魔核採取?
「───宜しかったのですか?」
私たちは、中継地点として定めていた元宿場町を出発し、目的地近くまで進んでいた。もう直ぐといったところで、ストルネ殿から質問が飛んできた。
「?どういう意味でですか?」
「魔石の情報もそうですが・・・その蛍石を回収してきて・・・」
「あぁ!大丈夫ですよ。この間お話ししましたが、この島には魔物が存在しないので・・・魔物除けは今のところ必要ありませんし。まぁ・・・魔力を補充しなければならないと言う方が、持ってきた意味合いとしては強いのですがね」
「なるほど。差し支えなければ・・・何の魔力を補充するので?」
「────光です。浄化の力が強いので」
「ねね。カレンちゃん。あの石って翠色じゃない?普通は風属性を入れるんじゃないの?」
「石の色と属性は関係なくすることが可能なのですよ。親和性の問題は生じますが・・・」
「そうなの!?だって・・・カレンちゃんが見せてくれた火属性の魔核は紅色・・・火に近い色だったじゃん」
「あぁ・・・一度魔力を空にしてしまえば、違う魔力を注ぐことができるのじゃ」
「へっ!?だって・・・」
「ええ。エレンの言う通りですし、プルーナが持つ疑問も当然です。が、先程アルフレッド様が述べたとおり、自然に消費されて残存魔力が皆無になれば、違う魔力を注ぐことができるようになります」
「えっ・・・でも・・・」
「あの蛍石の元の属性は勿論、風属性でした。いかに魔核の力が半永久的であっても、流石に1500年ほど経ってしまえば・・・」
「あぁ。そっか・・・長い間存在し続けていたんだ・・・それこそ、アタシたちが想像できないくらいには・・・」
「ええ」
「残念ながら、ワシらは生きる時間が違うからのぅ・・・」
「・・・」
「───どうしたの?3人とも。暗い顔をして・・・」
「「「なんでもなぁい(です)(のじゃ)」」」
「?まっいっか・・・着いたよ!ここが目的地さ」
眼前に広がるのは、草木が生えず黒々とした岩石が転がる冷涼とした大地。ここに広がる石全てが魔核・・・の筈なんだけど・・・。
「───おかしい・・・」
「そうですね」
「いくら安定してるとは言っても、ワシらの感覚では魔核を感じる・・・況してや大量にあればなおさらなのじゃ・・・」
「どうしたのです?」
「・・・魔核がある気配がないのです・・・」
「えぇ!」
「なんと!」
「申し訳ありません。もう少し火口付近までお付き合いいただけますか?」
「ええ。それは勿論。ただ・・・」
「火山性の毒に関しては、皆さんに風魔法をかけて防ぎますので」
「であれば、安心です」
「ささ!日が暮れる前に帰らなきゃなんだから・・・頑張って登ろう!」
「うん!そうだね!」
魔核の強いの力を感じていたのに、実際には魔核が存在してはいなかった・・・一体どういうことなのだろう・・・。