前へ次へ
47/55

ポケクリクリア耐久・2

 全員キリが良かったということもあって3人で1回ずつバトルをした。俺の行ったエリアが初心者が行くような場所じゃなかったらしくレベリングが捗った結果、3人の中で一番パーティーのレベルが高かった。

 最初に貰ったポケクリは全員1回目の進化をしていて、水瀬さんが思ってた通り可愛く進化したことを喜んでいた。カッコ良くなるか可愛くなるかがほとんどで、最初は可愛くてもゴツくなったり凶悪な人相になったりするから割と進化した時のビジュアルについては戦々恐々としていたらしい。


 今までプレイした中で気になった情報をポケクリ交換をしつつする。『お客さん』にバージョン限定のポケクリがどれかを聞きつつ、その子たちを2人に渡すように心掛ける。

 道中目に付いたポケクリはとりあえず3匹確保しておいたから問題ない。むしろ2人が交換する用のポケクリがあまりいないとのことでその辺りで交換をしていない片方が何かを適当に捕まえに行っていた。


「リリちゃん、悪の組織ルートはどう?そんなにレベルが高いってことは敵がかなり強かった?」


「強いってもんじゃないよ。負けたし」


「ええ⁉︎このレベルで負けたの⁉︎」


 嘘は言ってないぞ。進行度がかなり先のイベントを見付けてしまってそれをやった結果ボロ負けしただけだ。

 チャンピオンに勝つとか、絶対無理だから。しかもレベルもかなり高かったし。

 フィールドにいる光っているシンボルエンカウントのクリーチャーは固定シンボルらしくて確定でそのポケクリがいることと、街の近くの灯台でバトルにとても重要なチュートリアルが行われることを2人から聞いて知った。


 2人とのバトルでいきなりポケクリが巨大になって襲って来た時には何が起こったのかと思ったからな。やっぱり最初は順路に沿って行くのが良いらしい。ちなみにその巨大化のことを知っていた『お客さん』はコメントでw()を大量に生やしていた。

 いやでも、最初の街で自由に旅したまえって言われたらあそこから好き勝手に探索をしちゃうだろう。


「そうそう。リリちゃんの『風とファンファーレ』、かなり好評だよ。疾走感のある曲調が気に入ったってコメントが多いね」


「そうだった。まだ新曲のお礼言ってなかった。あたしの『ミツバのクローバー』もありがとう。今回はどっちもアップテンポの曲だったね。最初の『polar naight/Luna』とかリリくんが雑談配信で使ってる曲ってゆっくりなテンポの曲が多いからああいうのも作れるんだってビックリしちゃった」


「趣味で作ってた曲のリサイクルだからね。ああいうのを作りたかった頃もあるんだよ」


 お礼を言われたのは2人に贈ったオリジナル曲のことだ。元々できていた曲を微調整してリマスターしたと言うべきか。

 今回は編曲も自分でやって2人のレコーディングも加わった。何を言ったわけではないけどどんな感じで作ったみたいなことを話してただ聞いていただけだ。MIXとレコーディングはスタッフにやってもらった。

 歌のショート動画なども各種SNSで出したからか、幅広く聞かれているらしい。動画の再生数も順調だとか。


 レコーディングとかは3月にやってるからようやく出たかって感じ。最近の俺は3D配信に出たりして忙しかったんじゃないかって思われてるけど、先月はそこまでじゃない。水瀬さんが春休みの間に済ませておきたいことがたくさんあったので3月末の方が忙しかった。

 でもこの歌ってみた、ちゃんとMVで作ってるからイラストもある。静止画が若干動く程度だけど、何枚も描いてもらっているので割と突貫工事だったんじゃないだろうか。イラストの納品から動画にする人がいて、俺たちの最終チェックが入って。


 これ、よく考えたら1月ちょっとで出していいものじゃないな。事前にこんな感じと伝えてイラストの発注もしているだろうけど、実際の歌を聞いたら描き直したみたいなこともあったかもしれない。

 エクリプスのスタッフって優秀なんだな。


「ねえねえ、リリちゃんは歌ってみた出さないの?」


「僕の歌の下手さは知ってるでしょ?気乗りしないなあ」


「個人で出すのが嫌ならFORで出せばいいんだよ!3人で歌おう!」


『よく言ったなっちゃん!リリは歌うべきだ!』

『リリちゃんの歌を熱望しているリスナーもいます』

『おら、早くボイス出すんだよ』


 水瀬さんの発言に引火してコメント欄のコメントが一気に増える。

 待て待て、歌関係とボイス関係なのは見て取れたけど、何で出さないだけでこんなに言われるんだ。

 歌は本当に自信がないからあんまり出す気はないし、ボイスは読み上げ配信をやったじゃないか。それでもまだ求めるなんて。

 歌は、本当に勘弁してほしい。いくら編集できるからといってネットの海に一生残るものを投稿しようと思えない。初配信はネタだからこそだ。


「……まあ、歌ってみたはおいおいね」


「うん、約束ね!」


 3人で歌ってみたの投稿は、企画として3人の中で出ている。その選曲について俺は苦虫を噛んだ表情をしていたことだろう。それほど有り得ないチョイスだった。

 合ってるのがね、3人組ってことだけ。歌の使用許可を得ているところらしくて、その許諾が得られたら歌うと俺は頷いた。

 その曲の申請が降りるとは思っていないからだ。絶対あの事務所が賛成しないだろう。めちゃくちゃ大手の芸能事務所だし、伝説の曲だし。


 あとボイスはもうちょっと待ってほしい。もう収録は終わっていても発表できないことはあるんだ。かなりの企画が水面下で動いているからどれは情報解禁なんだっていうのはマネージャーさんからの連絡待ちなところがある。

 ボイスとかは録音してすぐ出せるわけじゃないんだから。今までのゲームや歌ってみたが爆速で出来上がって公開されただけで、そっちが例外的なんだと言いたい。


 まだ言えないけど。

 少しの雑談の後に交換も済んで、最後にレイドがあったのでそれを3人でやって解散。またクリア目指して各々で旅を再開させた。


「まあ、灯台が近いので向かいましょうか。これ灯台をスキップしたら新機能がずっと解放されないままってこと?」


『多分そう。コウスケもそんな感じだった』

『あえて縛ろうぜ。別になくても良いだろ』

『ほ、本作の目玉ぁ……』

『なくても困らないぞ。戦闘が厳しくなるだけで』


「じゃあなくても良いかな。イベントの進行が止まるとかってなったら受けに来ましょう。ファストトラベルがあるのですぐに戻ってこられますし」


 コウスケ先輩も縛っているなら俺も縛っても良いだろう。最初のチュートリアルで教えてくれなかったんだから、なくても大丈夫な設計にされているはず。

 多分ね。

 悪の組織ルートだけどうやったらルートが進行するのかわからないんだよな。マップにガイドが出ているわけでもなく、至る所で暴れている悪者を倒そうとしか書かれていない。


 ジムの場所とライバルの居場所はビーコンが出ているのに。これは敢えてなんだろうか。さっきのチャンピオンがいた場所も明記されてないからな。

 ルート的には1つ目のジムをクリアして、その後にライバルと戦うのが最短距離な気がする。ゲームだからこの順番にレベル帯も合わせているはずだ。


「これ、山の先って8番目のジムですかね?」


『湖の中の街だからリリじゃ行けないぞ』

『滑空するような高い場所も周りにはないしな。さっきの方法じゃ無理』

『今行ってもボコされるだけだろうし』

『どこ行こうか迷ってる?』


「そうなんですよねえ。灯台だけスキップで、海沿いを行きながら最初のジムを目指しますか」


 山とは真反対のルートを進む。ギリギリ灯台には近寄らないルートで砂浜を駆け続けて水タイプや地面タイプのポケクリを手に入れる。

 丘の上のポケクリは2人と交換したから当分は大丈夫だろう。


「お、怪しい洞窟発見。こういうところには貴重なアイテムか強い敵がいるのがRPGの鉄則」


『寄り道ルートあるあるだな。サブイベントの場所だったり』

『そこにだけあるアイテムとかあるよな』

『あっ……』

『見付けたら入っちゃうのがゲーマーの性』


 砂浜を走り続けていたら砂浜がなくなったのでしょうがなく上に上がる。森らしき場所を進んでいたらポッカリと空いた広場のような場所に洞窟があったので入ってみる。洞窟の中にしか生息していないポケクリとかもいるだろうからここで捕獲するのはアリだろう。

 片っ端から捕獲するものの、なんかおかしい。ポケクリって至る所に敵ブリーダーがいる印象だけど、この洞窟に入ってから誰とも会ってない。結構広い洞窟なのに。

 地下もありそう。こんな広くてブリーダーがいないってあり得るのか?

 細かく散策して、地下に向かう。そこに洞窟にあるのはおかしな研究所っぽいところが。

 なあに、これぇ。


「明らかにイベントの空気。ということでセーブします」


『地質研究所やろうか?』

『ジム、じゃないっぽいよな。過去作には洞窟にいるジムリーダーとかいたけど』

『マップを見る限りジムじゃない』

『突っ込もうぜ!リリ!』


 建物に近寄っても特にイベントは発生しない。となると中に入るのだろうか。

 ポケクリの変な建物の中には変人がいることが多い。足跡からポケクリの気持ちを読み取ったり、変な技を教えてくれたり。今回もそんな場所だろうか。

 そう思って入ると建物の中には統一された青い服を着た人相の悪い人間がたくさん。研究もしているのかボールや機械などがかなり置いてある。

 なんだ、ここ。


「進んでみますか。もしもーし。はあ⁉︎アース団の支部⁉︎バトルになったんだけど⁉︎」


『リリ、またやらかす』

『ノーヒントで悪の組織の支部を見付けるな』

『本来はフラグをいくつか経てから見付けるやつなんすよ、そこ』

『そこの森、順路で行けばレベルが高いから行くなって忠告される場所やで』

『なんとリリはレベル30近いから行けてしまうのである!』

『パワーレベリングをしないとレベル30が頻出する森なんて後回しにするのが普通だから』

『コウスケもそこ突っ込んでったなあ。ぼろ負けして撤退してたけど』


 レベル30がなんだ!こんなのタイプ相性が良いポケクリを出せばなんとかなるはず。

 回復もしつつ、全員を薙ぎ倒していく。レベル帯もちょうど良かったので倒していくことで全員のポケクリが進化したり強い技を覚えていった。控えにいるポケクリにも経験値が入る仕様になったのでガンガンポケクリが育っていく。

 昔は控えのポケクリに経験値が入らなくて、専用のアイテムを持たせないといけなかった。それに捕獲した時は経験値が入らなかったから、かなり育成は楽になっている。


 レイドをしたら経験値が上がるアイテムも貰えるので、今作は育成がしやすい。友だちとレイドばっかりやれば簡単に育成ができるようだ。

 あと、ランダムでフィールドに落ちているアイテムが序盤で手に入っていいのか思うような高級回復アイテムなどもあるのでそれのおかげでなんとかなってる部分はある。お店で買ったら1500円するようなアイテムが3つとか落ちてるんだぞ。

 かなりプレイヤーに親切な設計になった。オープンワールドを気ままに楽しんでほしいという思いからだろうか。


 アース団をボコしていき、一番奥にいた統一衣装じゃない、明らかに名前付きのキャラと戦うことになる。悪の組織の幹部アフリーと戦うが、チャンピオン以外では最強の相手だった。レベルが30台後半しかいなくて、結構やられてしまったのだが勝てたのだからまあよし。

 進行したのは悪の組織の3番目のイベント。


「だから1番目と2番目は⁉︎」


『リリが順路を行かないのが悪い』

『いや、確かにこのルートは発見しづらいよ?ヒントも少ないし。ただリリが怪しいところも好奇心で進んじゃうから……』

『へー。ルートって順番通りにやらなくても良いんだ』

『何でバッジを1個も持ってないのにパーティーの平均レベルが30超えてるんですかねえ?』

『この3時間で捕まえたポケクリの過半数、リリの言うこと聞かないぞ』

『そのせいでパーティーも変更できないというね』

『ジム攻略しようぜ!』


 こんな序盤の街の近くに重要施設をポンと置かないでほしいなあ!興味があったら行っちゃうじゃないか!

 ちょっと時間をかけたら行けそうな難易度にしなければ後回しにしたのに。俺のレベルだと行けそうだったのが悪い。

 そもそも何でこうも序盤の街の近くに高難易度のエリアがあったり、チャンピオンと戦えたりするんだ?ゲーム側が敢えて高難易度を楽しむプレイヤー向けにそういう場所を用意しているんだろうか。

 この辺りはゲームクリエイターじゃないからわからないな。


「ま、まあでも?これで旅はかなり楽になったでしょう。さあ、ジムとライバル待ってろよ!」


『瞬殺できるんだよなあ』

『ちな、コウスケもこの森突っ込んだけど全滅して素直に迂回したぞ』

『エクリプスの連中は無茶しがち』

『高難易度エリアを攻略したとなれば撮れ高になるからな。リリの撮れ高何回目?』

『35のシシシープを捕まえたのと、チャンピオン見付けたのと、今回ので3回?』

『まだ1回目の配信ですよ……?』


 とやかく言われても関係なし。

 最初のジムに行って最大レベルが16だったのでタイプ相性もあって速攻で終わり。捕まえたポケクリが30以下で手に入れたのなら言うことを聞いてくれることになる。あと、邪魔な岩を砕けるようになったようだ。

 レベルキャップ的な意味ではシシシープを始め何匹かは対象外だ。折角捕まえたのに使えないのは悲しい。

 岩を砕けるのは大きい。山を探索した時にも壊せそうな岩がいくつかあった。そんなテキストもあったのでこれ以降は砕けるようになるんだろう。

 で、続けてライバルをしばきに行ったんだけど。


「え?まだ相棒ポケクリ進化させてないの……?」


『進化したら図鑑が埋まらないから』

『御三家よりも他のポケクリの方がレベル高いのウケる』

『今作のライバルは選んだポケクリの弱点になる御三家を選んでるんだな』

『バッグに残ってるポケクリとの相性を考えた説』

『何だ、ライバルって頭良いじゃん!』

『頭良かったら強奪なんてするかなあ、ヨギリ君』


 奪ったポケクリも進化してなかったことと、全員レベルが10台だったのでこれも簡単に蹴散らした。ポケクリを返してもらうように主人公が説得するものの、空を飛べるポケクリを呼び出して飛んで逃げてしまった。

 こっちは追いかけられないのか。滑空と飛ぶのは別ってことだな。

 ちょくちょく順路から外れながら、次の街を目指す。行けそうな場所へ行く。決して方向音痴というわけではなく、マップを見てダンジョンのような場所を見付けたら行きたくなる性格というか。

 2つ目のジムバッジがある街じゃなく、ちょっと遠回りして大きな湖がある方へ向かう。絶対何かがあるはずだ。


『まーた寄り道してやがる』

『どこ行くのも自由なんだからよくね?』

『そこだと3つ目のバッジの方が近いな。レベル的にもそっちで良いかも?』

『オープンワールド方式なんだからリリの行きたい方向に行かせるべ』


「おやあ?湖の近くにまた大きな建物が?怪しいねえ」


 また悪の組織の建物じゃないだろうか。

 そう思って建物の前の看板を読む。「ポケクリ生簀。好きなポケクリを釣り上げよう!」と書かれていた。


「釣り堀、的な?」


『目の前に湖があるのに金払って釣りする?』

『ところがどっこい、ここでしか出ないポケクリがいる』

『どんな場所かは確認して良いんじゃね?ファストトラベルも解放されたし、用事ができたら来れば良いだろ』


「入りますねーっとお?」


 入ろうとしたらドアの前でムービーが流れた。イベントっぽい。サブイベントの始まりだろうか。

 そう思っていると建物の中からチャンピオンのアンが出てきた。

 どおしてぇ?

 寄り道したのは悪かったけど、フラグがどこで立ったのかわからないよお。普通のポケクリをさせてくれ……。


「ここ、アース団が裏で仕切ってるんですって。一緒に懲らしめようって言われたけど……。なんか5番目のイベントが進行した?」


『うーん、この』

『俺が行った時には普通の釣り堀だったんだけどな』

『多分チャンピオンに会ったことがフラグなんじゃないか?チャンピオンには悪の組織イベントを4番目クリアで会えるって情報が出回ってるし』

『遊戯場を占拠するのは悪の組織の必須事項』


 もーわかんない。

 イベントが発生したのなら戦うだけだ。


「よし、アース団を潰そう。ここも支部の1つなんでしょう。悪の組織反対。でも研究所っぽいところを倒したのを見ると、ただポケクリの研究をしてるだけに見えたんだけどな。目的は何だろう?」


『1個目が進行してないからって、悪の組織の行動理由がわからないってある?』

『基本ボスと会話しないとわからないことが多いし』

『歴代でも表の理由と裏の理由があったりしたからな』


 チャンピオンの捜査権とかいうのがあったらしくて、とにかく奥に進んで3階を目指す。あんまりレベルも高くなく、とはいえ同じくらいだったのですんなりと打倒も終わる。

 チャンピオンが倒してくれたのかわからないけど、本当に簡単に制圧が済んでしまった。警察も来て連行されて行く。

 いやいや、最初から警察が介入すべきでは?


「なんか拍子抜け……。幹部もいなかったのでボス戦みたいなのはなかったですね」


『そういやそうだな』

『取り纏め役も一般グラフィックだったし。ネームドのビジュアルをしてなかった』


「あ、チャンピオン。アジトの場所を改めて教えてくれるんだ。そうだよね、入り口で会いましたからね。またジムバッジを確認して……。まだ1個ですぅ。あ、ちょっと⁉︎実力あったら認めてあげるよ、じゃないよ!また強制バトルとか酷すぎでは⁉︎」


『ここでも戦えるんだ』

『またレベル68だな。先発も変わらずソルレオ』

『何でソルリオ?初代のポケクリじゃん』

『わからん。何か意図はありそうだけど』


 また負けた。レベル差の暴力って知ってますかね?

 もっと鍛えまくってリベンジしてやる。絶対だ。

 チャンピオンに戦う前も後もポケクリを全快してもらって、改めて3番目のジムに向かう。3の後に2番目のジムに戻ろう。

 そう思ってたら霜月さんと水瀬さんがボイスを繋げてきた。


「リリちゃん⁉︎なんかチャンピオンに会ったとかでトレンドに入ってるよ!」


「あーあ、やっぱりそんなことになっちゃってるかあ。この企画、鳩行為禁止ともしてないし」


「リリくん、今の進行度は?」


「クリアって意味ならジムバッジ1個、ライバル1、悪の組織2です……」


「ジムバッジまだ1個なの⁉︎リリちゃん寄り道しすぎじゃない⁉︎」


「今次のジムを目指してるところだったの!ライバルも追いかけてて……!」


「なんか、浮気現場見付かったみたいな慌てようだよ?悪の組織退治が大変だった?」


「そうですね。ダンジョン攻略みたいなやつだったから」


 次の会話である程度話すつもりではいた。けどチャンピオンにいつ会えるのかよくわからなかったし、再現性があるかもわからないことを見付けましたって堂々言うのは違う気がした。

 今回の2回目で流石に話すことにする。


「悪の組織ルートを進めるとチャンピオンに会えるみたいだね。まだ発売して間もないから情報が足りてないんだと思う」


「へー。リリちゃん、進行度いくつでチャンピオンに会ったの?」


「5」


「ん?なんかクリアした数と進行度、合わなくない?」


「何なら最初にチャンピオンに会ったのは進行度6だったよ」


「リリちゃん、バグでも起こしたの⁉︎」


「バグ、じゃないはず。再現性があるかはわからない」


 どうやったかについて話して、どんな感じだったかとネタバレ注意と言いつつ2人に説明する。その試したことと内容を話すと、何で試したんだと呆れられて、できたこととイベントの内容から水瀬さんが考察する。


「最近の外伝がはるか過去の第4世代の話。その子と似た女の子が最新作にも出る?どうなんだろ、過去の主人公よりは第4世代の主人公がこの地方に来てるっていうのが正しいのかなあ?でもそうしたら2つの地方のチャンピオンって言われそうだけど。わざわざデフォルトネームからも外してるし」


「考察も面白そうだね。他作品と繋がったりしてるんだ?」


「過去の主人公の大人の姿と戦えたり、悪の組織のボスと戦えたりもした本編もあったよ。だからもしかしたらそういう要素が今回にもあるのかも」


「「へえ〜」」


 最近のゲームとはご無沙汰な俺と霜月さんが水瀬さんの考察と説明に感心する。シリーズが長く続くと過去作とのリンクもあったりするんだろう。

 2人の近況も聞き、順路に沿って進行していた。悪の組織のイベントも1つ目が進行しているらしく、最初はどうしてそこまで俺が進んでいるのか不思議だったらしい。

 その場所は聞かないことにした。俺がまだそのイベントを進めていないからだ。

 もうすぐ日付が変わるということもあってまたバトルと交換をする。今回のバトルは水瀬さんが勝ち、交換の時に2人に渡したポケクリには驚かれた。


「え、メタトロンだ⁉︎これでタマゴいっぱい作れる!」


「霜月さんの分もいるからね。あと、タマゴもあげる」


「リリちゃん仕事が早い!助かる〜」


 メタトロンはどんなポケクリが相手でも子供であるタマゴを産むことができる。これで御三家とか珍しいポケクリのタマゴが作れるわけだ。

 これが図鑑埋めでかなり重宝する。1匹は欲しいポケクリだ。悪の組織がいた洞窟にいた。今作のタマゴの作成は育て屋さんに預けることなく、テントでお泊まりをすると産まれている。さっきお泊まりをしてタマゴを2つ用意しておいた。

 産まれたらホドランが産まれるはずだ。

 今日はクリア耐久配信ということもあって、俺としては珍しく日付が変わっても配信を続ける。コラボ以外だと珍しいが、これもコラボの一環か。


前へ次へ目次