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47 愛の告白ってどうするの?(Ⅰ)

 ▽▲▽


「我々は、君の告白を応援することにしました」


「え、いや結構です」


「早速作戦を考えようと思うんだけど」


「結構です」


 あーだこうだと押し問答を続けて、ようやく。


「わ、わかりました。よろしくお願い、し、ま、す」


 物凄く嫌々っぽい感じはあるが、協力することになった。

 さて、ここで肝心の告白作戦を彼に説明する。


「今日の放課後、遠野花鈴をどっかに呼び出します」


「はい」


「告白します。以上!」


「ーーえ?」


 私が考えた作戦を聞かせた瞬間、彼は変な声を出した。

 まぁ、作戦という()()も為してない感じはあったから、当然といえば当然か。


「作戦と呼ぶには杜撰すぎません!?なんかもっとこうーーありません!?」


 何かジェスチャーで表現しながら抗議の声を上げる杖助くん。

 しかし、そのジェスチャーはなんかこうフワっとして具体性が無く、何を表現しているのかがわからない。

 多分本人もわかってないだろう。

 陰キャでコミュ障、人間関係から離れていた人に有りがちなパターン。

 ーーなんだろ、私も悲しくなってきた。


「だけどオタクくん。私にもちゃんと考えがあってこう言ったのよ」


「えー、じゃあまぁ、聞きましょう?」


「まず、ロマンチックな雰囲気での告白。あれって卑怯な感じしません?」


 夕暮れの教室とか、夜景の綺麗な高台とか、満天の星空の下とか。

 雰囲気は大事だというのは否定しない。

 だけど、私はソレはちょっとズルいと思う。


「ようはソレって、周りの環境を利用して自分の魅力にブーストかけた状態で告白してるってことじゃない? それで告白成功しても、常時魅力ブースト状態な訳じゃないから、しばらくしたら相手がガッカリしそうじゃないかな」


「ーーうっ」


 謂わば下駄を履いてカサマシしたようなモノ!

 それは偽りの魅力であり、つまり愛した彼女を騙していることにならないか、と。


「真の勇者ならば、飾らない素の魅力だけで相手を虜にすべし!!」


 ビシッと決め台詞を吐いて、杖助くんを指さす。

 そもそも、大事な局面にブーストかけたってその量はたかが知れてる。

 女の子の目は、案外節穴じゃないのだ。

 それよりだったら、普段のおこないや態度で内心点をコツコツ稼ぐ方が良いと、私は思う。

 まぁ、あくまで私の意見というだけであり、絶対に正しいわけじゃないけどね。


「わ、わかりましたが、もうちょっと捻りません? ーーそ、そうだ放課後にまた集まりましょう! そこでもう一度考えてみる感じで!」


「逃げる気ですの?」


 ちょっと強めに脅しをかけてみる。

 すると彼は青い顔してぶるぶると首を振る。

 私ってそんな怖いかな?

 怖いか、悪役令嬢だし。


「い、いや、ただですよ、もう少し他の人の意見も聞きないなー、なんて思いまして! か、かねてより相談をよくしていた人がいますので、彼女も交えてーーという感じでいかがでしょうか!?」


 なんか必死な感じがする。

 そんな彼の熱意に負けて、私はOKを出すことにした。


 ーーさて、放課後が楽しみだ。 


 ▽▲▽


「ーーえ、待ってどういう状況コレ?」


「僕も聞きたい」


「私も聞きたい」


 杖助くんが連れてきたアドバイザー、もしくは恋愛裁判の弁護士役。

 その正体は、主人公・滝沢月乃その人であった。

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