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4-2 裏オークション ロリバ……領主と秘密の会話

7/8 11:17 タイトルを修正しました。

7/20 ガイドラインに抵触しそうだったので変更中。とりあえずです。

おかしい部分は来週追加修正します。

俺自慢の牛革の椅子に腰を下ろす……。

どうして、こうなった……。

これでは完全に三人に勘違いされたままだ……。

目の前の童女風年上領主様はご満悦の様子で、目の前の茶菓子をぱくぱくと食べ紅茶を飲んでほっこりしている。


「……それで、なんのつもりだよ」

「んー? 何がー? あ、お茶おかわり頂戴」

「勝手にのめって……。いやだからわざわざ二人っきりとか言う必要ないじゃんか」

「でも今二人きりだよ?」


そう。そうなのだ。

この領主様、ウェンディやシロを排除して俺と二人で錬金室に入ると領主権限なるあるかどうかもわからない凄そうな力を振りかざしてきたのである。


『ふっふっふー。領主は偉大である!』


とか訳のわからないことをいっていたが、二人が大人しく言う事を聞いたのだから、もしかしたら俺が知らないだけで有名なネタなのかもしれない。


「んー。まあなんというかね」

「ん?」

「ほら、ボクは君に助けられたわけじゃないか」

「まあ……そうなるのか?」

「そうなるんだよ」


アレは偶然手に入れたモノだしな……。

確かに渡したのは俺だが、俺が死んでほしくないなと思ったから渡しただけである。

本当に少しの、ほんのわずかな時間を話しただけだったのだが妹がいたらこんな感じだろうか、と思ってしまったのだ。

だから死んでほしくなかった……のかも?

まあ助けられるのに死なれても寝覚めが悪いしね! うん!


「改めて、ありがとう。君のおかげでボクはまだ生きていられるよ」

「気にしなくてもいいよ。たまたま手に入ったから助けられただけだしね」


ったく、普段の調子はどうしたんだよ。

なんというか、調子が狂いそうだ。


「そうは言っても、あれはとても貴重なものなんだよ。それこそ王国内でも勝手な取引は許されていない程なんだ」

「ん? じゃあ隼人にクエストを頼んだのはいいのか?」

「ボクがクエストを頼んでその報酬を支払い、手に入れたモノは全てボクのものって契約なわけさ。それならば霊薬の取引にはならないからね。まあ、貴族で欲しがっている連中はいい顔はしないだろうけどこの街に喧嘩を売る貴族はそういないさ」

「まあ、それはそう……なのか?」


レインリヒやダーウィンがいるとはいえ、どうしても欲しい貴族ならばと考えてしまう。

だがこの国は規律がしっかりとしているし、ちゃんとした王が治めているんだと思う事にした。


「まあブラックマーケットや闇オークションなら手に入るかもしれないけどね。裏だから何千万ノールかかるかは回によって違う上に何時出回るかもわからないけど……」

「裏のってことか。王国は取り締まってないのか?」

「必要悪って事で放置しているようだよ。まあ王の近辺にいる者も貴族も参加しているからね。噂では王の使いもいるとかいないとか。お金はあるけど手に入れられない物とか、秘密裏に入手したい物を手に入れるにはそれしかないからね。ただ、法律で禁じられている物は売れないよ。麻薬とか、特別保護動物とかね」

「なるほどな」

「その口だとやはり裏で手に入れたモノってわけでもないんだね。全く君は不思議な人だね」

「そうだな。今知ったくらいだし。ただ、出処を言う気はないぞ」

「いいよ別に。ボクとしても命の恩人に嫌われる真似はごめんだからね」

「別に嫌いはしないけどな」


それだけ価値があるものなら出処が気になるってのはわかるけどな。

悪いが危険な要素を招きそうで誰にも話せない。


「それでお礼なんだけど、隼人に相談したら構わないって言うから、隼人に渡すはずだったクエストの報酬を受け取ってほしいんだけど、どうかな?」

「くれるって言うなら貰うけど、いいのか?」

「勿論だよ。あ、現物支給の方がいいならボクの――」

「いや、それは間に合っているから大丈夫」

「最後まで言わせてくれてもいいじゃないか! このやり取りを楽しもうよ!」


いやもう俺損しかしないんだよそのやり取り。

定番化したのを知らない誰かが聞いたら俺まじでオープンな変態でロリコンじゃんか。


「本当に受け取らなくてもいいんだけどな……」

「そうもいかないよ。それじゃあボクが君に対して負い目を持って接してしまうからね。ボクは君とは普通に仲良くやっていきたいんだ」

「俺としては妹みたいに仲良くなれたお前が生きているなら良い事なんだけど」

「妹は困るなー。あ、でもそういう呼ばれ方が好きっていうなら、お兄ちゃんって呼び続けたほうがいいかな?」

「呼ばんでいいから……。ああ、わかった。隼人が受け取るはずだった報酬をくれ。むしろそれ以外受け取らん」

「いけずだなあ」

「何でお前って、見た目だけなら可愛いお子様なのに言動が残念なんだ……」

「可愛いって言われるのは嬉しいけど、お子様は聞き捨てならない! ボクの身体じゃあ不足だとでも言うのかい?」

「残念には突っ込まないんだな。ああ、不足すぎる。全く足りない」


ウェンディをスイカとするなら、おまえさんのはスライスしたキュウリだぞ。


「ボクだって、本気を出せばボンキュボンなんだぜ」

「……はっ」

「鼻で笑うのはやめろ! それ地味に傷つくんだ!」


いやだって、それ以外の反応を示せないし。

ハーフリングなんだから色々小さいのは仕方ないだろう。

それを、ボンキュボンとか……。

笑うに笑えないけど笑うしかないという妥当な対処方法だろう。

それとも哀れんだ目で見たほうが良かっただろうか。


「ふん。どいつもこいつも。同族は良い男がいないし、人族はボクを子供だと思っている。全く失礼極まりない!」

「まあ怒るな。ほら、お菓子食べるか?」

「わーい! ……っは! ボクを子ども扱いするんじゃない!」

「楽しそうだな」

「ああとても楽しい! 今ボクは生を享受しているのだからね!」


……そうだよな。

こんな小さな身体で領主の重責を背負い、体に毒を受けても最後まで諦めなかったんだもんな。


「どうしたんだい手招きなんかして」

「いいから来いよ。愛でたくなった」

「良い心がけだねおにいちゃ……ん?」


オリゴールを抱きかかえて膝の上に乗せ、頭を撫でる。

本当に小さいな……。

身長だけならシロよりも小さいか。

膝に乗せても頭が撫でやすいな。


「お、おい。どうした? まさか愛でるって頭を撫でるだけか!?」

「そうだよ」

「っくー! 人族は! これだから人族は!」

「まあ大人しく撫でられてろって。これでも定評があるんだ」

「君の奴隷にはだろう!」

「そうだけど、気持ちよくない?」

「……。いや、気持ちいい。なんだろう落ち着くな……」


すっと目を瞑り、身体を預けるオリゴール。

そのまま寝てしまうんじゃないかってくらい体重がかかっている。

まあ寝てしまってもいいけどな。

お祭りでも声をかけられまくっただろう。

せっかくだし、ゆっくり休んでくれ。


「イツキさん! 大丈夫ですか!?」


だが残念ながらこの和やかな空間に、突然の来訪者が現れた。

「……あれ?」

「お、隼人か? お帰り」


きょとんとした眼差しで俺とオリゴールを見つめるのは俺を救ってくれた恩人たる隼人だった。

ちょっとの間なのに、なんだか懐かしい気持ちになる。


「あ、あー……えっと、ただい……まです?」

「隼人……ボクは君にがっかりだ……せっかくもう少しで夢見心地のまま寝ることが出来たのに……」

「ご、ごめんなさい。あれ? 聞いてた話と違います……」

「ちなみに誰に何て聞いたんだ?」


なんとなく予想はつくけどな。

それと、扉には鍵がかかっていたはずだからきっと壊れたな……。

あとで修理しないと、か。


「えっと、ウェンディさんにイツキさんが領主様に監禁されたとお聞きしまして……」

「監禁されてたら自宅の錬金室にはいないだろう……」

「おかしいなとはおもったんです……。でも、鬼気迫る表情でしたので……。えっと何をされていたんでしょうか?」

「頭を撫でてた」

「頭を撫でられて寝そうだった」

「ど、どういう状況で、っは! まさかお付き合いされているんで」

「ちげえよ」

「あ、はい。そうですよね。はい」

「しくしく。そんなに力強く否定する必要はないんじゃないかな?」


隼人にまで俺がロリコン認定されるのは困る。

最悪あの三人ならからかわれているで済むが、真面目な隼人なら本気に捉えそうで怖い。


「まあなんだ、せっかくだし座っていけ。積もる話もあるだろうしな」

「あ、はい。では」

「ボクはこのまま聞くとしよう。さあ、頭を撫でるんだ!」


結局子供っぽいとかいって気に入ってるじゃないですか……。

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