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『「こぉ〜んにぃ〜ちはぁ〜」
暗灰色のスエットの上下を着たソノタが、体育館とおぼしき所で、両手を頭上で降りながら、大声を張り上げていた。
「外回り其太の来てみた見てみたやってみたの、太宰其太で〜す。今日はここ【シー・デーツコーポレーション】さんの関東トレーニングセンター室内コートにお邪魔しております」
ソノタが歩き始めるとカメラがトレースしてゆく。
青色トレーニングウェアに、眼鏡をかけた、少し背の高い男の隣にソノタは移動した。
「今日は珍しいスポーツシリーズの第五段、アルティメットテーザーボールです。教えて下さるのはこちらシー・デーツコーポレーションさん所属の、実業団アルティメットテーザーボールチームの【クール・フロックス東日本】の大隈義光監督です。監督、よろしくお願いいたします」
ソノタは大隈に頭を下げた。
「よろしく」
大隈もお辞儀をした。
「早速ですが監督、実際の試合の様子を実演しながら用具やルール等を教えていただけないでしょうか?」
ソノタが大隈にお願いをした。
「では、クールフロックスの新島、岸本、矢代、宮城、中川、桂の各選手と、フラッシュトードスの式部さん、ホットクラシーズの源さんと平良さん、フライシナジーズの藤原さんに試合していただきながら説明しましょう。審判はクールフロックスの菅原、野口、伊藤選手にお願いいたしました」
大隈が説明を始めると、カメラが移動し、室内フットサルコート内にいる九人の男と、コートの外にいる二人の男を写し出した。
全員がハーフパンツにティーシャツにソックスとバスケットシューズだった。
そしてコート内の四人が、緑色のノースリーブのメッシュナンバーシャツを着けている。
コート内の別の四人とコート外の二人は赤色のメッシュナンバーシャツを着けている。
全員がヘッドギア兼用の大きめの透明なゴーグルを頭にゴムでつけ、膝あて肘あてを装着していた。残りの一人の男は白と黒のストライプのティーシャツで直径六十センチメートルもあるサッカーボール模様のメディシンボールを左手で抱えていた。
「試合は四対四で行います。今回は赤組と緑組です」
コート内のナンバーシャツの八人が右手を上げている。
「交代要員は一チーム二名までで、最低限四名、最大六名まで登録できます」
今度は赤色ナンバーシャツの六人が右手を上げた。
「審判は主審と、線審を兼ねる副審二人の三人です」
画面の外から白と黒のティーシャツの男が二人画面に映り同じ服装の男が三人で右手を上げた。
「コイントスかじゃんけんで勝ったチームがボールかコートを選びます。負けたチームはその反対を選ぶ事になります」
赤いナンバーシャツがボールを審判から受け取った。
分かりやすくしたのが緑チームと赤チームがコートを入れ換えた。
「使用するボールは直径二十四インチ。つまり約六十センチメートルのメディシンボールです」
ボールを持っていた選手が両手でボールを高く掲げた。
「コートは縦が三十八メートルから四十二メートル。横が十八メートルから二十二メートルの長方形です。縦の半分の場所にハーフウェーラインを引き、その中央に直径三メートルのセンターマークを引きます」
選手達がそれぞれラインを指差した。
「ハーフウェーラインから五メートル離れた場所に交代ゾーンをつけます」
コート内の赤色ナンバーシャツの選手とコート外の赤色ナンバーシャツが右手を上げながらインアウトと交代して見せた。
「ゴールポストの間隔内幅は三メートル。クロスバーの下端からピッチ面までの距離は二メートル。ゴールポストとクロスバーは同じ幅と厚さで八センチです。ゴールの奥行きはピッチ面から上側は八十センチメートル以上で、ピッチ面においては百センチメートル以上ですね。ゴール前には直径三メートルの半円形にショックゾーンを書きます」
選手達がゴールや付近の各所を指差す。
「ショックゾーンとはなんでしょうか?」
ソノタが質問を挟んだ。