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第5話 不摂生な大松さん。

仕事帰りの大松は寄り道もせずに帰宅しようとしていた。その理由は晩御飯にある。


遡ること1週間前。


大松が童話荘に引っ越してきて1週間が過ぎた。この日はシンデレラが晩御飯をご馳走様してくれるということで大松はシンデレラの部屋に訪れていた。今晩のご飯は酢豚と白米に味噌汁とサラダとしっかりとバランスが取れていそうな食事だった。


「大松さんはご飯とかはどうしてるんですの?」


「えっ…。それを聞きますか…?」


「どうしてですの?」


大松はあまり語りたくないのかシンデレラから目線を逸らした。


「別に何も言わないから大丈夫ですの!!」


「言いにくいのですが…。それがですね…。」


「えぇー!!ですの!?」と童話荘全体を揺らすほどの叫び声をシンデレラが上げた。


「朝は菓子パンで昼はコンビニ弁当!!そして夜はカップ麺で激辛系が多いですの!?」


「シンデレラさん!!そんな説明するみたいに全部言わないでください!!」


「そんな不摂生をしていたら変な病気になるかもしれないですの!!」


「そんなこと言っても、料理は苦手ですから…。」


「分かりましたですの!!これから私が大松さんの晩御飯を作るですの!!」


「シンデレラさん。いいんですか?」


「もちろんですの!大松さんを不摂生で死なす訳にはいかないですの!!」


そんなこんなでシンデレラは大松の晩御飯を作ることになった。最初はタダで作ると言っていたシンデレラだが、それは申し訳ないと大松が料理代を出すことになった。シンデレラは夜に仕事に出ていくため玄関先にラップをして置いていってくれているが、今晩はシンデレラの仕事がお休みで共に晩御飯を食べれるらしい。


(今日はどんなご飯なのか楽しみだな~)


シンデレラの料理を楽しみに帰っていると目の前に高身長の女性が紙の地図を広げ、それと睨めっこしていた。服装は真っ赤な踝まであるワンピースを着こなし、茶髪のボブヘアーにサングラスと赤色キャリーバックを持っていた。スタイルもシンデレラといい勝負を行えるほどのナイスバディだ。だが1つ気になった点がある。それはキャリーバックの上にあるビニールパンパンに入った缶ビールの山だ。


(まさかあの人本当はヤバい人じゃ…。)


「この地図は本当にあってんのか!全然着かねぇ!」


その言葉遣いからしてやっぱりと思った大松は話しかけられないように息を潜めてそっ〜と歩いた。


「すみませんけど、そこのお兄さん。この場所を教えて貰ってもいいですか?」


その女性は大松に声をかけてきた。さすがに人に尋ねる時は乱暴な言葉遣いにはならないようだ。


「僕ですか?」


「そうですよ。あなたしかいないじゃないですか。(あたい)をここの場所まで連れてってくれませんかね?」


「分かりました。地図を見してください。」


大松はシンデレラの料理を早く食べたいが困っている人は見捨てられないと女性の持っていた地図を見せてもらった。


「えっ…。ここって…。」


そこは大松がよく知るあの場所だった。




















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