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「ここは、今までの物件とは違いまして、まあ、仲介?なんですが、いかがでしょうか?向きが北向で築四十二年と年期が入っておりますが、ご希望のお家賃以内で、六畳、台所付きガス口二つありの、バスシャワー付き、別に洋式トイレ水洗お尻洗浄機付き、角部屋になっておりますし、このように浴室内に洗濯機も置けるスペースもございます」

不動産会社の男性社員に連れられて、ソノタは賃貸物件をめぐっていた。

「交通機関も徒歩七分で、最寄りのバス停がございます。この路線でしたら、ご希望の駅発着ですし、終点が体育センターの前のバスターミナルになりますし、バスターミナル発着の別路線にはケーブルテレビ局様の最寄りにバス停がありますので」

根津がソノタに言ったのだ。

『今の自宅最寄り駅から、ケーブルテレビ局経由体育センターまでの通勤定期代が経費で落ちたぞ。ただし今年中だけだ。この間に向こうの物件を押さえて引っ越せ』

「もう、ここでいい……いやいや、今日はありがとうございました。後日、次を見せていただけませんか?」

「承知いたしました。では、最寄りバス停まで御送りいたしますので」

不動産会社の男性社員が頭を下げた。

ソノタはそれよりは深く頭を下げた。

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