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何やらごそごそとしていたカツトが、目を見開いた後すぐに眉根を寄せて口をしかめた。

その後またごそごそと動く。

カツトの手元を後ろから見ていたトウジが悲しげな視線をソノタに向けた。

「夜中に決まったんならマコッちゃん知らせんわな、マコッちゃんプライベートでは今はネット系はもやっとらんし」

ソウがウンウン頷いている

「あのジャージとかも俺用のだろうな。シオリも用意する時間無かったろうから」

続くたソウの言葉をカツトが打ち消す。

「いやぁ、あれは純粋に予備だよね。マコト監督も含めて百六十五から百七十でしょ、身長。で、でぶでぶくんは居ないし」

「ならソノタもユニフォームの貸し借りできるんだ」

トウジの言葉もカツトが打ち消す。

「しないって、てか、できないって、五人とも一緒の試合に出るんだから」

「あぁ、そうか。寝不足で頭回らん」

「トウジ今日もシフト、夜間だろ、寝なくていいのか?」

ソウがたずねるとカツトが続けた。

「もう、二時んなるよ、トウジ大丈夫?」

「あぁ、俺寝る」

トウジの答えにソウは立ち上がって、手を引っ張りソノタにを立ち上がらせた。

「このへんで解散。ソノタは駅のタクシー乗り場まで送るから。トウジごっそさん。じゃ、行くはな」

「美味しかったです。ありがとうございました。また」

卓袱台の横に座るトウジとカツトにソノタが頭を下げて挨拶した。

「まったねぇ」

カツトは頭上で大きく手を振った。

「じゃ!めげないで、てか、やめないでまた来いよな」

トウジは右手を小さく挙げた。

二人はソノタの背中を見ながら会話をした。

「もしネットが正しければさ、ソノタお母さんの旧姓も使いにくいよね」

「そだな【五味其太(ゴミソノタ)】になるからな」

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