100 ニアミス混線ミステリー(Ⅰ)
【祝】100話!!
▽▲▽
「紫波雪風が誰かから恨みを買ってるらしいけど、心当たりない?」
放課後。
ボクは新たな手掛かりを求めて武道館で活動中の剣道部──もとい普代剣将の元を訪ねた。
普代剣将は数少ない紫波雪風の友人。
彼からなら何か新たな知見が得られるかもしれない。
練習中の小休止を見計らい、武道館の隅に彼を呼び出して聞いてみた。
彼は額から滴る汗を首にかけた手拭いでぬぐいながらこう答えた。
「いンや、全然ないが?」
「チッ、使えない」
「おーい本性出てンぞ、本性」
そう言って半ば呆れたような視線を寄越される。
「はっ!」
言われて気がつき、はっと口元を押さえる。
いけない。
ついつい口が滑ってしまった。
「なンで猫かぶり続けてるかは知らねぇけど、気をつけろよ」
「──言われなくても、普段は大丈夫さ」
そもそも、普代剣将という人物の前だからこそ口が滑りやすくなっている気がする。
彼はそう、
変に飾らない、素直で悪意とかを微塵も感じない。
それでいてどんな性格でも受け入れてくれそうな余裕も感じられる。
見た目オラオラ系というかオレ様っぽいけど、実際は他人との折り合いを付けて関係を構築するのが上手いコミュ強だ。
天性の人
だからこそ、
意図的に人気が出るようにデザインされた、理想の男性キャラなのだろう。
まぁ、それは一旦置いておいて。
「本当に無い? 紫波雪風が命を狙われてる心当たり」
「いや一気に物騒になったな!?」
やや大仰にリアクションを取った普代剣将は顎に手を当てて、数瞬考える。
「そもそもアイツ、そんなキャラじゃねぇだろ」
「そうだけどさ」
「強いて思いつくとしたら、実家関係じゃねぇか? アイツの家、
「それはボクも最初に考えた」
彼女はSIWAインダストリアルという大企業を経営している一族の直子だ。
利権関係で命を狙われる──というのは、案外ありえそうだ。
だが、それは逆にあり得ない。
「けど、多分それはないんだ」
何故なら、紫波雪風は
この世界の主人公はあくまでキノ。
キノを主軸に廻っている。
その中で、紫波雪風が一族の恨みで暗殺されるみたいな事件があったとする。
でもその場合、原作ゲームで描写される意味があるのか?
仮に寄り道的なサブイベントだとしても、そんなので主要キャラ死なすか?
──答えは否。
シナリオで紫波雪風が誰かに殺されるのなら、間接的か直接的かはわからないが──。
「──そこには絶対に