33 陰キャゲーマーと親友キャラ(Ⅱ)
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その日の放課後。
ボクはHR直後の教室で、さっさと帰宅しようと席を立ったある男を呼び止めた。
「
その声に、いつも首から下げているヘッドホンを着けかけた動作が止まり、こちらを振り向く。
190センチ近い身長と長い手足の長身痩躯。
天パだという髪は、やや多い毛量と合わさってなんかモジャっとしている。
シルエットはまるでマッチ棒ーーというのは言い過ぎか。
いつも赤いヘッドホンを首から下げており、暇さえ有れば直ぐゲームをしている。
色白で活力的とは言い難い雰囲気とも相俟って、やや陰鬱そうな、近寄り難い雰囲気のある青年。
今呼び止めた、そんな彼こそが
この世界において、普代剣将と同じく
「えーと、遠野さん? ぼ、僕に何かあるのかな?」
その口から発せられた声は驚くほど低い。
しかし、それと同時によく響く
歳不相応に非常に大人びた声ともいう。
その容貌と声もあり、宮古くんは割と近寄り難くクラスでは若干浮いている。
ーー話してみると、だいぶ印象が変わるんだけど。
「ちょっと相談したいことあるから、
「わかった」
「よかった。時間取らせちゃってごめんね」
「大丈夫、気にしていないよ」
意外と物腰も柔らかく、紳士的。
優しくて気配りもできる。
親しくなると、彼もまた乙女ゲーのキャラに相応しいモテ要素の多い人物とわかる。
ーーだから、キノ以外の子がそのことに気が付かないようにボクが色々やって
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そして場所を変え、近所の喫茶店。
学院の近くなのに何故か人はいつ来ても疎らにしか入っていない。
それでいながら、リーズナブルで美味しい軽食とコーヒー。
なんでこんなトコに人が余り入ってないのか不思議でならない。
この喫茶店は、ボクやキノや宮古くんがよく利用していた。
「さて、宮古くん。ちょっとゲームに関する相談なんだけど」
「はい。ゲームのことなら、全然乗れると思います」
あまり深刻さを出さずに、話を切り出す。
まずは乙女ゲームについての相談だ。
今、ボクが置かれた状況を客観的に、無論現実じゃなくてフィクションで伝えてそれに近いシチュエーションの乙女ゲームか何かを知っていれば教えて貰おう。
もしくは、この状態をあくまで何かしらのゲームの設定と称して話し、アドバイスを貰おう。
ーーというわけで、話を振ってみる。
「実は、最近乙女ゲームというのに興味があって」
「乙女ゲーム?」
ーーあれ?
なんだこのリアクション。
もしかして、門外漢だったかな?
やはり、いくらゲーマーでも男子向けじゃないと知らないのか。
「恋愛シュミレーションの女子向けみたいな」
「あの、遠野さん。僕、そんなゲームジャンル
ーーなんだって?
ちなみに普代剣将はCV江○拓也さん、宮古杖助は竹内良太さんと勝手にイメージして書いてます。