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33 陰キャゲーマーと親友キャラ(Ⅱ)

 ▽▲▽


 その日の放課後。

 ボクはHR直後の教室で、さっさと帰宅しようと席を立ったある男を呼び止めた。


宮古(みやこ)くん、ちょっと」


 その声に、いつも首から下げているヘッドホンを着けかけた動作が止まり、こちらを振り向く。


 190センチ近い身長と長い手足の長身痩躯。

 天パだという髪は、やや多い毛量と合わさってなんかモジャっとしている。

 シルエットはまるでマッチ棒ーーというのは言い過ぎか。

 いつも赤いヘッドホンを首から下げており、暇さえ有れば直ぐゲームをしている。

 色白で活力的とは言い難い雰囲気とも相俟って、やや陰鬱そうな、近寄り難い雰囲気のある青年。

 今呼び止めた、そんな彼こそが宮古(みやこ)杖助(じょうすけ)

 この世界において、普代剣将と同じく主人公(キノ)の攻略対象となる人物だ。


「えーと、遠野さん? ぼ、僕に何かあるのかな?」


 その口から発せられた声は驚くほど低い。

 しかし、それと同時によく響く()()()()声だ。

 歳不相応に非常に大人びた声ともいう。

 その容貌と声もあり、宮古くんは割と近寄り難くクラスでは若干浮いている。

 ーー話してみると、だいぶ印象が変わるんだけど。


「ちょっと相談したいことあるから、()()()()()()にこれる?」


「わかった」


「よかった。時間取らせちゃってごめんね」


「大丈夫、気にしていないよ」


 意外と物腰も柔らかく、紳士的。

 優しくて気配りもできる。

 親しくなると、彼もまた乙女ゲーのキャラに相応しいモテ要素の多い人物とわかる。


 ーーだから、キノ以外の子がそのことに気が付かないようにボクが色々やって()()()()()って側面もあるんだけどね。


 ▽▲▽


 そして場所を変え、近所の喫茶店。

 学院の近くなのに何故か人はいつ来ても疎らにしか入っていない。

 それでいながら、リーズナブルで美味しい軽食とコーヒー。

 なんでこんなトコに人が余り入ってないのか不思議でならない。

 この喫茶店は、ボクやキノや宮古くんがよく利用していた。


「さて、宮古くん。ちょっとゲームに関する相談なんだけど」


「はい。ゲームのことなら、全然乗れると思います」


 あまり深刻さを出さずに、話を切り出す。

 まずは乙女ゲームについての相談だ。

 今、ボクが置かれた状況を客観的に、無論現実じゃなくてフィクションで伝えてそれに近いシチュエーションの乙女ゲームか何かを知っていれば教えて貰おう。

 もしくは、この状態をあくまで何かしらのゲームの設定と称して話し、アドバイスを貰おう。

 ーーというわけで、話を振ってみる。


「実は、最近乙女ゲームというのに興味があって」


「乙女ゲーム?」


 ーーあれ?

 なんだこのリアクション。

 もしかして、門外漢だったかな?

 やはり、いくらゲーマーでも男子向けじゃないと知らないのか。


「恋愛シュミレーションの女子向けみたいな」


「あの、遠野さん。僕、そんなゲームジャンル()()()()()()()()()()()()()んですけど」



 ーーなんだって?

ちなみに普代剣将はCV江○拓也さん、宮古杖助は竹内良太さんと勝手にイメージして書いてます。

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