42 親友キャラも察しが悪い
▽▲▽
「やっぱり、やばくないか?」
攻略対象キャラがNTRされているーーいや、正しくはされ
ボクは
ここまでメンタルが低空飛行な朝はいつぶりだろうか、ちょっと記憶にない。
強いて言うなら、前世を思い出した直後以来かもしれない。
自身の
やはりあの悪役令嬢を早急になんとかしないとって思うがいかんせん作戦まであと4日もある。
その間に、何か奴の動きを牽制する手立てを考える必要があるーーか?
そもそも、昨日の件で確信したけど、ボクはどうやら
予定外計画外の事態が発生した場合の対応力が低いことが発覚した。
昨日も発見したあと、特に何もすることができなかったし。
そう考えるとなんか自信を更に無くした気がするし、先行きもドンドン不安になってきた。
「まーじで、どうしようか」
そんなぼやきを上を向いて虚空に吐き出す。
空は青々と澄み渡っていて、非常にいい天気。
ボクの心情との落差が酷い。
とぼとぼ力なく歩みを進めると、向かう先に見知った後ろ姿が二つ。
ひとつは、後ろからでもわかる可憐なオーラを纏った小柄な少女・滝沢月乃。
もう一方は、高い身長をきゅっと曲げて隣のキノと会話しているモッサリ頭の少年・宮古杖助。
ーーははーん?
どうやらあのふたりは、着々と仲良くなっていってるっぽいな。
入学当初からふたりとも共通のゲームが好きだとわかり、割と強引に紹介して仲をくっつけようとしたのだ。
結果、ボクが特に介入してなくても時々オンラインで一緒に遊んでるらしい。
コレは、キノの彼氏候補一位は決まりかな?
そう思うと、ちょっと気分が上向きになる。
嫌なことばかり考えるのは一旦やめて、ボクもふたりにおはようと挨拶でもするか。
「ーーで、とおーーと二人きりでキッサーーで話をしーー」
「ふたりっきりで!?それで、どうなったの?」
「いーー、ゲームのそーーされただけでーーにもなくーーで。僕って、とおーーに男子としてみーーてないんですかね」
「い、いや大丈夫だよ! 私、これからもちゃんと宮古くんの相談やサポート頑張るよ!」
何を話してるんだろうか。
キノの声はともかく、宮古くんの声は低いのもあって聞き取り辛い。
まぁ、いいか。
「ふたりとも、おはよう!」
後ろからそう言って、ふたりの背中をポンと叩く。
すると何故かふたりは揃って、小さな悲鳴を上げた。
「り、リンちゃん!?いつからそこに!?」
「ーーっ!?!?」
な、なんかふたりめちゃくちゃ動揺してない?
「いや、今来たばっかりだけど」
「わ、私たちの話聞いてた?」
「え、いや? あまり聞き取れなかったけど」
そうボクが言うと、あからさまにふたりはほっと息を撫で下ろした。
何かゲームの話でもしていたのだと思ってたんだけど、これは違う感じか?
「ふたりとも何を話してーー」
「あー!!そう言えば今日小テストあるって知ってたかな、宮古くん!!」
「え、えー? は、初めて知りましたよ! そうですよね、遠野さん!?」
「え、あぁ、うん?」
何故かそこから急に小テストトークが始まり、元の話に戻る空気ではなくなった。
ーーもしかしてボク、なんかハブられてる?