16 悪役令嬢的なやり方(Ⅱ)
「私たちが、その性根叩きなおして差し上げますわ!!」
そう言って私はズビシっとアヤメちゃんを指さして指示を出す。
「フブキにすぐ連絡! そして彼女にモブ彦とモブ雄を屋敷に強制連行させて!」
「は!? お前一体何を言い出ーーごばっ!」
モブ雄がなんかごちゃごちゃ言い出したので、その顎を横から蹴り飛ばす。
すると頭が急に揺すられたことでモブ雄は軽い脳震盪を起こし、気絶。
「
「元雄ぉぉおおおお!!」
「お前も黙れ!!」
またしても騒ぎ出したモブその二も華麗な蹴りで黙らせる。
そして興奮で肩で息をしている私におずおずとした様子で、アヤメちゃんが話しかける。
「あの、ユキちゃん様? なんか当初の予定と違いません?」
「ーーあ」
そう、そうなのだ。
元々の計画としてはーー。
①.先輩ふたりから根本的な原因を聞きだし、確認する。
②.それを剣将くんと月乃さんに伝え、話し合いの場を設ける。
③.月乃さんを緩衝材として機能させて、平和的解決をさせる。
④.その話し合いを邪魔しそうな遠野花鈴は我々が邪魔をする。
ーーって作戦だったんだけど。
「いや、改めて考えると作戦としても杜撰だったのでは?」
「そうですかねーーそうかも?」
そう言って私たちは顎に手を当てて疑問符を浮かべてみた。
まぁ、今回に限って言えばどうやっても本人たちからの聞き取りが必要だったし。
内容次第で①から変化する可能性は大いにあったから!!
ーーって言い訳しておこう。
結局私たちふたりは頭脳派じゃないし。
そんなふたりが考えた作戦に、穴がないわけないし。
「いやでも、ユキちゃん様がなにかいい案を思いついてこんなことしたんでしたら、アヤは全然そっちに従いますよ!」
彼女はそう言いながら、自身のスマホを取り出して屋敷のフブキへ通話をかけ始める。
そんなアヤメちゃんを見ながら、私はこういった。
「え、特に案とか無いですわよ」
「ーーえ?」
放課後の空き教室に、トゥルルルルというコール音が少しむなしく響き渡った。
▽▲▽
ーーそんな空き教室で起こった事件の一部始終を目撃した
「なんか出遅れたら、大変なことになっていた件について」
校舎を全力疾走する悪役令嬢という謎すぎる存在の後をつけてみて、こっそり様子を見てみたらなんか大惨事が起っていた。
悪役令嬢が、とうとう悪役令嬢らしいことをやり始めた。
ここから、物語が本格的に動くかもしれない。
その予感に、ボクは少し震えた。