市場の建設?
「───おとーさんから指示が来たよー」
「おっ!珍しい。基本は好きにしろ精神の父さんから・・・って!どうやって来た!?」
「んー?なんか鳥さんに手紙が付いててぇ、父さんの声で『大至急!気張れや!』だってさ」
「おっとぉ!んで、その手紙は?」
「大兄ぃと大姉ぇが持ってっちゃった」
「うがぁ!先を越されてたまるか!俺たちも行くぞっ」
「えぇー!今日のお勉強はー?」
「───流石に断っておくか・・・まずは挨拶に行こう」
「あーい」
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「んまぁこんなもんで良いだろう。しっかし、アル坊から貰った水、凄いな!これなら酒飲みに売れるんじゃねぇか!?」
「氷魔法で冷やして、治癒魔法を加えたものなので・・・金銭貨10以上になりますかね」
「・・・ったけぇなぁおい。まぁ特別なのはわかった」
「それで?手紙にはなんと?」
「あぁ。『鉄を集めろ。上質なヤツを。気づかれるな。分散させろ』って書いたんだ」
「それで伝わるのか?」
「提督さんよぉ・・・舐めてもらっちゃぁ困るぜ。俺の子どもであり弟子たちだ。これだけで期待以上の仕事をしてくれるさ」
「ですが、我が国では鉄の取り扱いが・・・」
「大丈夫だろ。彼奴らなら何とかするさ。それよりも、商業区の視察と行こうぜ?」
「儂も同行しても?」
「もちろん!使っていない倉庫を教えていただかないと」
「畏まった」
「んじゃまずは市場からだな」
「ええ。未使用で並んでいる4箇所ほどの倉庫なのですが・・・。あります?それと────」
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「ここは如何でしょう?条件に合致していると思うのですが」
「おぉー!ここなら全面は港。後面は道に面している・・・どうです?プレズモさん」
「良いんじゃねぇか?ただよぅ・・・隣り合って入るが、小道が間にあるんじゃなぁ」
プレズモさんが言うとおり。とても細い、猫が一匹通れるであろう隙間しかない道が倉庫と倉庫の間に走っていた。
『オマカセクダサイ』
「うおっ!急に声が!」
「あぁもう!さんちゃん!急に出てくると驚く人がいるって言ってるじゃないか!」
『モウシワケアリマセン』
「いやっいい。アル坊のやることにいちいち驚いちゃいられんからな」
「それはどういう・・・」
「ところでよう。さんちゃんって言ったか?具体的にはどうするんだ?」
『アルフレッドサマニソウサイタダキ ソウコヲ ガッタイ サセテシマイマス』
「「「合体?」」」
「曳き家とは違うのか?」
『エエ』
「はぁん・・・まっ兎に角やってみてくれ」
「私も初めて聞くので、やってみるしかないですね。それで?どうやるの?」
『ヨンカショヲ タップシテセンタク』
「うん」
『【合体】トイウモジヲ タップシテクダサイ』
「うん。───おぉぉ?」
まばゆい光が目の前を覆ったと思ったら、それぞれ独立していた倉庫がなんとくっついてしまった。
「おいおいおいおい!何が起こったんだ!?」
「合体ですね」「合体だな」
「いやっアル坊が冷静なのはわかるが、提督さんもなんで冷静なんだよ!」
「アルフレッド殿のやることに驚いてなぞいられんよ。はっはっは・・・」
「なんだかなぁ・・・。取りあえず、中を見ても良いか?」
「もちろん!私たちも行きましょう」
「ですな」
完成した市場の中に入ると、柱や梁などは倉庫のままだが、間の2箇所の倉庫の壁は抜かれていた。天井は倉庫なので高く、今までなかった天窓もあり、換気もしやすくなっているのが特徴だ。
「こりゃぁいい!これなら何店舗も出店できる!物流も人流も使う道を制限すりゃぁ導線も重ならねぇ!良いじゃねぇか!」
「お眼鏡にかなって何よりですよ」
「それによ!換気はできるし風雨も防げて、陽光も遮ることができる!品質保持にももってこいだし、書物なんかの紙も扱うこともできる!まぁ天窓からの斜光は考えにゃならんが、上出来だぜ!」
プレズモさんは市場の中をあれやこれやと言いながら、隅々まで歩いていた。一流の商人の目に叶ったのだから、確りと作ることができたのであろう。まだまだ空っぽではあるものの、ここが人と物で溢れるのを想像すると身震いしてしまう。あとは、移住者とプレズモさんの手腕次第だね!
さぁ次は商業区だ!