、式部とトウジ、カツトとソウのチームメンバーに加え、エリカ達ケーブルテレビ局のスタッフ。更に大隈たち他のチームの方々までが集まっていた。

「この度は引っ越しのお手伝いありがとうございます。太宰のマネージャーを務めさせていただいております根津ともうします。

これから撮影隊が参りますのでよろしくお願いいたします」

トラックから降りて根津がお辞儀をした。

その横でソノタも頭を下げた。

そこに千駄木をのせた谷中達のロケ車が滑り込んだ。

タウンエースから降りた千駄木が声を出した。

「若輩者ですので、ご存知無いかもしれませんが『優!トライしちゃおうか!』でレポーターを務させていただいております、千駄木優ともうします。本日はお集まりいただきありがとうごさいます。これから引っ越し作業の撮影がありますが、皆様よろしくお願いいたします」

千駄木が頭を下げる時に、ソノタと根津、椎橋、谷中達クルーが一緒に頭を下げた。

エリカ達と谷中達の名刺交換と、シオリ達の千駄木サイン会が終わり、引っ越し作業後編の撮影が始まった。

ガランとした空っぽの室内を撮り、荷ほどきをする千駄木と椎橋を撮る。

今回は建物の外観を撮らないので、トラックからの荷下ろし撮影をして、部屋の中に家具家電を運び込み荷ほどき、段ボール箱を運び込み荷ほどき収納の一部を撮影。

その後に全てが終わった部屋内と空っぽのトラックの荷台を撮す事になった。

エリカ達ケーブルテレビ局のスタッフが谷中に撮影協力を申し出て、急遽合同撮影隊が設立された。

まず、家具家電、段ボール箱を千駄木とソウがトラックの荷台から下ろす。

トウジとカツトが受けとる。

撮影はケーブルテレビ局スタッフ。

トウジ達からの荷物を式部や大隈達が、部屋の入り口まで運ぶ。

式部達からソノタ、根津と椎橋が荷物を受け取りソノタの指示の場所に設置する。

段ボール箱に書かれた【K1小物類】などの印しに従い、シオリやエリカ達が開封して収納。

撮影は谷中達正規クルーが担当で進行した。

シオリが、狭い出入口ではなく、横のサッシの吐き出し窓利用を思い立ったので、搬入はスムーズにすすんだ。

トラックの荷台が空になると、その撮影を終えたケーブルテレビ局スタッフもら、千駄木や式部達も部屋での収納に参加した。

椎橋は段ボール箱等の片付けに取りかかり、午後三時過ぎに全ての作業が終了。

「本日は、皆さんのお陰で無事引っ越しも終了いたしました。ありがとうございました。時間も午後三時を過ぎました。ここでいったん休憩をしましょう。どうぞ」

根津が挨拶しペットボトルのお茶とお茶受けのお煎餅を配った。

「皆さん、今回の【優!トランスポーテーションしちゃおうか!】へのご参加、まことにありがとうございました。大変な素人引っ越しも、椎橋さんの様な知識や技術と、皆さんの様な善意の参加者が居られると、こんなにも楽しく、こんなにも素晴らしく、こんなにも気分良く終える事ができるのですね。椎橋さん今回のご指導ありがとうございました。根津さん撮影への御協力ありがとうございました。今ここにいる後半にご参加いただいた皆さん。前半の荷造り積み込みに、來留間さんとご参加いただいた皆さん。ありがとうございました」

千駄木が頭を下げた。

「今日の【優!トランスポーテーションしちゃおうか!】いかがでしたか?次回の【優!トライしちゃおうか!】は【優!鷹匠しちゃおうか!】です。お楽しみに。と、いうところでスタジオの東川さんマイクをお返ししまぁす」

千駄木が爽やかな笑顔でカメラの前で帽子を大きくふった。

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