018 サクッと攻略
次々と魔物を討伐していく中、俺はMPが尽き欠けていることに気づいた。
「おっと、そろそろ厳しいか」
腰元の収納袋から、素早く魔力回復薬を取り出す。
そして、そのまま一気に飲み干した。
「これで一安心だな」
体内の魔力が回復する感覚を味わいながら、俺はコクリと頷く。
ちなみに収納袋とは異空間に物や武器を保管できるマジックアイテムだ。
アリサからかなりの報奨金を貰えたこともあり、先ほどポーションと一緒に購入しておいたのだ。
ちなみに収納袋は高額なため、容量が僅かな物しか選べなかったりもしたが……
いずれにせよ、こうして戦闘中にアイテムを取り出せるのはかなり便利だ。
「一応、ポーションには使用不可期間があるからそれだけ注意するとして……」
懸念事項を確認しつつ、俺は再び上空の魔物たちに視線を向ける。
「さあ、試練の続きだ――スラッシュ!」
俺は再び斬撃を放ち続けた。
空を舞う魔物たちは次々と斬撃に貫かれ、悲鳴を上げながら消えていく。
『経験値獲得 レベルが1アップしました』
『ステータスポイントを2獲得しました』
「おっ、レベルアップか」
倒している魔物はどれも俺以下のレベルだが、数が多いからだろう。
レベルアップを告げる軽快なシステム音が響き、新たにステータスポイントを2つ獲得する。
俺は少し考えてから決断を下した。
「今回は持久力に振ろう。MPはポーションで補えても、スタミナはそうもいかないからな」
これまでは筋力と速度に割り振っていたが、長期戦を考えると持久力も決して無視できない。そう判断しての決定だ。
もっとも、効率的にダンジョンを攻略していく上でもスタミナは必須なため、この試練がなかったとしてもそうしていた可能性は高いが。
何はともあれ、まだまだ先は長い。
「さあ、いくぞ!」
気合を入れ直し、俺は再びスラッシュを放ち続けるのだった。
『経験値獲得 レベルが1アップしました』
『ステータスポイントを2獲得しました』
『経験値獲得 レベルが1アップしました』
『ステータスポイントを2獲得しました』
その後も激しい戦いが続き、さらに二度のレベルアップを経験した。
そしてとうとう、ついに最後の一体を倒し切ることに成功する。
「ふう……これでようやく終了だな」
俺は大きく息を吐き出した。
倒した数は合計で100体にも及び、時間はおよそ10分程度。
一振りにつき一体ずつ討伐していたため、これでもクリア記録はかなり早い方だ。
「さて、報酬はどうなるかな」
そう呟いた直後だった。
『魔導の試練【飛鳥落勢】のクリアを確認しました』
『挑戦者にはクリア報酬として【マジック・アロー】が与えられます』
『継承を完了しました』
『スキル【マジック・アロー】を獲得しました』
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【マジック・アロー】Lv.1
・魔導のスキル
・属性:無
・MPを僅かに消費することで、魔力の矢を放つことができる。
威力は控えめだが、速射性に優れている。
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システム音が鳴り響き、無事に【マジック・アロー】を継承することができた。
「よし、これでパリィやスラッシュに続く三つ目のスキルだ」
効果としてはスラッシュと被っていると思うかもしれないが、魔法は素手で、かつモーションなしで放てる点で大きな差別化ができる。
「それに、いつかあのスキルを習得できれば...」
俺は思わず笑みを浮かべた。
クレオンでは、無属性魔法の火力を格段に上昇させてくれるとある手段があった。
今すぐにとはいかないが、それに必要なスキルを全て集めることができれば、破壊力でも決してスラッシュに引けを取らなくなるだろう。
それに何より、今回の継承で俺にとって嬉しい事実が一つ存在する。
「決して疑っていた訳じゃないが……これで本当に、剣のスキルと魔導のスキルを覚えられたんだよな」
複数紋章の継承スキルを覚えられるのは【無の紋章】だけ。
知識としては知っていたが、プレイヤーとして経験があったわけではない。
だからこそ、初めての目の当たりにする現実に、俺は興奮と歓喜を覚えていた。
とはいえ、この程度で満足する気はさらさらない。
「まだまだ始まったばかりだ。この調子でどんどんスキルを覚えていくぞ」
俺は拳を握り締め、次なる挑戦への意気込みを入れるのだった。
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ゼロス・シルフィード
性別:男性
年齢:15歳
紋章:【無の紋章】
レベル:19
HP:190/190 MP:5/95
筋 力:34
持久力:25
速 度:34
知 力:19
幸 運:19
ステータスポイント:0
スキル:【パリィ】Lv.1、【スラッシュ】Lv.1、【マジック・アロー】Lv.1
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