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上下水路

「1つ疑問に思ぅたのじゃが」


「ん?どうしたの?」


「排水管はどのようにして造っておるのじゃ?」


「あぁ!───あれだよ」


「────!白狼石の・・・泥?」


「そうそう!この白狼石は、乾くと元の硬い石に戻るように魔法をかけているんだ。それを掘り進んだ穴に塗っていく・・・ほら」


エレンの疑問にたいして説明をしていると、土人形用の竪坑から出てきた2体の土人形が、泥を丸めて持っていく姿が見られた。


「・・・不便そうじゃのう」


「うぅん・・・でも、エレンの片手大。彼らにとっては2体分の泥で、400米程の長さに塗る事ができるんだ」


「ほぉ!それは・・・伸びしろが凄いのぅ!」


「でしょう?白狼石を核にできるくらい魔力で硬くできるなら、その逆もと思ってやってみたんだ。ただ、流石に永久に流動性を持たせることはできなかったよ」


「まぁ・・・元が石。じゃからな」


「うん」


「───お話し中申し訳ない」


「あっ!そんな難しい話をしていたわけではないので、お気になさらず。如何されましたストルネ殿」


「いえ・・・アルフレッド殿は彼らに対して排水路の整備を命じていますが・・・上水路の工事も同時進行にすると、効率がよいかと思いまして・・・」


「「あっ・・・」」


『「イマカラメイレイヲ ナサイマスカ」』


「おぉう・・・急に話しかけるから驚いたよ・・・」


『「ナンダカヨバレタキガイタシマシテ スコシハナレ ウッウン ハイスイロノシンチョクジョウキョウヲ カクニンシテオリマシタノデ」』


「・・・うん。それで・・・進捗状況は?」


『「マチ ト ヤカタシュウヘンモフクメマシテ

ゼンタイノ8ワリホドノコウジガカンリョウシテオリマス ソノタメ テガアイテイルゴーレムガデテキテイマスノデ ジョウスイロノセイビモカノウデスヨ」』


「ありがとう!それじゃぁ工事を始めようか」


『「デハ ジョウスイロノユウチ ト メイレイヲ」』


「うん。上水路は止まると大変だから少し多めに引くとしてっ・・・と。排水路より高い位置で、両脇を挟むように配置。これでよし。土人形たち、頼むね!」


「うぉっ!」

「おぉ・・・またしても地が揺れておる」


「身構えていても馴れませんなぁ・・・」


土人形たちに命を下すと同時に、地が揺れた。手隙の土人形がどうやら多かったらしく、張り切って穴掘りと配管工事を行っていることを感じ取ることができた。


「なっなに!?この揺れ!アルくん何か知ってる!?」


「あぁ!プルーナさん・・・ごめんね。カレンと話している様子だったから」


「アルフレッド様・・・。この揺れは、別の工事を始められたのですね」


「うん。上水路の工事も同時進行で始めたんだ。そしたら思いの外土人形たちが張り切ってしまって・・・」


「なるほど。主からの命を受けるのは、従者として、これ程までにない使命感を得ますからね」


「もっと気楽にやってもらえれば良いのだけれど・・・」


「ねぇねぇアルくん」


「ん?どうしたの?」


「この揺れってさ・・・と言うかこの工事って街の地中でもやっているんだよね」


「うん」


「どうした?何に対しての疑問なのだプルーナよ」


「だってさ・・・提督。身構えていても驚くくらいの揺れでしょ?アタシは何も知らなかったからすっごく驚いたし・・・」


「うむ・・・確かにそうだな」


「プルーナは何を気にしておるのじゃ?」


「だぁからぁ・・・あっと。まだ言っていなかった・・・。───街の人たちはどう感じたのかなって」


「「「・・・」」」


「ここは火山島だよ?いくら地震がない国の出身だからって、揺れと噴火を結びつけない人はいないと思う・・・。むしろ、恐怖を覚えるかも・・・」


「「「───!」」」


「どっどうしよう!」

「確かに言われてみれば、ワシらは知ってはいたが・・・」

「これは大変だ!皆にこの揺れは安全であると伝えなければっ」

「だよね!?アタシの考え合っているよね!」


「────。」


「カレン、何故にそこまで冷静なのじゃ?」


「エレン。街で騒ぎの声が聞こえますか?」


「───。そう言えば・・・」


「確かに・・・」


「普段通りの静けさですな」


「うん。もっと大騒ぎしていても良いに・・・」


「アルフレッド様。何か物事をなさる際には何が重要。と常々仰っていましたか?」


「報告・連絡・相談。だよ」


「ですね。私達は、アルフレッド様からその全てをいただいていましたので、特に混乱・・・まぁ若干一名混乱していましたが・・・」

「てへへ・・・」


「それでは・・・街の皆様にはこの工事実行の報告及び相談、工事期間中の揺れに対する連絡はなされていない。と言う理解で宜しいですね」


「・・・はい。その通りでございます」


「はぁ・・・貴方様は何時になったら有言実行ができるようになるのですか・・・不言実行では困るのですよ」


「はい・・・。申し開きもございません」


「エレンちゃん」

「何じゃ?」

「カレンちゃんから蒼い炎が見えるような気がするよ・・・」

「気がするではなく・・・怒りのあまり、出しておると言う方が正しいのじゃ」

「えっ・・・」

「彼奴の属性は氷で炎は出せない・・・理解としては正しいのじゃ。しかし・・・蒼炎という固有の力があってのぅ。アレは氷属性の炎じゃからな・・・」

「暑くないんだ」

「それよりも・・・寒い」

「でも・・・アルくんは余裕そうだよ?・・・まぁ普段よりも小さく見えるけど」

「───これが初めてではないからな。アルが叱られるのは」

「ほえぇ・・・常習犯・・・」


「そこで何を話しているのです?」


「「いえっ何も!」」


「そう・・・ですか。ですからアルフレッド様───」


うぅ・・・久々に怒られた・・・あの炎寒いんだよね・・・突発的に出されると流石に寒い・・・。


「────おわかりいただけましたか?」


「──はい。肝に銘じておきます」


「よろしい。今回は、私の方で手配させていただきました。ですので、街での混乱は最小限であるかと。・・・流石に土人形を使われるとは思いもしなかったので」


「ありがとう!カレン!」


「これに懲りたら、ご自分で対処してくださいね」


「・・・はい」


((あっこれ・・・また繰り返すな・・・))


「・・・アルフレッド殿。そろそろ街の方へ行ってはみませぬか?」


「そうですね!ストルネ殿!様子を見に行ってみましょう!3人も一緒に」


「「「・・・はぁ」」」


「ん?」


「いえ・・・。何でもありません。同行いたします」


こうして、竪坑から離れて街に向かうと、人々が工事中の揺れについて語っていたが、聞こえてくる話としては、「これで便利になるのか?」と言う声だった。中には、白い物体が高速で動いていた。怖かった。そんなものはいない!と言ったような話し声が聞こえた。・・・ごめんなさい。私の創った土人形です。街の人たちに、偶々通りかかった土人形を紹介して、誤解を解いた。誘致地区は、高速で動けるけれど・・・速く動きすぎるのも問題があるのかもしれない・・・。でも、なんで土人形は外に出ていたんだろう・・・。

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