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名付けとは

いやぁ・・・街作りから離れてます・・・。あと二話ほどで街に戻ります・・・。脱線が多くて申し訳ありません。

「その話は、私からでも宜しいでしょうか。アルフレッド様」


「うん。カレンからの方が良いかも。なんせ。当事者だしね」


「まぁワシもそうじゃからな」


「2人とも?」


「ほう・・・それは・・・神獣や精霊と何か関係がある。と言うことですな」


「はい。───我々は名付けというものがとても重要なのです。ですが、それ以上に重きを置いているのが・・・名付け親の名の文字をいただくかどうかなのです」


「ほうほう」


「私とエレンであれば、アルフレッド様の“レ”を。ヴェルは・・・」


「わたくしは二文字いただいておりますの」


「と言うわけです」


「それに何の関係が?」


「───いただいた文字が多いほど」


「名付け親との魔力的繋がりが強くなるのですわ」


「ワシらよりもアルとの繋がりが強いはずなのに、結界を通過できなかったというのはまったく・・・」


「それは言わないでくださいまし!」


「んん。話を続けます。名付け親からの文字をいただくことで、我々はアルフレッド様の眷族としても、魔力をいただいて自らが持つ以上の力を出すことができます」


「それは・・・所謂使い魔とは異なるのですかな?」


「ええ。使い魔は術者の召喚に応じて活動し、術者の魔力量によって活動を制限されます」


「しかし、貴女たちは神獣や精霊」


「大精霊じゃな」


「失礼。お三方・・・カレン殿は一柱か?」


「いえ。人扱いで構いません。実際、この姿での活動が多いわけですし。ストルネ様が仰る通り、我々は元々自立的に活動し、魔力も内包しておりますので、使い魔とは一線を画した存在です。使い魔は術者とつかず離れず行動せねばなりませんが、我々は離れて活動できますので」


「なるほど」


「───ヴェルの娘さんに話を戻しますが・・・アル様の一字を与えると、親子共々眷族化する・・・それはあまりにも」


「ヴェルが有利になってしまうのじゃ」


「・・・」

「あははは・・・そうだね・・・それは・・・何だか悔しい・・・」


名付けと眷族化の話から、何だか私情を挟んだ話になっている・・・あんなに意気揚々としていたヴェルの娘さんが、オロオロし始めてしまった・・・話を戻さないと。


「あぁ・・・ごめんね話の腰を折る形で口を開いて。そろそろ、名前を付けてあげたいのだけれど・・・」


「ハッ!申し訳ありません。アルフレッド様」


「アル様ぁ・・・本当にお名前をいただけはしないのですか・・・?」


「うん。火の大精霊から生まれた火の神獣。私との繋がりを持つことも一瞬考えた。だけど・・・」


「・・・?」


「暫く親子で世界を回ると良い。親子水入らずで過ごす時期を、私の結界で邪魔してしまったのだから・・・」


「───アル様・・・」


「だから、キミの名前は・・・シュナ。これからはそう名乗って活動すると良い」


「シュナ・・・ありがとう。と言っておくわ!」


「シュナ!アル様に何とご無礼な!」


「だって・・・」


「ははは!大丈夫!それよりも、火の魔核・・・火石がある場所を教えてはもらえないかな?」


「ええ。こっちよ!着いてきて!ママ!手を繋ぎましょ?」


「しようがない娘ですわね!」


「現金なものじゃのぅ」

「まぁ・・・名前をいただくと言うことは、我々にとって嬉しいものですから。温かく見守りましょう」

「そんなに名前って大事?」

「ええ。私たちがこの世に存在していてもいい。と言う漠然とした自信が湧いてくるのです」

「名前が付けられるまでは、種族名や大精霊様としか呼ばれん。悠久の時を生きる中では簡単に自身の存在を否定し始める」

「だからこそ、固有の名前をもつことで、初めて世界の一員になれたと思えるのです」

「そうすると、不思議と目の前の世界に色がつき始めるのじゃ」

「ほえぇ・・・生きる時間が違うとそんな違いもあるんだね・・・」


「3人とも!こっち来て!凄いよここは!やっぱり沢山あった!」


「我らが主。アルフレッド様がお呼びです」

「早く行かねばな」

「あっ!まってよ2人とも!」

「プルーナも早う自分の気持ちに正直になるのじゃよ!」

「もう!」





シュナが案内してくれた場所には、山ほどの魔核が無造作に転がっていた。これだけあれば・・・

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