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「どだった?」
モバイルをいじっていたソウが顔をあげ、ビルから出てきて車のドアをあけたソノタに、たずねながらエンジンをかけた。
「あ、お陰でレギュラーの仕事取れた。安いんだけど、まぁ来年からの情報バラエティーみたいな」
軽トラに乗り込みソノタか答えた。
「へぇ、そりゃ良かった。キャスターかMCか何か?俳優だからってドラマじゃねぇだろとは思ってた。ここ作のドラマって見たことねぇから、作ってねんじゃねぇかな」
車を発進させ、話を続けた。
「この先、駅。んで駅の脇にタクシー乗り場あるんよ。シオリに電話してもらえば、体育センターだろが、トウジんトコだろが、来てくれただろうけどな」
話しているうちに早くも数分ごには軽トラは駅に着いていた。
「ありがと、また」
ソウが駅前の車止めに軽トラを寄せると、荷物をもったソノタは挨拶し車から降りた。
「ちょ、ちょ、ちょ、これ出して、出して」
ソウがモバイルを示しながら、呼び止めてソノタに言った。
「練習日とか知らせるん、これ楽だから。登録しろよ、俺とトウジとカツトのグループに」
ソノタはグループに登録した。
満足気にソウが笑った。
「TEL番とかはシオリに聞くから、じゃな」
「じゃ」
走り去るソウの軽トラを見送り、ソノタはタクシー乗り場ではなく、駅に入っていった。