領主の館⑤
「食事・・・美味しかった。魚介たっぷりで、カレン直伝の馬鈴薯麺麭。午後の活力になるよ」
「私も、艦の調理師たちの技術の高さに脱帽いたしました」
「うむ!して、午後は何をする予定なのじゃ?」
「2人は・・・少し気になることがあるから――――――――」
「―――かしこまりました」「承ったのじゃ」
「ストルネ殿」
「おぉアルフレッド殿。いかがされました」
「受水槽を製作するので、白狼石をいただいても?」
「いただくも何も、この島で採れるものは全てアルフレッド殿の物ですので、お気軽にお使いください。ただ、できるだけ今回のように一声かけていただくと助かります」
「それはもちろん!では、少しいただいていきますね」
さて・・・この白狼石を軟質化させて・・・内側に“浄化”の文字を描いてっと。大きな水を浄化できる施設ができれば、島中にきれいな水を戸別に届けられるのだけれど・・・資材や人員、技術者がいないと建設も何もできない。墨には限りがあるから…やっぱり大規模にならざるをえないし・・・汚水の処理場も作らないと。そうだ!立太子の儀の時に連れて帰ってくれば────。
「―――くん!アルくんってば!」
「うわぁ!プルーナさん!」
「もぅ!何度も呼んだのに反応がないんだもん!それで、受水槽はできそう?」
「うん。あとは、ここに管をつけて水路から水を引いて、屋内用に風魔法を刻んだ管を付ければ完成になるはずだよ!細かい部分はさんちゃんにやってもらうんだけど・・・」
「おぉ!ってぇもしかして・・・食事中も考えてたの?」
「いやっ・・・まぁ・・・あはは」
「まったく・・・休むときに休まないと身体を壊しちゃうんだからね!」
「肝に銘じます・・・」
「でも・・・この網目模様の紙・・・凄いね」
「製図用紙のこと?」
「へぇ!そんな名前なんだ!」
「まぁ・・・方眼紙と変わらないんだけど・・・ね」
「この数字は?」
「あぁ・・・実際に直すとこの大きさになるよって表しているんだ。これは・・・百分の一で表しているから・・・」
「うぅん・・・距離とかはわかるんだけど・・・こう言う細かいのは苦手だなぁ」
「あはは・・・まぁこれをさんちゃんに読み取ってもらって、白狼石を取り込むらしいんだけど・・・どうやって取り込むのだろう・・・」
「それは・・・本人?に聞かないとね」
『「ヨビマシタカ」』
「うん。というか・・・いつもよく簡易倉庫から自力で出ているよね・・・」
『「ソレハ ヒミツデスヨ」』
「むぅ・・・」
「ねぇねぇ!さんちゃん!白狼石ってどうやって取り込むの?」
『「アルフレッドサマ ジメンニ ゴボウセイ ノジンヲカイテクダサイ」』
「うん。─────かいたよ」
『「ソノウエニ ハクロウセキヲ オイテクダサイ」』
「──────っと。これで?」
『「ワタシノカメラヲ ジンニムケテクダサイ」』
「───こう?」
『「ミドリノボタンヲ タップシテクダサイ」』
「───はいっと」
『「読み取り中───読み取り中───。取り込みを開始します・・・・・・・・・」』
「うおぁ!」「消えた」
『「取り込みが完了しました」』
『「トリコミカンリョウシマシタ ツヅイテ セッケイズヲ トリコミマスノデ」』
「あっうん」
『「アッ コンドハ ジンハイリマセンノデ カメラノマエニセッケイズヲ オネガイシマス」』
「これでいい?」
『「モウスコシハナシテクダサイ ゼンタイゾウガ ウツリコムヨウニ ソウデスソウデス ガメンヲタップシテクダサイ ピントヲ アワセマスノデ」』
「「ぴんと?」」
『「ハッキリトミエルヨウニスルコトデスヨ
コレデコマカイモジモ ハッキリミエルデショウ 」』
「おぉ!本当だ」
「細かい文字まで見える」
『「ハイ オオ トテモコマカイシジ タスカリマス サッソクツクリマス ソトニダストキニハ ジンガヒツヨウナノデ ジメンニマタオネガイシマス 3ビョウホドオマチクダサイ」』
「うん!ってええ!早っ!」
『「デキマシタ」』
「おぉ・・・凄い・・・完璧だ」
『「コレデナンドデモツクルコトガデキマス マタナニカアリマシタラ オヨビクダサイ」』
「あぁうん。ありがとうって・・・もうもどっちゃった・・・」
「さんちゃんって何者?」
「うぅん・・・多分・・・」
「多分?」
「・・・はっきりわかったら教えるね」
「うん。待ってるね」
「ストルネ殿!」
「おぉ!早いですな!これが受水槽・・・我が国の物とは違いますが・・・素晴らしい出来ですな」
「ええ。それと、水路接続用の管と屋内用の物になります」
「確かに」
「では、よろしくお願いします」
「丁度塀も完成しましたし、15刻になったので」
「休憩後ですね」
「はい。休憩だぁ!確り休めよぉ!」
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