朝の一幕
遅くなってしまいました・・・しかも短めです。申し訳ありません。
館が完成し、皆でびしょ濡れになりながらひとしきり笑った後、ストルネ殿が「プレズモがやってきたら最後の調度品を整えるので、少々不便かとは思いますが、お使いくだされ」と言って、皆を連れて帰っていった。私とカレンにエレンは、真新しい木の匂いと少しひんやりとした石造りの館に入り一夜を過ごした。まぁ彼女たちは、どちらが私の部屋の隣を取るか話し合いをしていたようだが・・・。結局はカレンが隣に。エレンが真正面の部屋を取ることで決着となったところで就寝となった。
「ん・・・朝か。——————おぉ!」
少々武骨な硝子窓を開けると眼前に広がる青い海。この窓は誰かが加工したものなのだろうか。技術者を呼ぶことができたら、工房で本格的な硝子づくりを学んでもらいたいな。そうしたら・・・。しかし今日の波は穏やかだ。こんな日は、海に出て遊びたいところだけれど・・・。
「—————失礼し致します。朝食のご用意ができましたので、食堂までお越しいただければと存じます」
「わかった。すぐに行・・・少し身支度をしてから向かうね」
「畏まりました」
海を見ながら考え事をしていたものだから、身支度を忘れてしまった。仕方がない・・・。速さ重視で準備をしよう。
「ごめんごめん。待たせてしまって」
「むぅ!遅いぞアル!待ちくたびれてお腹と背中がくっ付いてしまいそうであったのじゃ」
「あなたもそこまで早く起きてはいないでしょうに。アルフレッド様。お気になさらず。エレンもついさっき降りてきたので。ほんの少しの差ですから」
「むぅ・・・。それでもアルよりかは早く来たのじゃ!」
「まったく・・・従者が主より先に起きるのは当然のことですよ」
「あはは・・・朝から喧嘩しないの。さぁ朝食といこうじゃないか。馬鈴薯の麺麭に新鮮な野菜の盛り合わせ、魚の汁物。どれもおいしそうだよカレン。いつも作ってくれてありがとう」
「・・・とんでもありません」
「なんじゃぁ?照れておるのか?」
「うっ・・・うるさいです!おかず減らしますよ!?」
「なぬぅ・・・それは嫌なのじゃ」
「あはは・・・ほらほら2人とも、気を取り直して。それでは、いただきます」
「「いただきます」」
「そういえばなアル」
「うん?」
「プルーナが一度、畑の方に来てほしいと言っておったぞ?」
「そうなの?」
「うむ。なんでも糸瓜の作付けと小麦の作付け。それに果樹について相談があるらしい」
「そうかぁ・・・まだ季節的に糸瓜早いと思うのだけれど・・・」
「あぁ。ストルネ様も果樹についてご相談したいことがあるとおっしゃっておられました」
「うぅん・・・あれかな。航海中の乾燥果実に関してなのかな」
「かもしれませんね」
「そうじゃのう。航海中は栄養がどうしても偏るからな」
「じゃぁ・・・私が持ってきた苗を選んでもらおうかな!」