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4-7 裏オークション 三人

王都に出発してないのに7話になっちゃったよ!

相変わらず進み遅いよ!

タイトル王都にすればよかったかな……。


「おかえり! 明日から王都に行くからね!」

「「「はぁ!?」」」

「怒鳴られた……。事後報告しただけなのに……」

「あらあら。ご主人様かわいそうです」

「いやおかしいから! 材料収集から帰ってきて労いの言葉もなくいきなり明日から王都に行くとか言われても何も準備してないから!」

「ご苦労様! あ、その辺りは大丈夫。今日の朝買ってきたから」


へへーん。女の子のケアに必要な物も各種取り揃えてるし、野営用の道具も作ったんだ!


「ぬかりないわね……」

「下着も買ってあるよ?」

「デリカシーすらないのね……」

「つっこみ疲れない?」

「疲れるわよ! あんたがつっこませてるんでしょうが!」


気を使ったのに怒られた。

なんたる理不尽。

暴力系じゃないだけましだと思う事にしよう。


「行きたくないならお留守番でもいいけど……」

「嫌よ! 日がな一日ずっと家にいなきゃいけないなんて絶対嫌!」


えええ……。

俺はそれがずっと続いてもいいんだけどなあ。


「まあまあソルテ。久々に王都にいけるんだ。いいじゃないか」

「あのね。私達こんなに自由だけどこいつの奴隷なのよ? 王都に行っても自由に行動なんてできるわけないでしょ!」

「え、別に自由行動でもいいけど」

「あ、そう……」

「うん……。出来れば一緒に買い物もいいかな? って思ったけど、まあ別行動したいなら止めないから好きに満喫してもいいよ」

「ッ……。いいわよ。私達は奴隷なんだからあんたと行動するわよ!」

「無理しなくても……」

「無理なんてしてないから! いいの! わかった?」

「あ、うん」


何で怒ってるのこの子……。

犬歯鋭くて怖いんだけど。


「シロはご主人と一緒に行動っすか?」

「当然。主にせくしいらんじぇりいを買ってもらう」

「おー気合十分っすね。自分も何か買ってもらうっす!」

「ん。遠慮は要らない。主はきっと何でも買ってくれる。その代わり対価は身体で支払えば良い」

「対価がきついっす! でもでも、まあーそれもありっすかね!」

「ん。レンゲもわかってきた」

「はいっす! ある程度我慢すれば何不自由ない生活っすからね! 今回の狩りも楽しかったッす!」

「いいなあ。シロも行きたいけど、主の護衛が一番だからいけない」

「ご主人をつれてけばいいんじゃないっすか?」

「主は危ないところに行かない。今回も隼人のPTが一緒だから行く」


まあそうだな。

それにしてもシロもやはり狩りに行きたいのだろうか。

俺は行かないにしてもシロを今度アイナ達について行かせてもいいかもしれないな。

すまないねえ、不甲斐ない主人で……。


「それで、もしかしてだが彼が隼人殿なのだろうか」

「一応伯爵だから外では様な」

「ああ、すまない。つい冒険者の名残でな」

「あはは、好きに呼んでいただいていいですよ。はじめましてアイナさん。紅い戦線(レッドライン)のお噂はかねがね」

「こちらこそ。隼人殿の武勇は聞き及んでいるぞ」

「経緯はイツキさんにお聞きしました。ですが、結構幸せそうでなによりです」

「奴隷になる前より良い暮らしをしているからな。こうして狩りにも普通に行かせてもらってるし至れりつくせりだ」

「ははは。イツキさんはボクも尊敬する立派な方ですから、どうか助けになってください」

「勿論だ。主の命は私達が全力でお守りする。だから隼人殿は心配しないでくれ」

「シロが守るから大丈夫」

「はい。シロさんもとても強いようですし、安心していますよ」


なんだろうねえ。

女の子達に守られる俺!

情けない!

だが、それでいい。

いざという時頑張ろう。

まだその時ではない。


「ほらほら。三人とも汚いから早くお風呂に入ってきなさい。お湯は沸いてるからね」

「あら、気が利くじゃない」

「今日は一緒に入らないんすか?」

「いやあ。後で隼人達も入るのに俺が先に入るわけにも行かないだろう」

「「「あー……」」」

「……何想像してるのか手に取るようにわかるから言うけど、違うよ?」


どうせエロイことするとか思ったんだろう。

っは!

俺は場所をわきまえますー!

お風呂は神聖な場所なんですー!

アイナ達は俺の弁明も聞かずそのまま地下室に下りていった。

ちくしょう。あとで乱入してキレイキレイの刑にしてやろうか……。

全身余すとこなく産毛すら残さず綺麗にしてやろうかアアア!


「あ、隼人達は混浴でも構わないぞ?」

「あんた、いっぺん焼き殺すわよ?」

「ウェンディ、水魔法だ!」

「はい! ご主人様は焼かせません!」

「あんたもはいはい言い従ってるんじゃないわよ!」

「あはは、イツキさんがいると楽しいですね」

「隼人も笑ってるんじゃないわよ! こいつのことだから理由つけて一緒にお、お風呂入ることになるんだからね!」

「イツキさんはそんなことしないよ」

「隼人、お前日本の流儀を知ってるだろ? そう。裸の付き合いはとても大切だぞ」

「ほら! 今変な事言ってるから! 聞いて隼人ねえ!」

「え? ご、ごめん、ミィとクリスを撫でてたから聞いてなかった」

「あんた達もあいつに染まってるんじゃないわよ!」

「隼人様ぁ~」

「気持ち、いいです。隼人様」

「僕も、二人が傍に居てくれて嬉しいです」

「ッ~! 隼人! ちょっとこっち来なさい!」

「わ、なに? どうしたのレティ!? 痛い! 痛いよ!」

「いいから黙って歩く! 客室借りるわよ!」

「おーう」


どうせ自分も撫でられたいけど皆の前じゃ恥ずかしいから理由をつけて部屋に連れ込んだってとこだろう。

さて、覗き見しに行ってもいいんだけどな。

でもここで覗かれたのに気づいたら多分素直になれなくなるだろうから、ここは大人しくしておこう。


「……自分も撫でられたいけど皆の前じゃ恥ずかしいから理由をつけて部屋に連れ込んでいった」

「だよなあ。あれ絶対照れ隠しだよな」

「うん。間違いない。耳真っ赤だった」

「エミリーは撫でられなくていいのか?」

「今日の朝、レティがあなたと出かけている間にたっぷり撫でてもらった。おでこにチューしてもらったから私の方が進んでる」

「エミリーずるいです」

「エミリー様羨ましいです」

「えへん。隼人はお願いすれば弱い。だから二人も頑張る」

「はいなのです!」

「わ、私も頑張ります」


よきかなよきかな。

これぞ男女間の愛のやり取りだよ。

初々しいねえ。

こんなことを考える辺り俺は、もうおじさんなのかもしれないな。


「さて、それじゃあ俺は錬金室に篭るから、三人が風呂から出たらエミリー達入っちゃってくれ」

「家主より先でいいの?」

「おう。どうせなら隼人を剥いて無理矢理一緒に入っちゃえ」

「隼人様とお風呂なのです!」

「そ、そんな」

「いい案。レティは嫌がるから数十歩先にいける」

「ミィも参加するのです! 洗いっこするのです!」

「私も、お背中をお流ししたいです……」

「愛されてるなあ隼人は」

「ご主人様。今日は私がお背中をお流ししますね」

「ん、ありがとうウェンディ」

「じゃあシロが前を洗う。全部」

「おう!」

「ずるいです! 私が前も洗おうとしたのに!」

「欲張りはダメ。半分こが常識」

「……あなたの方が愛されてると思う」

「ずっとずっと先を行っているのです……」

「ハレンチです……」


ハレンチて……。

まあでも愛し愛されでいいよね。


「そういえば王都までって馬車だよな?」

「そうですね。馬車での移動になります」

「俺が初めて会ったときのやつ?」

「そうです。アレは私達の馬車ですから」

「……やべえ。馬車借りてねえや……」


しまったな。

当日借りられるものなのか?


「今ならまだ間に合うのです! ミィが護衛してあげるので一緒に行くです!」

「シロが行くから大丈夫」

「ミィも夜道を走りたいので大丈夫なのです!」

「ミィがお出かけするならお風呂は待っててあげる」

「流石エミリーなのです! 信じてるのです!」

「ええ。だから存分に行ってきなさい」

「エミリー様……お顔と言動が一致してません……」

「エミリー酷いのです! 騙したのです?」

「……冗談よ。ちゃんと待っててあげるから行ってきなさい」

「じゃあ行くです! お兄さんもダッシュです!」

「ダッシュ!? 22を超えてからダッシュなんてしたことないんだが!」

「虫から逃げてた時はダッシュしてたのです!」


ああ、あのトラウマか。

腕にサブイボが立つわ……。


「じゃあ行きますか。ついでにヤーシスに出かけるって言うのと、持ってるバイブレータを売りに行くか」

「ならもっと急ぐのです! エミリーが待ちきれずにお風呂に入っちゃうかもしれないのです!」

「ええ……、ならミィはお留守番でもいいんだぞ?」

「お外を走った後の水浴びは最高に気持ちいいのです!」

「あー……わかる」


汗だくになった時の冷水シャワーの気もちよさったらないんだよな。

サウナのあとの水風呂もいいが、夏の冷水シャワー、エアコンのコンボは風邪を引くが最高だ!


「じゃあたまには走るか。言っておくけど俺は遅いからな。見失わないでくれよ」

「わかってるのです! シロ、競争なのです!」

「ん。受けて立つ」

「わかってないからね……。シロも受けて立たないで……」


どう考えても俺が置いてけぼりになる未来しか見えない。


「あら、シロが護衛を放り出すなら私はご主人様と腕を組んでいきましょうか」

「それじゃ間に合わない。ウェンディは太、……遅いから」

「太い、ですね。よーくわかりました。シロにはもうご飯を作ってあげませんから」

「嘘。ウェンディは胸以外最高。主がほれるのもわかる」

「今更遅いです。明日からシロのご飯は全部生野菜です」

「嫌ぁ! 主、ウェンディを止めて!」

「今のはシロが悪い」

「主が裏切った!」

「裏切ってない! ウェンディは太くないだろ……」


肉感があって、艶かしい体なだけだ!

それにウェンディが太かったらこの世の中の7割が太ましくなってしまうだろうが!


「野菜生活……。この世の地獄……」

「自業自得です」

「口が滑った……。もう言わない……」

「……反省してますか?」

「してる。すごく。後悔してる。もう言わないの」

「なら許してあげますが、次もし言ったら10日間ご主人様と私が一緒に寝ますから」

「うぐ……。わ、わかった。言わないから大丈夫」

「あと! ご主人様を置いて競争なんてしたらどうなるかわかりますよね?」

「わかってる。しない……」

「あうー。ミィのせいでごめんなさいなのです」

「ミィのせいじゃない。全てはシロの責任。甘んじて罰を受ける」

「いい加減出てもいいか……? マジで間に合わなくなるぞ?」


ああ、もう日が傾いてきてる。

夕焼けこやけだよ。


「行くのです!」

「ん、主の傍を離れない」

「んじゃ行ってくるわ」

「はい。先に夕食の準備をしてお帰りをお待ちしておりますね」

「ああ、頼む」


帰ってきたらご飯がある生活。

最高だな!


「さて、それじゃあレティの邪魔をしに行こう」

「ええええ!? いいのですか?」

「お風呂より先にいかれたら嫌。それに長い」

「そ、そうですよね。抜け駆け禁止ですけど、隼人様が求めたら受けようですもんね! 一緒の時間が長いと危険ですよね!」


可哀想なレティ。

せっかく至福の時間を堪能しているのだろうけど、今まさにクラッシャーが行くようだ。

隼人のPTも難儀な取り決めしてるんだなあ……。

願わくは恥ずかしさのあまり部屋を壊しませんように。

火事だけは勘弁してくれよ。

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