4-12 裏オークション 王都の大聖堂
さあ一週間ぶりの投稿となりまして申し訳ございません。
活動報告には記載してあるのですが、先週は怒涛と呼ぶに相応しいほど不運、と幸運が積み重なりましてとてもではないですが新しい話を考えられませんでした。
せっかく新しくブックマークをしていただいたというのに、次話を投稿できず申し訳ございませんでした。
ご意見、ご指摘、ご感想もありがとうございます。
突っ込みどころの多い話、設定のガバガバさはとても痛感いたしました……。
あとがきの方に多かったご指摘に対しての回答をさせていただきます。
部屋割りに関しては再度文句を言われる事はなかった。
一度解散して各自、自分達の部屋に荷物を置いたあとに再度俺達の部屋に集合する事になった。
目的としては今日、そして明日の予定を決める為である。
「とりあえず今日は近辺を見てみようと思うんだけどどうだろう?」
「この近辺は大きなお屋敷ばかりでしたし、察するに貴族様達が住まう高級住宅地なのではないでしょうか?」
「あー……。じゃああまり見るものはないか……」
高そうな家ばかり見てもな……。
それに高級住宅地ってことは、もし店があっても貴族御用達のような高級店ばかりなのではなかろうか。
オークションを前に散財はあまりしたくないので、出来ればもっと大衆向けの店を見たかったんだけどなあ。
「せっかくですし、フリード様にお伺いするのはいかがでしょうか?」
「そうだな。馬車も用意してあるって言ってたし、面白そうなところでも聞いてみようか」
先ほど渡された鈴をチリリリーンと鳴らしてみる。
すると少し間をおいて扉がノックされた。
「失礼いたします。お客様、何か御用でしょうか」
「ああ……えっと、夕食までに帰ってこれる距離で何か王都らしいところは無いかなって」
速ええええ。
この屋敷結構広いよな。
たまたま近くにいたのだろうか。
それにしたって、数秒しかたってないぞ。
「お客様は大聖堂に行った事はございますか?」
「大聖堂?」
「ああ、大聖堂! あれは王都に来たならば一度はみるべきだな!」
「そうね。見ておいて損は無いし、あんたもしかして教会にも一度も足を運んだ事がないんじゃないの?」
「教会は……行った事ないな。シロはあるか?」
「ない」
「私も……王都の大聖堂はないですね」
「献金を求められる場合もございますが、お一人につき1000ノールを渡せば十分でしょう。祭壇などは無理ですが、あのステンドグラスは一度見ておいたほうが良いかと」
「へえ、ステンドグラスか。ちょっと興味がわいてきたな。せっかくだし見に行こうか」
「では、馬車の用意をしてまいります。お客様は準備が出来次第玄関の方にお集まりください」
「わかった。軽く準備したら、すぐ行くよ」
「かしこまりました。失礼致します」
そういって先ほど同様頭を下げつつ部屋を後にするフリード。
やはり老齢の執事は格好がいいなあ。
「皆は準備大丈夫か?」
「問題ないです。いつでも出れますよ」
「大丈夫」
「私達も大丈夫よ。途中で悪漢に襲われても守ってあげるから安心しなさい」
「ありがとう。頼りにしてるよ」
王都に来てまで何かが起こるなんて考えたくも無いけどな……。
普通に観光させてくれ。
玄関につくと、先ほど乗ってきた馬車より一回り大きな馬車が入り口に待っていた。
先ほどの馬車は荷台に布が張られた、商人が使っているような馬車なのだが、こちらは木で出来た貴族用の馬車といった具合である。
御者台にはフリードが乗っているのだが、どうやら案内してくれるらしい。
「私達は、どうしようか……」
「っすね。普通に装備もつけてるっすし」
「お気になさらず後ろにお乗りください。隼人様の紋章がついているこの馬車を王都で襲う輩はおりませんので」
「……襲う人がいても、フリードが対処する」
「左様でございます」
流石というか、やはりというべきか。
フリードも武闘派なのだな……。
「それではお客様、出発致しますね」
「はい。よろしく頼みます」
「っは!」
フリードの一声と、手綱の合図で馬が走り出し、俺達は王都の大聖堂に向けて走り出した。
この馬車は、先ほどの馬車と違って窓があるので王都の街並みを観察しやすかった。
ただ問題があるとすれば、隼人の紋章と言っていたので見ている人の多くは隼人が乗っているものと思っている事だろう。
途中聞こえる『隼人様ー!』には、とても応えられない。
さあやってまいりました大聖堂!
「すごいな……」
「すごいですね……」
「おっきい」
そう。
『大』聖堂とあるだけあって、でかいのだ。
やはり宗教は儲かるのだろうか、今まで見た建物の中でダントツに大きい。
「こんにちは! ご見学ですか?」
「あ、はい。えっと」
何人だ、と確認の為に後ろを振り向くとフリードと目が合った。
せっかくだし王都住まいのフリードに説明してもらうのもありかもしれない。
「私は結構でございます。馬車の番もありますので」
「了解。じゃあ案内はアイナ達に頼むよ」
「よろしくお願いします」
ということで、ウェンディ、シロ、アイナ、ソルテ、レンゲ、俺の六人だな。
「それではよろしければ献金の方をお願いできないでしょうか?」
このシスター目がキラキラと輝いている。
なるほど。
献金という名の見学料というわけか。
確か一人当たり1000ノールでいいんだったな。
「では6人分ですが」
そういって銅貨6枚をシスターに手渡した。
「ありがとうございます。きっと女神様のご加護がありますよ」
いやもう女神様にご加護はもらってるんですよ。
っていうか『お小遣い』貰ってます。
「あはは、ありがとうございますー」
まあそんな事はいえるわけがない。
もしかしたら狂信的な信者かもしれないしな。
女神様の名前……、あれ、なんだっけ?
「それではどうぞ」
シスターが扉を開き、中に入ると正面の光景に圧倒された。
綺麗に正しく等間隔に並べられた木製の椅子、白亜の壁。
巨大な十字架、そしてその背後にある巨大なステンドグラスには、数人の女神の絵が描かれていたのだ。
その中で、美しい金色の髪をした女神に俺は見覚えがあった。
というか、俺にスキルをくれた人だ。
そして最後までそのスキルでいいのかと心配してくれた女神様である。
名前……聞いてないよな?
「これが、ステンドグラスなのですね。素晴らしいですね」
「ん、圧巻」
二人も初めて見たとあって目が離せないようである。
「やっぱり何時見ても凄いわね」
「夕焼けに照らされた姿もまた美しいな」
「十字架から後光が差して本当に女神様が光臨しそうな雰囲気っすね」
「……あれ」
「な、なんであんた泣いてんのよ!」
「わ、あれ? わかんない。なんだこれ」
突然涙があふれ出して止まらない。
「ご主人様? 大丈夫ですか?」
「全然問題ない。訳わかんないけど涙が流れてきた」
「主、感動?」
「ああ、多分そうだと思う」
俺に美術品に感動するなんて感性があったのか。
だが、それほどにこの光景は美しい。
全体的にオレンジがかった光が、どこか暖かく感じるのだ。
それこそこれが女神様の祝福なのではないかと思えるほどにである。
暫くして俺の涙が収まると、ソルテ、アイナ、レンゲは正面にあるというお菓子屋に向かっていった。
素晴らしいステンドグラスがあるとはいえ、二回目ともなれば特に見るものも少ないのだろう。
俺はというと、ぼーっとステンドグラスと十字架を椅子に座って見つめていた。
隣にはシロがいる。
ウェンディにはシロの分と俺の分、さらには隼人達のぶんのお菓子を買いに行ってもらっている。
なにをするでもなくぼーっとしているといつの間にか場内には俺とシロだけになり後ろから肩を叩かれる。
閉館時間かと振り向くと入り口にいたシスターとは違うシスターであった。
「ふっふっふ拝見させていただきましたよ。このステンドグラスは当大聖堂のシンボルですからね。お兄さんの涙はむしろ当然です。きっと貴方の信心の深さに女神様が貴方に祝福をくださいますよ!」
あ、祝福というかスキルですが、実はもういただいてます。
だけど感謝の気持ちを込めてお祈りさせていただこう。
膝を折り、十字架に向かって両手を組んで目を瞑り祈りを捧げる。
(貴方にいただいたスキルのおかげで素敵な仲間達に出会えました。ありがとうございます。ご心配おかけしていることと思いますが、俺は元気にやれています)
「おおお、素晴らしい! 女神様が貴方のお祈りに応えてくださいました!」
目を開けて目の前を確認すると、十字架が光り輝いているように……見えなくも無いけど、ちょうど太陽がいい角度なのだろう。
もしかして、これを狙って話しかけるタイミングを待っていたのだろうか。
「なかなかの神気をお持ちのようですね!」
「神気ですか?」
いや待て、あの光は太陽の傾きによる輝きだろう?
今の何で俺の神気とやらが判ったって言うんだ。
「はい! 神の気配、神の気、聖なる力と呼ばれるものです! どなたにも備えられていますが、神気が少ないと洗礼を受けられません!」
「はぁ、つまり俺は洗礼を受けられて回復魔法がつかえるんでしょうか?」
「残念ながらそこまでの神気は備えていませんね! ですが、普通の方よりは多いのでこれからもお祈りを続けていれば神気が増えて洗礼を受けられる可能性は十分にありますよ!」
「なるほど、ではこれからは毎日お祈りを行うようにしますね」
「いえいえ! そんな事よりも簡単に女神様のご加護を強くする方法がありますよ!」
……だんだん胡散臭くなってきたな。
神の気? 聖なる力? 残念ながら聖なる力は俺のチート選択に入っていないのだよ。
聖なる力のポイントは空間魔法と同じくらいだったし、取れるわけが無い。
「……それは?」
「献金です!」
「……」
「なんですかその目は! まさか神の巫女である我らシスターを疑うのですか!?」
「いえ……ちなみに献金額はおいくらですか?」
「金貨1000枚も献金すれば、きっと洗礼が受けられるようになるかもしれないです!」
金貨1000枚、つまりは1億ノール。
1億ノール払って、おそらく洗礼できないであろうチャンスを掴み取れと……。
「あ、大丈夫でーす」
「急に神気が薄れてきました! お兄さんこのままでは女神の加護が! 加護が消えてしまいますよ!」
スキルなんで消えないです。多分。
俺これ知ってる。
霊感商法って奴だ。
まさかだろ?
王都の大聖堂ともあろうところが霊感商法してるんだぜ……?
誰かにくいくいっと袖を引かれる。
「ん? シロどうした?」
「……変なにおいする」
「変なにおい?」
「食べ物とお酒と、あと煙臭い……」
「……どこからだ?」
「あの部屋……」
シロが指差したのは大きな十字架を正面に、左向け左をして突き当たりにある部屋。
若干隙間が空いているのだが、どうやら厳かなこの場には似つかわしくない笑い声が聞こえる。
そこに向かって歩いていくと、シスターが道を塞ぐのだが、シロに取り押さえさせて容赦なく扉を開いた。
「あっはっはっはっは! 今日も信者の金で飲む酒が美味いでやがります!」
「そうですね姐さん!」「「「「あっはっはっはっは」」」」
……。
一度閉めてみよう。
きっと見間違いだ。
まさかシスターが十字架っぽい何かに腰掛けて机に足を乗せ、スリットも気にせずに酒を飲んで葉巻を吸っているわけがない。
さ、開けるぞお。
「ぎゃっはっはっは! あんた尻のところ破れてやがりますよ!」
「ええ!? あーあ……新しいの買おっと」
「信者の金で?」
「「「「あっはっはっはっはっは」」」」
ガララララ。
今度は突然第三者によって閉められた。
シロから抜け出したシスターだった。
よく抜け出せたな。
「気のせいです」
そういいつつも後ろ手でゴンゴンゴンゴンと扉を強めに叩いている霊感シスター。
合図か?
何かの合図か?
「シロ。帰ろう。きっとここは大聖堂的な何かだ」
「場所違う? うい。お家かえる」
俺達は速攻で踵を返そうとした。
だってここきっと違う。
大聖堂じゃない。
涙が出たのもきっと煙草の煙が知らぬ間に目に入ったんだ!
「確保ー!!」
「「「「「おおおおお」」」」」
「ちょ、落ち着、あああ!」
「主ッ! あう、殺気がないから反応できなかった……」
「おっと、大人しくするでやがりますよ? 大人しくしてれば二人とも平穏無事にお家へ帰れやがりますからね」
こうして俺とシロは、シスター的な何かの集団に捕まりました。
先ほどの、紫煙と酒で、臭い部屋へと。
Q.スローライフしないの?
A.今現在はお答えできません。
Q.主人公の話し方が元社会人とは思えない
A.テンポ重視で、こんな話し方の社会人もいるとご了承ください。
後の話の都合上基本形が敬語でないようにしています。
逆に、若々しい10代で偉そうな話し方の方が鼻につくと、作者は考えた為にこのようにしました。
Q.これハーレムライフだよね?
A.はい。ですが、できればまだ読んでいただければと思います。
Q.ご都合展開すぎない?
A.ごめんなさい。現状これもお答えできません。
Q.主人公危機管理足りなくない?
A.そろそろ、そろそろ変わるようなことが起こる可能性があるとかないとかです。
Q.料理のレベルはどうなってるんですか?
A.これに関しては筆者が考えていません。
どうしましょう……。(あと3話以内でレベル上げます)
Q.主人公短気すぎ
A.序盤で怒るような展開を作りすぎましたね。ヘタレ過ぎないように、と考えていたら過剰になってしまいました。申し訳ない。
Q.設定がばがばやん
A.設定がばがばやで
Q.つまりどういうことだってばよ
A.この物語は、テンポ、ノリ、掛け合い、キャラの個性によって出来ています。過度な期待はしないでください。
ふう!
とりあえずこんなものでしょうか。
あまりお答えできていないのですが、答えられない部分もあるのです……。
ひっさびさにお話をかけるので、調子に乗ってます。
次話!
また濃いの出します。というか今話に少し出てますね。
キャラ出しすぎって声が聞こえます。
またハーレムですか?ッて聞こえます。
またどころか、
まだまだですよ?なんて。
女の子ばかりじゃなく、いずれ男の濃いのも書きますのでご安心を。