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第三十一話 その頃、彼らは……

報告! 報告!! 報告ー!!!!


52000ポイント+30万PVいきました! 自己最多です! これもすべて皆さんのおかげです!! それを祝して明日は更新頑張っちゃおうかなぁと思ってます! お楽しみに!



 アルがレオを演じている頃。

 レオはレオで必死にアルを演じていた。


「アルノルト皇子。船長がレオナルト皇子の船を捜索しなくてよいのかと尋ねていますが?」

「またその話か。どうせレオのことだ、どうにかする。進路はこのままだ。あと、気分が悪いんだ。余計なことを聞いてくるな。面倒だ」

「は、はい……かしこまりました」


 部屋を訪ねてきた騎士をそういって追い出すと、レオは深く深くため息を吐く。

 そんなレオに駄目だしをする人物がいた。


「五十点ね。アルなら船長に任せるって言うはずよ」

「難しいなぁ……」


 レオは呟きながらエルナの方を見る。

 嵐に完全に巻き込まれ、引き込まれたアルのほうとは違い、こちらの船はなんとか引きずり込まれる前に脱出できた。

 それでもだいぶ揺れたせいで、エルナはずっと半狂乱だった。落ち着くまでレオがアルと入れ替わっていることに気づかなかったほどだ。

 しかし、気付いたあとはよきアドバイザーだった。まだアルが張った結界があり、あまり揺れを感じずに済んでいるというのも大きかった。


「とにかくバレずに乗り切るわよ。こんなの露見したら大問題だわ」

「そうだよね……僕がしっかりしてれば……兄さんは大丈夫かなぁ?」

「アルは平気よ。マルクも一緒だし、こういう場面じゃ機転が利くもの。問題なのはあなたよ」

「そうだよね……兄さんの真似とか無理だよ……」

「幸い、アルのことを知ってる人は少ないわ。アルらしくないことをしなければ平気よ」

「兄さんらしくないことってなに? あとエルナ。いくらスパッツ履いてるからって、僕の前でそんな恰好をするのはいかがなものかと思うよ」


 そう言ってレオはベッドに足を乗せているエルナを注意する。

 正面に座るレオの角度からはエルナのスカートの中が見えてしまっていた。もちろんスパッツで下着は隠れているためエルナは大して気にしていなかったが。


「アルらしくないところってそういうところね。アルなら私にそんなこと言わないわ」

「でも無防備すぎるよ。やめたほうがいい」

「はいはい。気を付けます。でも、アルなら本当にそんなこと言わないわ。私相手だと思って気を抜いてるとバレるわよ?」

「そう言われても……兄さんならなんていうの?」

「そうね……スパッツ履き忘れてるぞ、とか。今日は白か、とか。とりあえず私に反応させて笑うわね」

「言えないよ、そんなこと……」


 実際に自分が言ったところを想像したのだろう。レオは気恥ずかしそうに視線を逸らす。

 これは由々しき問題だとエルナは思った。

 遊び慣れているアルとそうではないレオ。決定的に差が出るのは女性との距離感や対応だ。アルは相手に合わせて調節できるが、レオは常に一定距離を保って礼節を重んじる。アルのようにふるまうとなるとそこがネックとなってくる。


「アルがレオになるのは簡単でも、レオがアルになるのは難しいわね……同じ皇子なのになぜ育ちが違うと感じるのかしら……」

「兄さんは自由人だし、基本的にいつも城の外で遊んでたからね。一時期はずっと城の外にいたよね。毎日なぜか泣いて帰ってきてた」

「あ、あれはアルがやられっぱなしになってるからなんとかしようと!」

「わかってるよ。エルナは昔から兄さんのためを思って行動してくれてたね」

「……向こうは迷惑だったみたいだけど」


 エルナははぁとため息を吐く。

 ここ最近、自分が空回っているような気がしてならないのだ。

 久々に再会したアルの評判を上げようと、騎士狩猟祭に望んだのに結果は失格。巷ではエルナを擁しながら不注意で失格になったと言われており、完全に逆効果となった。

 そして今回も少しは力になれると思って同行したのに、結局は何もできていない。大事な場面で部屋の中にいるという失態を犯している。もはや足を引っ張っていると言われても否定はできない。

 レオを皇帝にしようとアルは頑張っている。それは良いことだとエルナは思っている。だが、エルナはアルもレオ同様に評価されてほしいと願っていた。

 それがアルの考えと乖離しており、ズレを生んで空回りを発生させている。そんなことはエルナもわかっていた。それでもアルが不当な評価をされるのがエルナは嫌なのだ。

 だが、それは自分のわがままなのではないかと最近は思い始めていた。

 アルは自分の評判に頓着しない。むしろ評判を意図的に下げて、レオを上げようと思っている節すらある。そんなアルにとってエルナの行動は邪魔でしかない。

 それゆえの発言だったが、レオはクスリと笑う。


「まぁ迷惑だとは思ってるだろうね」

「うっ……」

「けど、邪魔だとは思ってないと思うよ。エルナが来てから兄さんは明るいし、余裕があるように思う。たぶん内心は頼りにしてるんだと思うよ」

「そう……?」

「僕が保証するよ」

「でも……」

「でも?」

「……私がいたのに冒険者雇ったじゃない」


 少し言おうか迷ったが、この際だから言っておこうと思い、不満そうに唇を尖らせながらエルナはつぶやく。

 すぐにリンフィアのことを言っているとわかり、レオは笑う。


「彼女は自分の村を助けてほしいから僕らに協力してるんだ。向こうからの売り込みだから兄さんが雇ったわけじゃないよ」

「そんなのはわかってるわ……けど、一言フォローがあってもいいじゃない。私、頑張ろうって思ってたのに」


 勇爵家の者としてエルナは政争には直接かかわれない。

 そのことをエルナは歯がゆく思っていた。そんな中で、フィーネを護衛するというのはエルナにとってレオとアルを手伝える数少ないチャンスだった。フィーネが狙われたならば皇帝にも言い訳できるうえに、その派生で相手に打撃を与えてもどうにか誤魔化せる。

 そう思っていたのに、結局狙われたのはアルで、そのアルは冒険者によって救われた。そしてその冒険者は本来、エルナが担うはずだったフィーネの護衛役に収まってしまった。

 正直、エルナは面白くはなかった。エルナが任務で別のところにいく可能性を考慮していたとしても、それでも面白くなかったのだ。


「拗ねてるの?」

「拗ねてなんかないわよ! 怒ってるの!」

「そっか。でもさ、兄さんはエルナならついてきてくれるって思ってたんじゃない? そう考えるとリンフィアを雇ったのも理解できない? フィーネさんが危なくなっちゃうからさ。まぁ万が一に備えてセバスまで残してきたけどさ」

「どうしてレオはそうやって良い方に取れるのよ……アルの考えなんてわかってるわ。私みたいに直情的で立場的に使いづらい護衛より、頭がよくて自由の利く冒険者の護衛のほうがいいと思ったのよ。褒めてたもの。頭がいいって」


 エルナだって頭がいいじゃないか、と言おうとしてレオは口をつぐむ。

 たしかに知識を覚えるという点でエルナは非常に優秀だった。子供の頃から飛びぬけていたといってもいい。ただ、今、エルナがいっている頭のいいはそういう意味ではない。騙し合いや読み合い、政争に必要な頭のよさなのだ。そしてそれが欠けているのはエルナはわかっている。性分的に向いていないというのと、そもそも学ぶ気もないからだ。

 勇爵家の者がそれを学んでしまえば、皇族や有力貴族の特権が脅かされる。あくまで勇爵家は剣であるべき。それが勇爵家の基本スタンスだ。

 だから帝都の暗闘で勇爵家の力が生きることはあまりない。内に向かうより、外に向かうほうが勇爵家の力の使い方は正しいからだ。


「エルナにはエルナの良さがある。エルナにしかできないことがあって、それで兄さんを助ければいいと思うけど? それじゃ納得いかない?」

「理解はしてるわ。でも納得はできないわ……。私がフィーネを守るはずだったのに……」

「負けず嫌いだなぁ、相変わらず。誰かと張り合って引き下がった試しはないもんね。けど、たぶんリンフィアはエルナと張り合う気はないし、二人の役割は被らないよ。僕らは劣勢。味方も少ない。そのうえ狙われる人間が多い。僕は自衛くらいはできるけど、フィーネさんと兄さんはできない。護衛をできる人間を複数確保しておかなくちゃいけない。そういう判断だと思うし、エルナの手が空いているなら兄さんはエルナを頼るよ」

「そうかしら? アルなら私を邪魔者扱いしそうだけど?」

「しないよ。頑固だなぁ。とりあえず僕は今、エルナだけが頼りなんだ。拗ねてないでアドバイスをちょうだい。ロンディネで公王に会ったらどうしようか?」

「まったく、レオは……そうね。最低限の礼儀はアルも弁えているし、普通に挨拶していいわ。けど余計なことは言わないで。褒めちゃダメ。本当に最低限の挨拶だけよ?」

「うん、わかった」


 こうして二人が乗る船はロンディネへと向かう。

 アルがレオとして災難に巻き込まれているとも知らずに。

というわけで箸休め回って感じでしたね。書籍ならアリだと思うんですが、WEBだとこういうのはどうなんでしょうか。活動報告にでもコメントしてくださるとありがたいです。


前書きでもいいましたが、皆さんのおかげで自己最多ポイントを更新できました!

二週間で追い抜けるとは思ってなかったので正直びっくりしています笑

全部皆さん応援あってのことだと思っています。ありがとうございます。


感想は非常に勇気づけられますし、ホームを開いたときに赤い表示があると嬉しいです笑

それに活動報告でコメントしてくれる方々やいつも誤字報告をしてくださる方々。本当にありがとうございます。とくに誤字報告は直接お礼を言いたいくらいですね。結構、同じ方が指摘してくれている率が高いので、いつもお世話になってますって感じです笑


明日はできたら祝! ということで一日三回更新できればなと思ってます笑 できなかったらすみません。力尽きたと思ってください。


これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。

お気に入り登録してないって方はぜひぜひよろしくお願いします!


明日も見てねー(/・ω・)/

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