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57 告白アフター(Ⅲ)

 ▽▲▽


 久々に梅雨時らしい曇天が広がってる今日。

 ボクは、机に突っ伏して(しかばね)のようになっていた。

 昨日の宮古くんからの告白。

 そのせいか寝不足の頭に、今朝から低気圧直撃。

 ズキズキと頭痛が酷い。

 頼むから早く効き始めてくれ、ロキソニン。

 そしてズキズキとした痛みの原因は、宮古くんと低気圧だけでは無い。


「リンちゃん大丈夫?」


「酷いようなら保健室に行くことを勧めますわ。睡眠を取るだけで頭痛はある程度緩和されましてよ」


 ーーお前ら、いつの間にそんな仲良くなったん???


 ちょっと前までギクシャクしてたじゃないか。

 そこに致命的な亀裂入れる為の計画進めてたんだけど、いつの間にコンクリで舗装されたのさ?

 何するっと休み時間にボクたちの間に入ってきとるんだ紫波雪風。

 昼休みならまだしも10分くらいしかない中休みだぞ今。

 何故その貴重なハーフタイムにわざわざ他クラス来てるんだ暇か?

 それとも友達いないのか?

 あぁ、ボクが最も苦手な不慮の事態が、予想外の展開が雪崩を起こしてる。

 打開策も水際対策もなにも思い浮かばないのは、心労のせいか疲労のせいか、頭痛のせいか寝不足のせいか。

 それとも全部か。

 取り敢えず、ここは一旦引こう。


「じゃ、じゃあそうしようかな」


 シャクではあるが、紫波雪風の案にのって保健室で仮眠を取ろう。

 小一時間寝ればある程度寝不足も解消されるだろうし、頭痛薬もその間に効き始めるだろう。

 頼むから早く効き始めてくれ、ロキソニン。

 よろっと立ち上がったボクを見て、紫波雪風の目が怪しく光ったーーような気がした。


「ふらついていて危ないですわね。ーーそうだ、付き添いを頼みましょうか」


 そう言って、何故かキノにアイコンタクトを取ったーーような気がした。


「そうね! それじゃあーー、宮古くん!」


「は、はいっ!?」


「リンちゃんを保健室まで連れて行くの、お願いできるかな?」


 よ り に も よ っ て !!


 何故そのタイミングで宮古くんに頼むんだキノ!

 彼は同じクラスだし、近くにいた親しい男子だからってだけの選出かもしれないが、よりにもよって!?

 昨日の今日なんだけど!?

 ーーいやまぁ、宮古くんがボクに告白してフラれたのはキノは知らないのだから他意はないんだろうけど。

 こんなの、頼まれた宮古くんだって困るだろう。


「わ、わかりました! 行きましょう遠野さん!」


 いや、断れよ!

 気まずくないんか、(おのれ)は!?

 自分をフッた相手に対して、どんな気持ちで接しようとしているんだ。

 メンタル鋼か?

 ジュラルミン合金か?


「な、なんでこうなった」


 段々と悪くなるボクの環境と頭痛。

 待ち受ける未来の苦しみを想像して、ちょっと意識が遠のく感じがした。

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