47 愛の告白ってどうするの?(Ⅰ)
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「我々は、君の告白を応援することにしました」
「え、いや結構です」
「早速作戦を考えようと思うんだけど」
「結構です」
あーだこうだと押し問答を続けて、ようやく。
「わ、わかりました。よろしくお願い、し、ま、す」
物凄く嫌々っぽい感じはあるが、協力することになった。
さて、ここで肝心の告白作戦を彼に説明する。
「今日の放課後、遠野花鈴をどっかに呼び出します」
「はい」
「告白します。以上!」
「ーーえ?」
私が考えた作戦を聞かせた瞬間、彼は変な声を出した。
まぁ、作戦という
「作戦と呼ぶには杜撰すぎません!?なんかもっとこうーーありません!?」
何かジェスチャーで表現しながら抗議の声を上げる杖助くん。
しかし、そのジェスチャーはなんかこうフワっとして具体性が無く、何を表現しているのかがわからない。
多分本人もわかってないだろう。
陰キャでコミュ障、人間関係から離れていた人に有りがちなパターン。
ーーなんだろ、私も悲しくなってきた。
「だけどオタクくん。私にもちゃんと考えがあってこう言ったのよ」
「えー、じゃあまぁ、聞きましょう?」
「まず、ロマンチックな雰囲気での告白。あれって卑怯な感じしません?」
夕暮れの教室とか、夜景の綺麗な高台とか、満天の星空の下とか。
雰囲気は大事だというのは否定しない。
だけど、私はソレはちょっとズルいと思う。
「ようはソレって、周りの環境を利用して自分の魅力にブーストかけた状態で告白してるってことじゃない? それで告白成功しても、常時魅力ブースト状態な訳じゃないから、しばらくしたら相手がガッカリしそうじゃないかな」
「ーーうっ」
謂わば下駄を履いてカサマシしたようなモノ!
それは偽りの魅力であり、つまり愛した彼女を騙していることにならないか、と。
「真の勇者ならば、飾らない素の魅力だけで相手を虜にすべし!!」
ビシッと決め台詞を吐いて、杖助くんを指さす。
そもそも、大事な局面にブーストかけたってその量はたかが知れてる。
女の子の目は、案外節穴じゃないのだ。
それよりだったら、普段のおこないや態度で内心点をコツコツ稼ぐ方が良いと、私は思う。
まぁ、あくまで私の意見というだけであり、絶対に正しいわけじゃないけどね。
「わ、わかりましたが、もうちょっと捻りません? ーーそ、そうだ放課後にまた集まりましょう! そこでもう一度考えてみる感じで!」
「逃げる気ですの?」
ちょっと強めに脅しをかけてみる。
すると彼は青い顔してぶるぶると首を振る。
私ってそんな怖いかな?
怖いか、悪役令嬢だし。
「い、いや、ただですよ、もう少し他の人の意見も聞きないなー、なんて思いまして! か、かねてより相談をよくしていた人がいますので、彼女も交えてーーという感じでいかがでしょうか!?」
なんか必死な感じがする。
そんな彼の熱意に負けて、私はOKを出すことにした。
ーーさて、放課後が楽しみだ。
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「ーーえ、待ってどういう状況コレ?」
「僕も聞きたい」
「私も聞きたい」
杖助くんが連れてきたアドバイザー、もしくは恋愛裁判の弁護士役。
その正体は、主人公・滝沢月乃その人であった。