4-9 裏オークション 甘いデザート
おおお……。
昨日なんかPV数増えたなあわーい! とお気楽に考えていたら感想欄にランキング入りおめでとうございますと言われて気がついたのですが、日間のジャンル別と総合のランキングに入ってました!
最終的には総合45位、ジャンル別10位と、過分な評価をいただき誠に恐縮です。
でも、少しでも気に入ってくれた方がいたら自分としてもとても嬉しいので、慢心せず地道に書きたいものを頑張っていこうと思います。
どうぞこれからも、よろしくおねがいします!
あー……。
膝枕は最高だな。
人の肌ってどうして触れていると落ち着くんだろう……。
「俺もうここから離れない……」
「いや、それは流石に困るっすけど……」
「あれ? レンゲ? 帰ってたんだ」
「はいっす。さっきホクホク顔のウェンディさんと交代してもらったんす。話は聞いたんで安心するっすよ! もう虫ゾーンは抜けたっすからね!」
「そっか……。もう虫いない?」
「いないっす! 今は獣ゾーンっすからね。自分達があらかた街道沿いの獣は狩ったんですいすいっす!」
「そっか……良かった」
「それにしても主様弱りすぎじゃない? ちょっと私達の主人としては情けなさすぎるんだけど」
「はい……。ごめんなさい……」
「ああ、もう! ソルテこんな弱ってるご主人をいじめるなんて人としてどうかと思うっすよ! あーよしよし。お尻は触るの無しっすからね」
「……ちぃ」
どさくさに紛れて触ろうとしたのに先に釘を刺されてしまった。
「今舌打ちしたわ!」
「何言ってるんすかソルテ。今のご主人を見てよくそんな事が言えるっすね」
「したんだもん! 本当だもん!」
「はいはい。ほら、膝枕交代の時間っすよ」
「もういいでしょ! こいつ絶対元気だもん!」
「こいつはダメっすよ。ちゃんと主様っていつもの呼び方で瞳にハートを浮かべないと」
ほう。ハートとな。
ああ、グッバイ至高の太ももよ。
そしてカモンツンデレな太もも。
んー。ソルテの足ってしなやかで結構膝枕気持ちいいんだな……。
前のときは飛び上がったから感触を忘れてしまっていたんだよな。
「ハ、ハハハ、ハートなんか浮かべてないわよ!」
「えー気づいてないんすか? 冒険者ギルドに王都に行ってくるっすって報告しに言った時とか目撃者多数なんすけどね」
「その時に凹んでいた男冒険者も見えていないんだろうな……」
へえソルテって意外ともてるのか。
きゃんきゃんやかましいから男に相手にされないのかと思ったら……。
まあでも外面は可愛いしな。
おっぱいは……うん。来世に期待だ。
「アイナまで!? え、私そんな?」
「そんなっす」
「そんなだな」
「アイナも人のこと言えないっすけどね。まあアイナは『主君を守り通す!』って感じのやる気の炎っすけど」
「それは当然だ! 主君は私が必ず守ると誓ったからな! ただ、最近はあまり一緒にいられないから少し寂しく思う……」
「乙女っすねえ。寂しいならどんどん自分から行かなきゃだめっすよ! シロさんも言ってたっす。チャンスを無駄にしたら負けるっすよ!」
「そういうレンゲはどうなのよ! あんた男嫌いだって言ってたじゃない!」
「んー。ご主人にはもう全部見られてるっすからね……皺の一筋に至るまで……」
見たねえ。
だってあれはほっとけなかったし。
いくら長旅帰りな上に冒険者だからっておろそかにも程があったからな。
今じゃすっかりつるっつる族よ。
「ああ……えっと、ごめん」
「謝らないでほしいっす……。あとご主人、その体勢からズボンどころか下着の中に手を入れようとするのは流石に見過ごせないっす」
「っちぃ、ばれたか」
「ばればれっすよ。もう。そういうことするのは二人きりの時にお願いしたいっす」
「ほらほら! ほらやっぱりしてた!」
「ソルテは何を言ってるんだ?」
「さあ? わかんないっす」
「嘘でしょ!? 舌打ちよ! さっきまで何の話をしてたつもりなのよ!」
「ご主人にキュンキュンソルテたんの話っすね」
「主君にときめいてるソルテの話だな」
「俺にきゅんきゅんときめいてるのソルテ?」
「んなわけないでしょ! ぶっ殺ワオオオオオオオオオン!」
「あーあー。馬鹿か」
久しぶりに奴隷の制約が発動したな。
しかし、流石にからかいすぎた。
イジリやすいのでいつの間にか調子に乗っちゃうんだよなあ。
よし。反省。
「痛いよお……うう。どうして私が……」
「あーすまん。ほら」
頭を押さえて涙目でごろごろしているソルテの身体を引き寄せて頭を膝に載せる。
先ほどまでと逆の構図にし、痛みが引くように優しく頭を撫でてあげた。
「わうー……。気持ちいいよぉ……」
「そうかそうか。そういえばソルテを撫でるのは初めてかもな」
するとソルテは身体を丸め、尻尾をぱたぱたと振り出す。
こういうしぐさは可愛いんだけど、普段からこうならいいのに。
そして犬耳も悪くないな。
あと犬は尻尾の動きで機嫌がわかりやすいのがいい。
「いいなあっす。手突っ込んでもいいんで、自分も撫でてほしいっす」
「レンゲ? それは代価が大きすぎないか!?」
「どうせ突っ込まれるんすから代価を要求しておいたほうが得っすよ? ほらアイナもその胸を使って何か要求しておいたほうが、得っすよ」
「悟ったらダメだろ……。いや俺が言う事じゃないけどさ」
諸悪、とは言わないまでも根源は俺だもんな。
だが、ショートパンツの裾側から手を突っ込みたいこの欲望を誰が止められるというのだろうか!
「ご主人この服好きっすよね。今度三人でこれにしてみるっすか?」
「いいね! 三人の太ももに挟まれたい!360度全部ふとももに覆われたい!」
「やー流石ご主人。言う事が変態的っすね」
「わ、私のふとももなんかでいいのであれば……」
「私は嫌よ! なんでそんなエッチな服を着なきゃいけないのよ」
「えー。ソルテ私の服エッチだと思ってたんすか? ショックっす……」
「違……わないわね。うん。だって太もも全開だし」
「ソルテのはいてるミニスカートの方が変態っすよ。なんで戦うのにミニなんすか? パンツ見せたいんすか? 露出趣味っすか?」
「違うわよ! 私達は普段から洞窟とか森とかに行くから可愛い格好ができないんだから、こう、一つだけでもお洒落なポイントがあると、心の持ち様が違うのよ!」
わからないでもないが、現実的思考ならば防御力薄いと思う。
ほら、簡単にめくれるし。
「白か。いいね」
「……あんたねえ……。はぁ、代価は何にしようかしら?」
「金ならある!」
「最低だ! スカートをめくっておいて金の話をしだしたぞ!」
「ご主人いつもの調子が出てきたっすね。良かった良かった」
ん、そうだな。
いつの間にか調子が戻ってきている。
やはり膝枕のヒーリング効果は高い。
日本でそういったお店が、今なお営業しているのはだてじゃない。
ああ、男に生まれてよかった。
「あのー……イツキさん元気になりましたか?」
「ああ、隼人か。すまんな心配をかけた」
「良かった。体調はよくなったんですね。ご飯食べられます?」
「いただくよ。デザートは任せてくれ。試してるものがあるからな」
「デザートですか? クッキー……ではないのですよね」
「ああ勿論。この世界には……あるとは思うけど、絶対にこっちのがうまい」
「イツキさんがそういうなら楽しみにしておきます」
「ねえ、なんであんた私が膝枕されたまま話してるの? なんであんたはこの状況で起き上がろうとした私を抑えたの? なんの違和感も無いの?」
「慣れました。あ、普通の膝枕だったんですね」
「慣れないで! 常識人が一人減っちゃダメでしょ!」
「ほら、ソルテさんもご飯いきますよ」
「こいつが手を放さないと行けないから!」
「じゃあ行くか。せっかくの料理が冷めたら台無しだしな」
「あ……。結構、すんなり退くのね」
「おやー? ソルテ少し寂しそうな顔してるっすね」
「ああ……。というか私だけまた膝枕出来なかった……」
「してないから! 調子に乗らせるような事いうんじゃないわよ!」
「次はアイナが一番っすよ! 仲良く交代していくっす!」
「そうか。そうだな! うん。次は私だからな!」
「ねえ、お願いだから私の話をちゃんと聞いて。最近二人が冷たく感じるの……」
そんな事はない。
ちゃんとソルテは皆から愛されているから安心しろ。
イジラレキャラとしてな。
クリスとウェンディの作った絶品の料理を食べ終えた後、俺は昨日ウェンディと実験的に作った品を出す準備を始めた。
魔法空間を調べるうちに、わかったことが色々ある。
まず一つ目は時間経過だ。
時間経過は基本的にしない。
だが、入れる際に設定をすることが出来た。
お湯を時間経過有りで入れて取り出すとすっかり普通の水になっていたのである。
そして2つ目、こちらは今まで試した事がなかったのだが、魔法を
ウェンディに協力してもらって弱めの威力で水を飛ばしてもらい、それを吸入で魔法空間に収める事ができた。
そして
これは、相手の魔法を吸い込んで打ち返すことができるという証明になった。
まあそんな何かと戦う予定などないのだが、一応知識として知っておいて損は無い情報であった。
それらを応用して出来た品。
アインズヘイルでは見かけなかったので、試しに作ったのだが完成しているだろうか。
とりあえず取り出したのは大きな氷の塊。
これは、魔法空間の環境設定を最低の0℃にしたまま
いや、丸々氷なので氷室のほうが正しいかもしれない。
その中にあるのが本日のデザート。
そう。アイスクリームである。
氷に塩を撒いて氷点下まで温度を下げ、魔法空間内をマイナスの温度に保たせる。
そして牛乳から生クリームを分解、再構築を駆使して作り、卵、砂糖を加えて混ぜ、凍らせて完成したのがこちらだ!
四角い金属に入った真っ白なアイスクリーム。
極めつけの本来なら美容に使われるバニルのハーブを搾ったエキスが、甘い匂いを醸し出してより一層アイスとしての魅力を引き出している。
「アイスクリームですか!? わあ、バニラの香りがいいですね」
「正式にはバニルな。ちゃんと牛乳を分解して乳脂肪分を再構築させて作った生クリームを使ってるから楽しみにしようぜ」
「生クリーム……。それならケーキとかも作れそうですね!」
「だな。スポンジが……ああ、白パンが作れるならできそうだな。ショートケーキとか今度作ってみるか」
「わあ! 僕も食べたいです! この世界に来てから甘い物は砂糖を多く使えばいいと思っている物が多くて……」
「くどそうだな……。モモモでケーキとか美味そうじゃね?」
「ジューシーなモモモでケーキ! 絶対合いますよ!」
だよな。ああ、やばい食べたくなってきた。
王都についたら厨房を借りて作ってみよう。
王都というくらいだ、材料は簡単に集まるだろう。
「あの、あいすくりいむ? ですか? 溶けてしまってもいいのですか?」
「「ああっ!」」
いかんいかん。
つい話に夢中になってしまった。
さて、取り出したのは名称不明のあの器具。
丸い球体に削りだす優れもののあの器具である。
「おお、それも作ったのですね」
「ファミリータイプのアイスクリームには必須だろう? お好みでさっきのジャムと合わせてもいいからな」
「僕はノーマルでいただきます! ああ、懐かしきアイスクリーム……」
「ほら、皆の分も取るから食べていっていいぞ」
こうして俺は皆にアイスクリームを振舞っていった。
「冷たい。甘い、美味しい」
「そうですね。香りもバニルの甘い匂いが素晴らしいです」
「クリス、これ簡単に作れるから隼人にも作ってやんな」
「そうなのですか? でしたら後で作り方を教えてください」
「ああ、生クリームが入手できればいいんだが……。入手できない時は牛乳とバターを混ぜて代用すればなんとかなるぞ」
「クリス、しっかり聞いて作ってください!」
「はい。隼人様がそんなに喜んでらっしゃいますので、絶対に何一つ聞き漏らしません!」
そんなに気合入れなくても、クリスならすぐ作れるどころかきっとアレンジを加えてあっという間にこれよりも美味しく作ってしまうだろう。
そうなったら是非ご相伴に与りたい!
「ご主人様、モモモの果肉とあわせますととても美味しいです」
「お、本当か? じゃあ、あーん」
「はい。あーん」
「ん、美味いな。モモモの濃厚で豊潤な甘みと、それとは違うアイス独特の甘みがいい感じだ」
「主、こっちも食べる。あーん」
「おう、これは……ナッツか。ナッツを砕いて上に振りかけたんだな」
「そう。食感がまたいい」
「だな。振り掛けるのと別にペーストにして混ぜ込んでもうまいかもしれん」
考えればアイディアが止まらない。
出来ればクッキーアンドクリームを作りたいところだが、この世界でチョコレートはまだみてないんだよな。
カカオがあるならば錬金の分解と再構築でどうにかなると思うのだが……。
「隼人様、美味しいですね!」
「うん。すっごく美味しい。実家でも食べた事ないわね」
「レティ様が食べた事ないのでしたら、他の貴族の方も食べた事がないのでは?」
「ぺろぺろ……。あうー……なくなってしまったのです……」
「おかわり貰ってくればいい。私も貰う」
「じゃあ行くのです! お兄さーん! おかわりが欲しいのです!」
「ああ、一人2杯までな。あんまり食べるとおなか壊すからな」
「わかったのです! じゃあ二杯目は大きくしてほしいです!」
「私も。おなかを壊しても治せるから大丈夫です」
「皆気に入ってくれたみたいでよかったよ。ほら、大盛りだ」
「わーい! いっぱいなのです!」
「私の方もいっぱい。大満足です」
こうして皆律儀に二杯ずつ食べて大満足の結果となった。
隼人もご満悦で、俺としても皆が喜んでくれたなら満足の結果である。
それに、魔法空間にはまだまだ可能性があることがわかったからな。
これからも時間を作って様々な事を試していこうと思う。
これはもしかしたらこんなに使わないと思っていた魔法空間が、手狭になるかもしれないな。
まあ、レベルが上がればまた使える領域が増えるだろうし気長に待ちますかね。
そうして、せっかく作った氷室を壊すのも忍びないので魔法空間にしまうことにした。
『空間魔法のスキルレベルが 4 になりました』
『
「え……」