前へ次へ
78/203

魔核採取?

「───宜しかったのですか?」


私たちは、中継地点として定めていた元宿場町を出発し、目的地近くまで進んでいた。もう直ぐといったところで、ストルネ殿から質問が飛んできた。


「?どういう意味でですか?」


「魔石の情報もそうですが・・・その蛍石を回収してきて・・・」


「あぁ!大丈夫ですよ。この間お話ししましたが、この島には魔物が存在しないので・・・魔物除けは今のところ必要ありませんし。まぁ・・・魔力を補充しなければならないと言う方が、持ってきた意味合いとしては強いのですがね」


「なるほど。差し支えなければ・・・何の魔力を補充するので?」


「────光です。浄化の力が強いので」




「ねね。カレンちゃん。あの石って翠色じゃない?普通は風属性を入れるんじゃないの?」


「石の色と属性は関係なくすることが可能なのですよ。親和性の問題は生じますが・・・」


「そうなの!?だって・・・カレンちゃんが見せてくれた火属性の魔核は紅色・・・火に近い色だったじゃん」


「あぁ・・・一度魔力を空にしてしまえば、違う魔力を注ぐことができるのじゃ」


「へっ!?だって・・・」


「ええ。エレンの言う通りですし、プルーナが持つ疑問も当然です。が、先程アルフレッド様が述べたとおり、自然に消費されて残存魔力が皆無になれば、違う魔力を注ぐことができるようになります」


「えっ・・・でも・・・」


「あの蛍石の元の属性は勿論、風属性でした。いかに魔核の力が半永久的であっても、流石に1500年ほど経ってしまえば・・・」


「あぁ。そっか・・・長い間存在し続けていたんだ・・・それこそ、アタシたちが想像できないくらいには・・・」


「ええ」

「残念ながら、ワシらは生きる時間が違うからのぅ・・・」


「・・・」


「───どうしたの?3人とも。暗い顔をして・・・」


「「「なんでもなぁい(です)(のじゃ)」」」


「?まっいっか・・・着いたよ!ここが目的地さ」


眼前に広がるのは、草木が生えず黒々とした岩石が転がる冷涼とした大地。ここに広がる石全てが魔核・・・の筈なんだけど・・・。


「───おかしい・・・」

「そうですね」

「いくら安定してるとは言っても、ワシらの感覚では魔核を感じる・・・況してや大量にあればなおさらなのじゃ・・・」


「どうしたのです?」


「・・・魔核がある気配がないのです・・・」


「えぇ!」

「なんと!」


「申し訳ありません。もう少し火口付近までお付き合いいただけますか?」


「ええ。それは勿論。ただ・・・」


「火山性の毒に関しては、皆さんに風魔法をかけて防ぎますので」


「であれば、安心です」


「ささ!日が暮れる前に帰らなきゃなんだから・・・頑張って登ろう!」


「うん!そうだね!」


魔核の強いの力を感じていたのに、実際には魔核が存在してはいなかった・・・一体どういうことなのだろう・・・。

前へ次へ目次