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灯火の先に

「今頃手紙は届いている頃かな・・・」


「あの2人・・・特にヴェルは、張り切っていましたから、もう陛下のお手元にあるかもしれませんね」


「かもね。でも、驚いたよ。時間が空いていたら手紙を書いてだなんて・・・」


「アルフレッド様が先延ばしにされていらっしゃることが、目に見えてわかりましたので。ご自身で時間が空いていると話してくださって良かったですよ」


「まぁ・・・うん・・・。それで・・・2人とも王宮での勉強で良かったの?」


「ヴェルはともかくシュナには様々なもの。文化や学術、魔術や道具に至るまで多くのことを学んでもらいたいと考えましたので」


「確かに。この島はまだまだ発展途上。知識を吸収する年齢であればなおさら必要な措置だね。でも・・・」


「ヴェルをつけたのは、親子という理由ですが・・・」


「───それ以外にもあるでしょ?」


「ええ。まぁ・・・私1人では2人を教えるのに役不足と感じましたので・・・」


「ごめんねいつも。沢山のことをお願いしてしまって」


「いえいえ。お気になさらず。好きでやっていますので。それよりも・・・」


「ん?」


「港を造られるにあたって、灯台はどちらに配置する予定ですが?」


「・・・灯台・・・。ああぁ!忘れてたっ!」


「アルフレッド様・・・」


「どうしよう・・・」


「なんじゃアル?騒々しい」


「お帰りなさい。エレン」

「うわぁぁ・・・。───お帰りエレン」


「ただいまなのじゃ。それで、どうして慌てておる?」


「アルフレッド様は港の機能に不可欠な、灯台の建設を忘れていたようで」


「なるほど・・・夜間の航行に灯台は必要不可欠じゃからな」


「あぁー!どうしよう!何処に建てようか・・・取りあえず高台だよな・・・。街より遠い場所で。光源はどうしよう・・・電力は通っていないし・・・」


「当座の間は、魔核を光源にして造れば良かろう」


「火かぁ・・・遠くまで届かないよ・・・」


「無いよりかは、ましなのではありませんか?」


「うぅん・・・建てるにしても硝子が必要になるな・・・」


「鏡面か・・・」


「うん。大きくそれでいて湾曲しているものを造るには、やはり王都から技術者を招聘しないといけないから・・・」


「まっ夜航海に出るわけでなし。今のところは必要ないのではないか?」


「うん」


「ですが・・・私たちが駆けてきたとき、魔法を使ったとは言え、島に近づくまで、岩壁がわからなかったというのは少々問題があるかと・・・」


「その前に結界に弾かれるじゃろう?」


「───海面から20米の高さまでは、結界の機能を緩くしているんだ・・・」


「なぬ!・・・あぁ。じゃから彼らやプレズモと呼ばれる商人がこの島に入れたのか」


「そうなんだ。あぁ・・・どうしよう・・・」


『「オコマリノヨウデスネ」』


「「「さんちゃん!?」」」


「どうしたの?急に」


『「ミナサマガナヤマレテイルノヲ サッチイタシマシタノデ」』


「相変わらず・・・どういう能力の高さなのか・・・分解させてはくれんかのぅ?」


『「ヤメテクダサイ!ワタクシハ デリケートナノデス!」』


「でりけぇと?なんじゃそれは?」


『「カヨワイ トイウコトデス」』


「むぅ・・・」


「えっと・・・ごめんね。さんちゃん。それで、何か良い考えがあるの?」


『「イエイエ アルフレッドサマガ ワルイワケデハ ゴザイマセンノデ」』


「少しぐらい良いではないか・・・」


「もぅ!」「まったく。貴女という人は・・・」


『「トウダイ デスガ コノヤカタトオナジク

ボーナスケンチクブツ トシテ1ツデアレバ タテルコトガカノウデス 」』


「「「おぉ!」」」


「それは・・・」


『「モチロン ヒカリマホウデ トオクマデ ヒカリガトドキマスヨ」』


「凄い!凄いよ!」


『「タダシ ジョウケンガアリマス」』


「まぁそんなに簡単にはいかぬよのぅ」

「そうですね。条件はあって然るべきですよね」

「そうだね」


『「ミナサマ タッカンサレテイマスガ ジョウケンヲ イッテモ?」』


「あぁ!ごめんごめん。その条件って?」


『「オオガタセンパク ガ テイハクカノウナ ミナトヲ 1ツ ツクルコトデス」』


「───っと言うことは・・・このままいけば普通に造れるって事!?」


『「オオムネ ソノゴリカイデ ヨロシイカト」』


「何やら含みのある言い方じゃのぅ」


「また必要な資材があるのではないですか?」


『「ソノトオリデス ナニガヒツヨウニナルノカハ タテハジメテカラノ オタノシミ トイウコトデ」』


「教えても良いではないかッ!」


「まぁまぁ。一から造るより早いのだから・・・ね?」


「───アルが良ければ何も言わん」


「あはは・・・まぁ。これで灯台にも目途がたったから、明日にでも予定地を決めて・・・」


「明日は浚渫の予定もあるのでは?」


「うん。だから、同時進行になるかな」


「では、浚渫の現場は私たちにお任せください」


「ワシもか!?」

「館に閉じこもらずに、外に行くべきです」

「いやっワシ結構外に・・・」

「行くのです!」

「うへぁ・・・アルのためじゃ。仕方ない(アルと一緒に行こうと思っていたのに)」

「では、アルフレッド様。万事お任せください(一緒になんて行かせるものですかッ)」


「うっ・・・うん。2人とも・・・お互いににらみ合いながら返事じゃなくて・・・。お願いするね」


「畏まりました」「うむ」


明日は久々に1人で行動か・・・『「ワタクシモ ゴイッショイタシマスヨ!」』あっ・・・さんちゃんがいたね。良い場所、見つけられるかな・・・。

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