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38 ”にわか”なりのゲーム攻略(Ⅴ)

 ▽▲▽


 そして、夜。


「さて、と」


 ボクは自宅自室の机に向かって、今後の作戦を詰めようとしていた。

 さて、作戦は第一段階。

 紫波雪風を遊びに誘った。

 この瞬間、自分の精神に「紫波雪風と休日に遊びにいく」という猛烈な負荷がかかったものの、頑張って耐えた。

 顔にも出ていなかった、と思う。

 本作戦の最大の目的は、キノと紫波雪風の仲を悪化させること。

 仲を引き裂く、ともいう。


「あれ? これ、やってること悪役っぽくないか?」


 ふと、そんなことに気がついて、シャーペンの頭でコツコツと顎を叩きながら考えてみる。

 悪役はあくまで紫波雪風であり、ボクは主人公(キノ)(サイド)

 中立ないし、味方側よりのはずなんだけど。

 いやまぁ、これも全部キノの為だ。

 彼女の為なら、ちょっとばかし卑怯(ダーティ)なことしても大丈夫だろう。

 そして、今回の計画には複数のサブプランを用意して戦おうと考えている。

 前回の剣道部の一件。

 あの失敗の原因は、やはり計画に柔軟性がなかったことだろう。

 相手選手への妨害手段も、もっと多く用意して柔軟に切り替えていければ良かったと思う。

 指向性スピーカーのやつにこだわってしまい、視野が狭くなってしまったのが悪かった。

 だからこそ、今回は紫波雪風を貶める策を二重三重に張り巡らせーー。


「あの悪役令嬢を表舞台から放逐してやるわ!」


 実はその日はキノの誕生日であり、彼女を喜ばせるサプライズプレゼントを紫波雪風に用意させる。

 それを渡すタイミングで紫波雪風にとって複数のアクシデントが発生し、プレゼントは失敗。

 むしろ大いにキノの気持ちを害する結果となる……みたいな。

 アクシデントの候補としては、中身を嫌がらせ目的の物に振り返るのが第一。

 確か、生き餌用のワームとかペットショップで買えたよな。

 第二として用意したプレゼントをわざと先に渡したボクのと被らせるーーこれはイマイチインパクト薄いかな。

 第三案は、キノの目の前でそのプレゼントを破壊してもらうか。

 これも効きそうだけど、条件が厳しそうだな。


 まぁ、これを軸にしつつ、その他の作戦も併用。

 細々とした紫波雪風のイメージを損ねる作戦を随時行う。

 一日を通して、キノの紫波雪風に対するヘイトを徐々に蓄積させていって、最後のプレゼントでドーンだ。


 今まで紫波雪風に対してヤバい手段を使えなかったのは、彼女をキノが若干気にしているからに他ならない。

 その防御を剥がしたのなら、最早ボクが彼女に対して何をしても大丈夫だろう。


「く、くはははは! ここが年貢の納め時だぞ紫波雪風ぇえ!!」


 ーー改めて、なんかボク悪役感強くないかな?

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