78 ゲーセンにて(Ⅰ)
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──ゲームセンター、通称ゲーセン。
古今東西の若者娯楽の中心地、陰キャと陽キャの交わる遊戯場と言っても過言ではない。
少ない金額でシューティングやレース系をちゃかちゃか遊ぶもよし、札を握りしめてプライス系に腰を据えるもよし。
遊ぶなら取り敢えずココに来とけば安パイと言える場所だ。
無論、同ショッピングモール内にも割と広い敷地で存在していた。
そんなゲーセンへ到着して早々、紫波雪風がボソりとつぶやく。
「──ここが、ゲーセンッ!」
息を呑むように、覚悟を決めるようにそう呟く紫波雪風。
「紫波さん、どうしました?」
「気をつけて、滝沢さん! ここは不良たちの巣窟、ボーッとしていて目をつけられたら裏路地へ連れて行かれて金銭を巻き上げられると聞いているわ! 慎重に遊びましょう!」
「いや慎重に遊ぶとは?」
何故だか、紫波雪風が斜め上にハッスルしていた。
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「──ここが、ゲーセンッ!」
「紫波さん、どうしました?」
ゲーセン。
そこは、魔性と青春の巣窟。
煌びやかな色とりどりの閃光とアップテンポのBGMに彩られた若者たちの
そして、
ゲームセンター限定のプライス──ぬいぐるみやフィギュアといった垂涎のオタクグッズを得る為には向かわなければならないが、しかし真の陰キャには敷居が高すぎる魔の領域。
大金持ったオタクを狙って不良どもが狩りをすると噂の虎穴。
確かにここは楽しい遊び場ではあろうが、しかし気を抜けばヤられる戦場──らしい。
「気をつけて、滝沢さん! ここは不良たちの巣窟、ボーッとしていて目をつけられたら裏路地へ連れて行かれて金銭を巻き上げられると聞いているわ! 慎重に遊びましょう!」
私はまだココの危険性を理解していないふたりに警告をする。
「いや慎重に遊ぶとは?」
「慎重に、気をつけて、目立たずに遊ぶのよ」
「紫波さんもう十分目立ってない?」
「そんなはずは!」
しかし、非常に言い難いことだが我々は目立っている可能性はある。
自分でこんな事を言うのは不服ではあるけど、私たち三人は系統がそれぞれ違うとはいえ全員が美少女だ。
若者たちの溜まり場で、ナンパされたり不良に絡まれる可能性は特に高いかもしれない。
──ならば、ふたりに披露し伝授せねばなるまい。
「教えてあげましょう、
パッと格好つけて私はふたりにそう宣言した。
──反応は、あまりよろしくなかった。