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「もう、ここに住んじゃおう」

シオリは体育センターの【物置2】と書かれた張り紙のあるドアをバンバン叩いた。

赤いジャージに白い短パンのソノタは一本の鍵を右手でつかんでじっと見ている。

「ソノタくんの為にお昼寝もしないで、私が掃除してあげたんだ。有り難く住んじゃいな」

おずおずとソノタがドアノブの鍵穴に鍵を入れガチャリと回した。

シオリは【物置2】と書かれた紙をビッとはがした。

その下からは【その他小屋】と書かれた紙が出てきた。

「あ、間違えてた」

シオリが赤いマーカーで【他小】の字にバツ印を付けて、下に【∧】と【た部】を書き加えた。

「開けます」

「どうぞ」

ソノタはゆっくりとドアノブ回し手前に引いた。

幅は狭いが縦に奥行きが深い部屋だった。

畳六畳分を一直線に並べた部屋だった。

畳縁同志を隣り合わせた畳を縦に五枚と最奥に半畳の畳が並んでいる。

恐る恐るソノタが靴を脱いで脚を踏み入れると、少しかび臭いがきれいに掃除されていた。

最奥に行くとその窓側には半畳を使った水道の蛇口付きの小さなシンクと一口の電磁調理機。

最奥にあるドアを引き開けると、水洗の洋式トイレとシャワースペースが有った。

「あがりまち無いから、何か箱とかドアの内側に置いて靴とか置いて」

入り口のところでシオリが言った。

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