23 ”にわか”なりのゲーム攻略(Ⅲ)
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「ーーはい、では改めてよろしくお願いします」
そう言ってボクはスマホの通話を終了させる。
同時にパタリ、と手帳を閉じて軽く深呼吸。
「いやぁ、案外上手くいくモノだね」
そう独り言ちる。
今の通話相手は、他校剣道部の顧問。
ボクが何をしていたかと言うと、例の事件の原因となった練習試合をワンモア再現しようと交渉していたのだ。
身分を剣道部マネージャーと偽り、顧問から交渉を任されてると偽り、相手高校と話を進めた。
いやまぁ、臨時マネージャーではあるからあながち嘘ではない部分もあるかもだけど。
そして、交渉頑張って結果OKが出た。
割とあっさり。
今回の件がこうもアッサリOK出るとは思ってなかったから、色々な弱味ーーげふんげふん情報を握った上で臨んだんだけど、使う必要もなかった。
しかしながら、再戦の日にちは予想より早い日にちになってしまった。
なんと明後日の土曜、13時から。
向こう側がこの日ならって言って来たので、断るのも不自然だし失礼だと思ってその日に決定した。
いや、案外近いな。
どうしようか?
この日にちにはメリットもデメリットもある。
メリットは、紫波雪風が拉致った先輩部員ふたりの早期開放が見込める点。
この再試合の件は無論すぐに彼女も知ることになるはず。
そうすると、試合に先輩ふたりが来ないのが不自然なことになる。
調べてみると学院側と家族側には別々の理由をでっち上げて拉致の件を隠しているみたいだが、試合関係だとそうはいかないだろう。
隠し事ってのは、隠さなきゃならない相手が増えれば増えるほど困難になるんだ。
これ以上隠す対象は増やしてもいられないはず。
なら、ふたりに何かしらの口止めをした上でリリースするのがベストのはずだ。
デメリットは、キノと普代剣将の急接近期間が想定より短くなったことだ。
予定だと2週間弱くらいかけてキノに普代くんを堕してもらうはずだったんだが、結果的に1週間にも満たない期間だけになりそうだ。
この短い期間だと流石にフラグ立ては厳しそうか?
まぁ、その場合は彼を近々ある林間学校に巻き込もう。
元々は
「あと、ボクがやるべきことは」
少しでもキノと普代くんが接近できるように、ふたりの邪魔をせずに、かつ急積極フラグを立てれることを裏からすること。
あと紫波雪風の動向を探り、彼女の邪魔もしなければ。
やること山積みで、過労死案件みたいだ。
「ーー追加労働手当って、出るのかな」
もしそれを出すとしたら、神様だろう。
神様、どうかハッピーエンド行けたら、追加労働手当としてボクにも幸せな人生下さいね。