4-10 裏オークション 空間魔法レベル4
日間総合3位!?
ジャンル別1位!!?
よし満足だ! うん。いい思い出が出来た!
気を取り直して囚われたりせずがんばります!
あ、でも少しでも気に入っていただけた方が増えたなら嬉しいです。
ありがとうございます!
最近便利だからと
だけど
今まで不可視の牢獄も普通に出現場所を指定して使用できてたし今更感が強いんだが。
とにかく鑑定で調べてみよう。
【空間魔法レベル4
座標の指定、設定が可能。
登録できるのは3つまで。
座標指定をして、その場所にスキルを使用できる。
マニュアル設定で、細々とした設定が可能】
……お、おう。
あ、魔法空間がまた10増えてるぞ。
やったね!
で、だ。
んーと、座標を指定して吸入、排出が使えるのはまあ便利と言えば便利か。
今まで吸入するには手元の近くでしか行なえなかったし。
これで実験もやりやすくなるな。
ただ排出……。あれか。
何もないところから出現させたり死角から排出できたりするってことか。
フハハハハとか笑えばいいだろうか。
うん。今のところ使用予定は無いな!
正直レベル3に比べてがっかりだ……。
ただ座標を登録できるというのは気になる。
例えばウェンディを登録すれば何時いかなる時も何処にいるか把握できるってわけかな。
これで人攫いにあってもすぐに追いかけることが出来るね!
それに
そういえば細々とした設定が可能って書いてあったな。
ちょっと見てみるか。
『生物
無機物
人
虫
獣
植物
善意
悪意
魔道具
武器
……etc』
ずらあああああああああああっとチェック項目が並び、その横に〇と×が書いてある。
とりあえず全部に丸を付けてみた。
『〇ジャjlkl;kklふぁl;kf;kmkl;fじょj@jphbじゅぱえ』
『fkjgsgじゃkkl:gjk:gkj;;k:g;kfl@kgd:lf::』
「1312404870817087404005045408484307875』
『dがsふがg7f871g7h7hk7671h70jj7hsh70s8h7s』
うおおおおおお!?
頭にとてつもない量の情報が入ってきて一瞬パンクしそうになった!
すぐさまチェック項目を全て×にし、事なきを得た。
危なかった。
多分あのままだと脳の処理が追いつかずに脳が馬鹿になっていたかもしれない。
予想だが回りにある全ての座標の情報が入ってきたのだろう。
草から、虫、人、獣に魔物全ての座標情報が入ってきたのならパンクしそうになるのもわかる。
とりあえず項目を悪意と虫だけにしてみた。
すると、頭の中にいくつかの数値が浮かび上がった。
『X,1329 Y,222 Z,60』
(X,1330 Y,201 Z,60)
(X,1356 Y,241 Z,64)
(X,1302 Y,199 Z,60)
(X,1298 Y,251 Z,80)
(X,1324 Y,233 Z,60)
(X,1350 Y,221 Z,60)
(X,1333 Y,181 Z,75)
(X,1256 Y,292 Z,64)
(X,1345 Y,199 Z,64)
(X,1299 Y,233 Z,73)
(X,1301 Y,222 Z,65)
(X,1332 Y,191 Z,63)』
と、ずらーっと座標が頭の中に入ってくる。
凄いな、今俺の周りにこれだけ虫がいると思うとやはり先ほど考えたチート能力の実装と付与を頼まねばならない。
悪意は、魔物なんかが近くにいればと思ったのだが今思えばここにいるのは熟練の冒険者達なのでわざわざ近づかせるとは思えなかった。
でもこれで、街中なんかでは悪意のある相手の座標がわかるようになる。
多分一番上の座標が、今いる俺の座標なんだろう。
試しに一歩動いてみると、
『X,1328 Y,222 Z,60』
こっちがX軸で、今度は90度直角に動いてみる。
『X,1328 Y,221 Z,60』
大体だがこっちがY軸か。
おそらくZ軸は高さだろう。
なるほどねえ。
上限はどれほどあるのかわからないが迷子になった際もこれで元の座標に戻れば帰ってこれるな。
まあでも、わざわざ言うほどの事でもないか。
今度聞かれたらレベルが上がったとでも言えばいいな。
とりあえず設定を悪意と虫、魔物に設定して今日は就寝することにした。
寝ようとすると、虫がひっきりなしに移動して数値の変動が気になり眠れなくなったため、虫の項目を外して眠る事にした。
ちなみに、俺はしても意味が無いからと見張りの役目は免除になったのである。
悔しいので
次の日、俺は馬車に乗らず護衛の三人と共に馬車の前を歩いていた。
当然だが、不可視の牢獄を張っている。
そして気がついたのが、昨日まではぐぐぐっと押して動かすような感覚だった不可視の牢獄が、
スムーズどころか手足のように不可視の牢獄を動かせるので、思い通りに動くラジコンのような感覚である。
試しにそこらへんにいた魔物に拳大の不可視の牢獄を勢いよくぶつけてみると、頭がはじけとんだ。
そして俺は吐いた。
いやさ、だってまさか頭がはじけ飛ぶなんてグロ映像を遠目ながら見るとは思わなかったんだもん。
そして俺はこの世界に来て初めて魔物を殺めたのだ。
見た目は蜥蜴のような姿だった。
罪悪感が心の隅から隅までを襲う。すまん。
『レベルが 7 になりました』
ああ、またレベルが上がってしまった。
すまん。だが、これもこの世界の道理なのだ。
もう何体目になるかわからないが、生物の頭を潰して殺すという行為への抵抗は半端が無い。
できればゴーレムなんかの無生物をと願いたいが、おあいにく様ここはまだ爬虫類ゾーンである。
三本腕が生えている蛇、二足歩行の蜥蜴、翼の生えたイグアナなどなど常識で考えてはいけない生物の宝庫だ。
「それにしても主君歩いていて平気なのか?」
「ああ、虫じゃなきゃ大丈夫だ。ただ、まだ相手の頭を潰すって行為に抵抗があるな」
「でもそうしなきゃ私達は生活が出来ないからな。それに、敵を殺す以上いずれ死ぬ覚悟も出来ている」
「流石。俺は死ぬ覚悟なんてまだまだだ。いかに死なないかしか考えられねえよ」
その為に、こうして安全な位置からレベルを上げさせてもらっているのだ。
生物を殺す。
その行為自体は割り切れる。
ここは異世界で元の世界と比べて危険が多いのだから。
ただ、毎度グロく殺すしかないという事に抵抗があるのだ。
今俺に出来る事は不可視の牢獄で潰すか、薄くして切り裂くかのどちらかである。
だが、どういうわけかぶつけても全く効かない敵もいる。
装甲が硬いのか、それとも全身が武器扱いだと防御としての効果を発揮してしまうのかわからないが、弱所を狙うとするとやはり頭になるのだ。
そして毎度吐く。
見たくないのに気にし始めると結局見てしまうのだ。
だがそれが相手を殺したという事への礼儀なのだろう。
その事実を受け入れなければいけないのだろう。
「また吐いてんの?」
「ああ、やはりまだ早いんじゃないだろうか」
「いいじゃない。楽してレベルが上がるなら上げといた方が得だもの」
「そうっすよ。私達のPTには遠距離攻撃がなかったっすからあるとこうも楽だってわかるっすしね」
「ただ突然敵の頭がはじけるのはちょっと怖いわよね」
「っすね。でもご主人のことだから返り血とかかからない距離でぶつけてくれてるっすよ」
「まあな……。この距離でもきついのに、至近距離で返り血浴びながら頭が潰れるのを見るとか俺ならトラウマ確定だからな」
「それでどれくらい上がった?」
「今レベル7だ」
「早いわね。まあこの辺りは初心冒険者が狩りに来るようなところでもないし、当然かしら」
「パワーレベリングっすね! ご主人は冒険者登録してないから大丈夫っすけど、レベル5までしか本来なら出来ない事っす」
「あ、ほらまた出てきたぞ」
アイナが言うと街道のわき道から熊かと思うほど大きな蜥蜴が現れた。
当然目立つ馬車に気がつきこちらに猛然と向かってくる。
「懲りないわね。流石知性も理性も無い魔物よね」
「理性と知性があったら魔族っすよ。こんなところで魔族とご対面は絶対にごめんっす」
「わかってるわよ。主様を守りながら魔族とだなんて、ごめんこうむるわ」
「それでもご主人はきっちり守って逃がすソルテたんでしたっす」
「うるっさいわよ。あんたもでしょうが!」
「っすね。ほら来たっすよ!」
「レンゲブロック!」
「ほいっす」
レンゲが突進してくる蜥蜴を押し抑え、逆にはじき返す。
そこにソルテが横から突進し、柔らかいおなかを切り裂く。
そして動きが止まった蜥蜴に、俺が不可視の牢獄をぶつけるという連携が決まる。
頭部をなくした蜥蜴が、力なく倒れ、その身体をレンゲたちが端に運び解体していた。
「そういえば主君はレベルアップボーナスを何に振るんだ?」
「
「ああ。うん。それがいいと思う」
そうだよな。素材って、魔物の部位もあるもんな。
凄いな……。
ああ、血だらけになりながら魔物を解体している二人をそんな風に思っちゃいけない。
彼女達は当然のことをしているんだ。
それに俺は何度も彼女達に素材集めを頼んでいるのだから、そういうことを思う資格などない。
……すうううううううううふううううううううううう。
ようし。切り替え完了。
一度はまると負の思考の地獄から逃れられない事を人生経験上知っているので、こうして一度大きく深呼吸をして無理矢理頭を切り替えるのだ。
「何かいいもの取れたか?」
「主様大丈夫なの? その、私達が解体してるところに来て」
「ああ、俺が頼んでる事だからな。最後まで見るって責任は果たすさ。いつもありがとうな」
「いいっすよ! あとほら! 今回は大物っす!」
レンゲが大きな魔石を取り出すと大蜥蜴の身体が砂のようになり消えていく。
こうしないと、魔物は空気中の魔力を吸収しまた動き始めるのだそうだ。
死体が残らないのは、流石ファンタジーだと思う。
そして俺の心にとっては大変助かる事だった。
ちなみに、魔石を外しても消えない物がドロップアイテム扱いになる。
つまり解体とは魔石を外せばいいのだ。
「ああ、主君。見えてきたぞ。あれが王都ラシアユだ」
「そうか。ちょっと上から見てみるか。レンゲ、ソルテ、アイナこっちに来てくれ。せーのでジャンプな。せーの」
ぴょんっと4人でその場からジャンプし、即座に発動した不可視の牢獄に乗り、
そこから見えるのは大きな城、そしてアインズヘイルよりも広い城下町であった。
町の中心部にはこれまた大きな噴水と、なにもかもがでかい。
「すごいな。これが王都か」
「ああ、まさか上から全体を見られるなんて思わなかった」
「貴重な体験っすね!」
「ほら、それもいいけど馬車の護衛をしないと! は、早く戻りましょうよ!」
それもそうだ。
だが、それにしても声がうわずってたな。
「お前、高いのダメなのか?」
「狼なんだから地面がないとダメに決まってるでしょ!」
強がらないなんて珍しい。
それだけダメなんだろう。
俺は本気で嫌がる相手に無理矢理強要する奴が嫌いだ。
飲めない奴に無理矢理飲ませるくせに、自分は飲まない奴が大嫌いだ!
だから今回はすぐに地上に戻るとしよう。
「それじゃあ戻るぞ」
せっかくなので急いで戻そう。
早く地に足をつけたいだろうしな。
「い、いや! おおおお落ちッッッ! いやあああああああ!!」
……これは俺が悪かった。
次もし機会があれば、必ずゆっくり下ろす事を約束する。
だからソルテ、抱きつきながらそんな涙目で俺を睨まないでくれ。
心が、痛い。