37 ”にわか”なりのゲーム攻略(Ⅳ)
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「まず、その条件だと取り返しがつかない要素が多いので、行動はかなり慎重になった方がいいですね」
「ふむふむ」
ざっと宮古くんに説明をしたあと、彼は少し考え込んでアドバイスを始めてくれた。
「遠野さんの見立て通り、サブプランもいくつか並行して進めるのもありですが、場合によっては悪手です。ヒロインたちが嫉妬して修羅場になるイベントのトリガーになりかねません」
修羅場イベントね。
その概念は知らなかったから勉強になる。
でも、そういう修羅場イベントって乙女ゲームにもあるのだろうか。
こう、なんていうか
男子同士ではあまり発生しなさそうだなって思うのは、ボクだけだろうか。
いや、でもこの世界は乙女ゲーム。
ゲームをプレイする対象が女子だから、イケメンに独占欲持たれたいって層が一定数いて、その需要を満たす為にそういった展開を入れてる可能性もありうる。
まぁ、普代くんと宮古くんがキノを取り合う姿とか想像できないけど。
「あと、例のライバルキャラですが
「なん、だ、と?」
紫波雪風を放置しなきゃならないのか。
あの悪役令嬢は早期に排除するかなんかしないと絶対にいけない気がするんだけど。
「自分からライバルに何かやって失敗した場合、周囲のキャラからの好感度や印象が非常に悪化する可能性がーーってなんで遠野さんがそんな嫌そうな顔してるんですか?」
「ごめん、ちょっと条件反射というかなんといいますか」
ついつい歪んでいた顔に手を当ててぐりぐりと揉み解す。
そしてぱっと手を退けて、いつもの表情を作り直す。
「続けて」
「だから相手が何かしてくるまで放置。そしてその都度対処が一番ですね」
「いや、でもさ」
それって相手がボロを出すまで耐えなきゃならないじゃない。
物凄い長期戦覚悟の戦いになる。
でも、戦が長引けば長引くほどリスクは増大するわけで。
この案に対しては、素直に納得できないな。
「なんか納得してませんね、どれだけライバル嫌いなんですか」
「嫌いというか、生理的に無理というか、本能が嫌ってるというか」
なんか、設定以上に何故か嫌いなんだよね。
こう、理由なく敵意を持ってしまうというかなんというか。
それと同時に、話をすると妙に噛み合うというか、居心地がいいというか。
改めて考えてみると、ボクがあの悪役令嬢に向ける感情は意外にごちゃごちゃした複雑なモノだった。
「まぁ、結局カウンター主体でやるしかないっすね」
「カウンターね」
相手が仕掛けてきたら返す、ね。
ーー相手が仕掛けるの、上手く誘発できないかな。
キノの前で上手くそれをやれば、多分紫波雪風の本性に気がつくかもしれない。
キノが彼女を敵だと認識できれば、今後あの悪役令嬢とも戦いやすくなるし、キノのハッピーエンドも楽勝になるだろう。
「ーーそれは、いい案かもしれない」
ボクはいい事思いついたと、ニヤリと笑った。