水というもの
「───!宅内配管をしていたの!?」
「おわぁ!耳もとで大きな声を出す出ない!驚いたのじゃ!」
「あぁ・・・ごめんごめん」
「アルフレッド様。そこまで驚くことなのですか?」
「そうだよアルくん・・・ところで・・・たくないはいかんってなに?」
「まぁ簡単に言うと、家の中に上水を供給できる管と排水する管をを新しく接続して、各家庭で水を使用することを可能としたって事だね」
「ほえぇ・・・ってぇ!ものすごい事じゃん!ねね!提督!」
「そうだな。これで、井戸から水を汲んで来るという労力も、一度煮沸すると言うことも必要なくなるのですな」
「井戸汲みが無くなるのかぁ・・・訓練になって丁度良かったんだけど・・・でも、一度煮沸する必要が無いのは大きいね!」
宅内配管から別の話題に移っているようだけれど・・・この島の井戸水は煮沸しなくても飲めますよ・・・え?馴れない人は水にあたる・・・。そうかなぁ・・・この島の水はとても綺麗・・・あっはい。黙っておきます。だから・・・私だけに冷気をあてないでください。カレン・・・。
「で・・・なんでアルくんは、そんなに驚いていたの?便利になることなのに」
「へ?あぁ!だって・・・考えてもみてよ。配管を行うだけじゃ、水は使えないじゃない?」
「・・・うん。───まさか!水の出口まで作ったの?その土人形達が?」
「・・・みたいなんだよね」
「うえぇ!」
「なんと!そんなに器用なことが!?」
「じゃから、街の者たちが白い何かを見た。と話をしておったのじゃな!」
「うん。でも、私が驚いたのは・・・どうやって戸別の配管を可能にしたのかを聞いて驚いたんだ」
「アタシ的には、土人形と会話できてるアルくんに驚きだよ」
「アルフレッド様の創造された魔法生物なので魔力で繋がっていれば、何をしていたのかを言葉ではない形で、術者に伝える事が可能なのですよ。プルーナ」
「へぇ!」
「ワシが説明したかったのじゃ・・・」
「あはは。まぁ・・・この土人形たちの見ていたものを聞くというよりかは、映像で見させてもらっているって表現の方が正しいかな。ごめんね。話してるってまどろっこしい言い方をして」
「うぅうん。大丈夫!分かり易かったから!」
「して・・・アルフレッド殿。この土人形たちはどのようにして各家に?」
「えっとですね・・・まず、基礎から這い上がって壁の中を掘り進み、壁に穴を開けて上水の出口を確保する。壁から出たら、床に穴を開けて排水の入り口を確保して、管を繋げていくという感じですね」
「では・・・水は流し続いていると言うことですか!?」
「あぁ・・・説明が足りませんでした・・・。一体の土人形が前者の行程を行った後、配管内から出たもう一体の土人形が、栓と受け箱を作成して、排水管から地下に戻っていくと言う形ですね・・・。なので、栓が閉まっていれば、水は出ないと言うことです」
「おぉ!」
「───。───!」
「ん・・・?えぇ!」
私の前にいる二体の土人形が、身振り手振りを付けて、自分たちが実施した全行程を説明してくれる・・・。その姿が小柄で可愛らしく、プルーナさんは、始終その動きを見つめていた。
「どうしたのじゃ?と言うか、この者たちは映像でアルに物事を伝えられるのじゃろう?何ゆえに身振り手振りをしておるのじゃ?」
「・・・様式美だそうだよ・・・」
「・・・全ての住宅に配管が完了したって・・・」
「「ええぇ!」」
「なんと!」
「─────それに・・・」
「「「それに?」」」
「お風呂に厠。洗濯場まで造ったって・・・」
「「「・・・」」」
「通りで、白い何か。が住民の皆様に見られるわけです」
「そうじゃのう・・・じゃが・・・戸別には誘致機能が効いてはいないのではないか?」
「それも・・・そうですね・・・。一体どういうことなのでしょうか」
「・・・どうやら、工事するものが未接続。今回の場合は上排水路のことだけれど、そういう場所は誘致機能が効くらしい。この土人形の映像を見ると、配管が完成したと同時に動きが遅くなったから」
「と言うことは、この者たちは誘致機能について自ら学習し、自らの意思で様々なモノを造作したと言うことですかな!?」
「はい。主な資材は白狼石みたいですね。私の魔力を使いつつ、材料を変形させて造っていたみたいです」
「なんと・・・自ら学習し、自らの意思で働く土人形とは・・・」
「アルの魔法は世界一!じゃからな!」
「エレンが胸を張ってどうするの・・・」
「はっはっは!ワシは鼻が高いのじゃ!」
「貴女は、アルフレッド様に精霊魔法の基礎を教えただけでしょうに。今回の魔法は、全てアルフレッド様のお力によるものです」
「はあぁ・・・これじゃから魔法初心者は・・・。この土人形には、若干精霊魔法を付与してある。のう?」
「う・・・うん(本当は違うけど・・・そういうことにしておこう・・・)」
「ほぉうらな!ワシの助力が有ってこそじゃろう!」
「何でしょう・・・貴女に自慢をされると・・・」
「ん?ん?どうしたぁ────いでででで!」
「無性に頬を引っ張りたくなりますね」
「いひゃい!いひゃい!・・・痛いというておろうがっ!」
「・・・絹のような肌触りで・・・餅のような感触ですね・・・」
「・・・褒められておるのか?」
何だか判らないけれど・・・喧嘩するほど仲がいいってことかな・・・。
「ねぇねぇアルくん。お家の中や地中で作業していた土人形が外を歩いていた理由はわかった?」
「それが・・・どうやら港近くまで管を繋げていたら、勢い余って海に落ちてしまったからみたい」
「───何だか人間みたいだね」
「ちょっと愛嬌があって憎めないよね」
「うん!」
「これで、皆さんが安全で衛生的な水をいくらでも確保できるようになりました。お風呂に関しては、火属性の魔核が必要ですが・・・幸いにも火山島なので、事欠くことはないでしょう。港の工事が一段落したら探しに行きましょう」
「ですな。生で飲める安全な水・・・生きる上で欠かせない水・・・やはり貴方様は素晴らしいお方だ」
「そんなそんな!偶々ですよ・・・」
生で飲むことができる水というのは案外と少ない。しかも、煮炊き以外にも使用できる・・・大切に使うことが大前提だけれども、これがどれだけ生活を豊かにするか・・・水資源の重要性も確りと説明していかないとね。